教会編 47話 アブゾルというモノ
最終決戦です。アブゾル第一形態w
いつも誤字報告ありがとうございます。
誤字というか、言葉の使い方の指摘がありましたので修正しました。ありがとうございます。
「キサマぁあああああああ!! どこまでボクを邪魔すれば気が済むんだ!!」
邪魔ですか? そりゃとことんでしょうかね?
だって面白いじゃないですか。
「貴方が惨めったらしく土下座して、泣いて謝って惨たらしく死ねば邪魔しないですよ。そもそも前回の戦いで逃げるからいけないんじゃないですか」
私は笑顔でアブゾルに答えます。
しかし、今度は少年の姿ですか……。本当に多趣味な人ですね。
まぁ、人の性癖をどうこう言うつもりはありませんが……。
あぁ、そうです。これだけは教えておいてあげませんと。
「タロウが死んだそうですよ? 永遠の罰を与えられたそうですよ」
「何を言っている!? アレはボクが殺したんだよ!! それともアレか? 改心したあいつを殺したことを怒るのか? キサマにその資格はない!! キサマも以前にタロウ拷問していただろうが!!」
何を言っているのでしょうか?
私がタロウの為に怒る?
在り得ませんね。
エレンを殺したウジ虫が改心しようと知ったことじゃないです。
「はぁ……。貴方は勘違いしていますね。ウジ虫が改心しようがどうでも良いことですし、そもそも貴方がああいう風に改造したんでしょう? そんなもの改心とは言いませんよ。それにアレにはもう飽きましたから、生きていようが死んでいようがどうでも良いですよ」
私はエレンを抜きます。
「今は貴方をどう甚振るか……それしか興味が無いんですよ?」
とはいえ、アブゾルは今空中にいます。私が跳んでも落ちますからねぇ……。
浮遊魔法でも開発しておけば良かったです。まぁ、今更何を言っても遅いですね。
とりあえず、髭爺を叩き落とします……か!!
「な!!?」
私は地面を蹴り、一瞬でアブゾルの頭を掴み地面に向かい投げつけます。
アブゾルは激しく地面に激突しました。
「ぐっ!!」
私は地上に降りて、アブゾルと対峙します。
「あはははは。これで対等ですね。さぁ、遊びましょうよ」
「ふざけるなぁああああああ!! 私は神だ!! この世界を作りしものだ!! 私を殺せばこの世界が終わるぞ!!」
これは嘘ですね。
私はクランヌさん達を見ます。
クランヌさん達はアブゾルの言葉を聞いて青褪めています。
確か、魔族はアブゾルによって作られたと、言われていましたねぇ……。
これに関しても、私はあり得ないと思っています。
確かに御伽噺に出てくるような神様ならば、それも可能でしょう。
でもサクラさんは言いました。
『神というのは神族という種族の人が、世界を管理する名目で与えられる称号』
これを聞けば、神にそこまでの力がないことは馬鹿でも分かります。
ここからは推測なのですが……。
「嘘はいけませんよ? 貴方に世界を作る力など存在はしない」
「!!?」
アブゾルは私のハッタリに驚いています。
しかし、驚くということは、私の予測は的中しましたか。
サクラさんはアブゾルを始末しに来たと言っていました。それはつまり、アブゾルが死んでもいい存在だということです。
死んでもいいということは、アブゾルがいなくなったところで、この世界には何の影響も無いということです。
サクラさんが直接手を下さなかったのは、偶々その場に私という神に匹敵する者がいたからこそ、この世界の人間にアブゾルを倒して欲しいと言い出したのでしょう。
もし、私がいなければ、サクラさんによってアブゾルは一瞬で殺されていたでしょうね。
私のハッタリはまだまだ続きます。
「あぁ、貴方が魔族を作ったというのも嘘ですね。元々いた魔族の原種を自分の思う様に改造したのが魔族であり、改造前の原種が人間、そして例外が魔物。あれは動物に近いでしょうか? まぁ、突然変異した動物というのが一番自然でしょうか?」
「な、な、な……。何故キサマがそのことを知っている!? それは神族だけが知る事実のはずだ!!」
はい。言質を取りましたよ。
私は神族ではありませんから、神族の事情など知るはずもありません。
「本当に貴方はアホですね。私がサクラさんにでも聞いたとでも思いましたか? こんなの私の推測でしかないのですよ。それをわざわざ肯定してくれてありがとうございます。あぁ、仮に貴方がこの世界を作り出していて、殺せない存在だとしても、方法はありますよ。例えば、貴方に醒めることのない永遠の封印を施すとかですね。別に殺さなくても、苦しめる方法はいくつでもありますから」
「ぐ!!? レティシア!! キサマはボクを怒らせ過ぎた!! ただで死ねると思うなよ!!」
アブゾルは先程の魔力球を、幾つも空中に作り出します。
沢山作ればこちらが何もできないとでも思いましたかね?
「さぁ!! 死ね!! 絶望に震えろ!!」
あぁ、確かに数が多いので殴って返すのは不可能ですかね……。じゃあ斬りましょう。
私は魔力球に斬りかかります。アブゾルは口角を釣り上げて「かかったなぁ!!」と笑います。
私が退こうとしましたが、それも遅く大爆発に巻き込まれてしまいます。
まぁ、こんなもので死なないんですけどね。
「あはははははははは!! いくら貴様でもこれで無傷なわけがない!!」
「無傷ですけど?」
まぁ、少しだけ洋服が汚れましたかね。
「何ぃ!!?」
全く、貴方の魔法はとっくに解析済みです。魔法の効果を操作することくらいは簡単ですよ。威力を極小まで落とし、爆発だけは派手に見えるようにしただけです。
私に魔法は効果が無いと知ると、アブゾルは剣を召喚してきます。
私と斬り合いで勝てるとでも? 本当に自身に自惚れているのですね。
「死ね!! レティシア!!」
「貴方が死ぬんですよ?」
暫くはアブゾルと打ち合います。
アブゾルの剣技は剣技というにははるかに遠く……っと、この感想を前の戦闘でも言った気がします。気のせいですかね?
まぁ、いいでしょう。
それはともかく、打ち合って気付いたのですが、ある意味前よりも弱くなっていませんかね?
爺の頃の方が、斬撃に威力がありました。それに比べて今は物凄く落ちています。それにスピードもあまり変わらず……。
「あのぉ~。貴方と戦うのを楽しみにしていたのですが、この程度ですか? もしこれが本気だというのなら、もう殺していいですか?」
「ふ、ふざけるなぁ!!」
アブゾルは魔法を織り交ぜて攻撃してきます。
先程よりは歯応えが出てきましたが、それでも所詮その程度です。
つまらないですね……。
もう殺しましょう。
本当の戦いは殺した後からでしょうからね。
私は一瞬の隙をつきアブゾルの首を斬り落とします。
普通の相手ならばこれで殺せるのでしょうけど、恐らくは殺せません。
首の無くなったアブゾルの体は痙攣をおこしその場に倒れます。
しかし、痙攣したまま体が浮き、急に萎みだします。気持ち悪いですねぇ……。
アブゾルの体はだんだん縮んでいき、そのまま消えてしまいました。……とその時、空が割れます。
その空の割れ目からは、巨大な何かが這い出てこようとしていました。
それは茶色い巨体の一つ目の巨人。口は裂け、黒い炎を纏っています。
これは……?
「レディジアアアアアアアアアアア!!!!!!」
あぁ、これがアブゾルの本当の姿……というわけですかね?
次回、エレンの魂がどこにあるかが判明します。
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あと4話で終わる予定です。
その後は閑話を書くつもりですが、更新頻度は不定期になります。




