虚無と守護神
虚無と守護神
「私は君のマスター。 これから君は私に従い、私を護衛をしてもらう。」
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
マスターに作られた体と意思を持つ
マスターに従い、守護をするよう命じられている
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
たくさんの人間がマスターを『オウ』と呼び、ひざまずいた
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
私の体には自己修復の力がある
少し眠れば傷は治る
この力があれば、私に何があってもマスターを守ることができる
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
マスターを襲うものは敵である
マスターは何度も敵に襲われた
その度に私は敵と戦った
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
その日、たくさんの敵が来た
オレンジ色の空の中、敵と戦い続けた
空の色はオレンジから赤、そして黒へ変わり、白色に変わった
白色の空の中、その日最後の敵を倒した
私の体はたくさんの傷ができた
私は傷を治すために眠った
目を覚ませば、空はまたオレンジ色
傷を治している間、空の色が変わっていた
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
その日、敵が来ていないにもかかわらず、マスターは衰弱していた
人間にはいつか死ぬときが来ると、マスターは言った
私にはよくわからなかった
マスターは、小さな人間を私に紹介した
この小さな人間が、これから私のマスターだと言った
私は従った
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
新しいマスターは小さかった
小さいマスターを、人間は『オウ』と呼び、ひざまずいた
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
その日、たくさんの敵が来た
敵は新しい武器を持っていた
私は敵と戦い続けた
オレンジ色の空が、また白色になるころ、最後の敵を倒した
私の右腕と顔の右側は、敵の新しい武器で失った
全身には深い傷ができた
私は傷を治すために眠った
目が覚めれば、空の色はオレンジ色
損失した体も元通りになった
傷を治している間、小さかった私のマスターは、普通の人間のように大きくなっていた
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
マスターは、人間のガーディアンをたくさん配備した
その数は日に日に増えていった
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
その日、たくさんの敵が来た
敵はまた新しい武器を持っていた
新しい武器は、人間のガーディアンをたくさん倒した
私は敵と戦い続けた
オレンジ色の空が、また白色になるころ、最後の敵を倒した
私の頭部と左腕と右手は、敵の新しい武器で失った
全身には穴が開くほどの傷ができた
私は傷を治すために眠った
目が覚めれば、空の色はオレンジ色
損失した体も元通りになった
傷を治している間、マスターは老いて衰弱していた
マスターは、小さな人間を私に紹介した
この小さな人間が、これから私のマスターだと言った
私は従った
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
その日、一人の敵が来た
その敵はさらに新しい武器を持っていた
私は敵と戦った
敵は新しい武器を使った
私の体は、右手の小指の先を残し、消滅した
武器自身と敵も、その力で消滅した
小指の先だけ残った私は、傷を治すために眠った。
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
目が覚めれば、空の色はオレンジ色
損失した体も元通りになった
……
マスターはどこ?
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
マスターがいた城は、もぬけの殻だった
人間が一人もいない
壁は植物でおおわれていた
所々、天井が落ちており、オレンジ色の空が見えた
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
私はマスターの戻りを待った
待ち続けた
空いた天井から、空の色が変わるのを見ていた
オレンジから赤、そして黒へ変わり、白色に変わり、またオレンジ色になる
そしてオレンジから赤、そして黒へ変わり、白色に変わり、またオレンジ色になる
何度も何度も何度も繰り返した
私は待ち続けた
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
雪が降り、積もり、溶ける
またしばらくした後、雪が降り、積もり、溶けて暖かくなる
またしばらくした後、雪が降り、積もり、溶けて暖かくなる
何度も何度も何度も繰り返した
私は待ち続けた
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
マスターのいた城は崩れ、跡形もなく消え去った
その場所に、大きな木が生えた
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
大きな木から種が落ちた
種から芽が生えた
芽が大きな木になった
大きな木から種が落ちた
種から芽が生えた
芽が大きな木になった
何度も何度も何度も繰り返した
私は待ち続けた
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
その日、大きな地鳴りの後、岩の雨が降り注ぎ、火の風が吹いた
火の風は強く、周りの木々は消え去った
私は遠くへ吹き飛ばされた
遠くへ、遠くへ
岩の雨が止み、火の風もおさまった
世界は真っ赤に染まった
私の体は、全身焼け焦げた
傷を治すために眠った
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
目が覚めれば、空の色は灰色
周りには何もなかった
森も、草も、川も、山も、海も
何もかもなくなっていた
あるのは、永遠と続く灰色の空と大地
私は城のあった場所へ戻ろうとした
しかし、変わりすぎた景色は、城の場所を教えてはくれなかった
私は歩き続けた
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
どのくらい歩いたのかわからない
歩いても、歩いても、景色は永遠に灰色
それでも歩き続けた
私はガーディアン
マスターに従い、マスターを守る者
マスターに作られた体と意思を持つ
マスターに従い、守護をするよう命じられている
マスターに会うまで、私は歩き続けた
。