3話 まずはファビエの邪教徒からです。
誤字報告いつもありがとうございます。
ふふふふふふ。
エレンを排除するですか……。
本当に馬鹿な連中です、分際をわきまえずに、私の一番大事なエレンを害しようなどと、そういえば彼等は邪教徒でしたね。極上の苦しみを与えて殺してあげましょう。
……しかし、妙ですね。
アブゾル教会を物理的に潰したときに、部屋という部屋はすべて破壊し尽くしたつもりでしたが、まだ部屋があったんですかね? 隠し部屋ですか?
カチュアさんの部下にそこのところを詳しく聞くと、地下空間に入る為には、少し離れた場所にある水路から侵入する必要があるそうです。たまたま邪教徒の一人を見つけて、尾行して場所特定が出来たそうです。
では、その地下空間は何の目的で作られたのでしょうか? まさか、他の国の教会の地下にも同じようなところがあるのならば、アブゾル教はまだ滅びていないかもしれませんね。まぁ、どうでも良いんですけど。
そのことについては、カチュアさんの部下が調べても、分からなかったそうです。
今はその場所を隠れ家にしている邪教徒を始末することだけを考えましょう。
私が水路に向かおうとすると、カチュアさんが止めます。どうしたのでしょうか?
「レティシア様、出撃なさるのでしたら、ネリー様とエレン様に報告する方が良いのでは?」
確かに……黙って人殺しをすれば怒られてしまいます。まぁ、怒られたとしても殺すんですけどね。
そうです!! 良いことを思いつきました。
事後報告しましょう。どうせ怒られるのならば、殺った後に怒られた方が効率的です。
そうと決まれば、水路に向かいましょう。
「大丈夫です。今は迷惑な邪教徒を始末することが先決です。ネリー様やエレンには後で説明しましょう」
私がこう言うと、カチュアさんは渋々納得してくれたみたいです。
「ここが、水路ですね。普通に町中にあるじゃないですか」
水路の入り口は、大通りから少し離れたところにありました。こんな目立つところから出入りを? と疑いましたが、血の臭いが微かにします。最近、ここで人が殺されたのでしょうか?
町中で殺人があれば、騎士達が動くはずです。ここ数日はそれもありませんでした。ということはここで間違いなさそうですね。
水路に入って血の臭いを辿っていくと、この臭いの意味が分かりました。
目の前には、血を口から滴らせた大型の犬系統の魔物がいます。
「魔物……ですか。こんな町中にこんな魔物がいるなんて、兵士は何をやっているのか……」
カチュアさんが静かに怒っています。確かに、国の中枢にいる人間からしてみれば、これは由々しき事態です。
安全であるはずの町の中に、かなり強力な魔物がいるのですから……。しかし、血の臭いを辿ってここまで来たのは失敗でしたかね? おそらくですが、邪教徒がアブゾル信者を殺し、こいつにエサとして与えていたのでしょう。全く趣味の悪い。
私は神剣を抜きます。そういえば、神剣の名前が無くなったんですよね。エレンとそのまま呼んでいたら、エレン(本物)に怒られましたし……。
まぁ、それは後で考えるとして、久しぶりのお仕事ですよ!!
魔物とはいえ所詮は獣。私とカチュアさんの敵じゃありません。
「しかし、妙ですね。この魔物はどうして水路から出てこなかったのでしょうか? 普通は、さらなるエサを求めて外に出てくると思うのですが……」
カチュアさんの言うことは尤もです。
確かにこの場所に来るまでに結構な数の分かれ道がありました。これだけ複雑ならば迷ってしまうでしょう、人間ならば。しかし、魔物は別です。
魔物は、本能のまま、嗅覚や聴覚で得物を探すそうです。そんな魔物が、こんなエサがいつ来るか分からない場所に留まっているのでしょうか? 使役しているのでしょうか? 魔物を使役ですか。聞いたことがありませんね。
どのみち、聞くことが増えましたね。
私とカチュアさんは抜け道を探します。あの魔物にエサを与えていた以上、邪教徒もここに来ていたはずです。それとも、殺す対象をここに招き入れた? どちらにしても抜け道があると思って探してみた方が良いでしょう。
二人で数十分探しましたが、抜け道らしきものはありませんでした。ということは、後者だったということですね。
私は血の臭いを頼りにこの魔物の場所まで来ましたが、分かれ道も結構ありましたし、ここに送り込まれた人間は迷い疲れた挙句に、魔物に出会ってしまったということでしょうか?
そう考えたとしても妙です。アブゾル教の生き残りが少ないとはいえ、この魔物が大人しくしているほどのペースでエサを与えていたことを考えると、結構な数の人間がここに送り込まれたことになります。
それにもかかわらず、迷い力尽きた人間の死体もあってもいいはずです。まさかと思いますが、送り込まれた人間が全て魔物に喰われた? 流石にそれはないでしょう。数が多ければ、一人か二人は生還してもおかしくないはずです。
疑問は残りますが、今、ここが何処かが分からないとなると邪教徒の居場所が分かりません。
「カチュアさん。人の気配を感じることが出来ますか?」
「そうですね……。無理です。この上には町があります。町の人の気配を感じてしまいますので、邪教徒を特定することは出来ませんね。レティ様。一度帰りませんか?」
「うーん。今帰ると、何の成果もなく帰ることになってしまいます。出来れば邪教徒の居場所だけでも特定したいですね」
私とカチュアさんは考えます。
カチュアさんの部下の人は、邪教徒について行って場所を特定したと、それが旧アブゾル教会の真下……もっと確実な方法がありましたね。
「カチュアさん、一旦外に出ましょう」
「どうするんですか?」
「下がダメならば、上から行けばいいんじゃないですか?」
「その手がありましたか!!」
カチュアさんは物分かりが良くて本当に助かります。
私達は早速、入り口を目指します。まぁ、一度通った道は覚えているのですけどね。
水路から出た私達は、アブゾル教の跡地にやってきました。
この地下ですよね? 確かにここに立ってみると、微かですが人の声が聞こえてきます。
私は声が一番大きく聞こえる場所に移動します。
今の私は良くも悪くも有名人です。町の人達に注目されている様ですね。
カチュアさんが察してくれたようで町の人を誘導し始めます。
「皆さん。今から少しこの場所に穴をあけます。離れていてください」
カチュアさんの忠告のおかげで町の人達が離れてくれます。
これだけ離れてくれれば、巻き添えを喰らわないでしょう。
私は地面に向かって思いっきり殴りかかります。
「えい!!」
私の拳が地面に当たると、地面は抉れ地震が起こります。流石に地面に穴をあけるほどの衝撃です。地震くらい起こりますよね。
私は何度も地面を殴ります。そして、何度も地震が起こります。
暫く地面を殴っていると、紫頭が駆け寄ってきました。
「お前等!! 何やってんだ!!?」
どうやら怒っている様です。何故でしょう?
「ここに穴をあけようと思いまして……」
「アホか!!? 城の方にお前が暴れていると苦情が入ったんだぞ!!」
「ち、違うんです!! この下に!!?」
「いいから来い!!」
こ、これは困りました。エレンとネリー様に怒られます……。
私達は紫頭に連れられてお城に連行されてしまいました。
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