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親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
2章 教会編

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教会編 40話 胸糞の悪い戦争です。

誤字報告、いつもありがとうございます。



 姫様から帰ってくるように言われたので、姫様の執務室に直接転移します。

 執務室では、姫様や紫頭が慌ただしく何かの書類をまとめている様です。

 宰相さんも忙しそうで、魔宝玉で……この声はブレインでしょうか? 連絡を取り合っている様です。


「姫様。今帰りました」


 しかし、返事はありません。

 私は邪魔にならないように、扉付近に立ちます。

 本当に何があったのでしょうか?


 暫くすると、少し落ち着いたのか姫様が疲れ切った顔で「レティ。お疲れ様」と労ってくれます。どう考えても姫様の方が疲れている様に見えますけど。

 私は、姫様に紅茶を入れます。

 私はがさつなので料理も何もできないのですが、紅茶の入れ方だけはカチュアさんに習いました。

 何故、紅茶の入れ方を覚えたのかというと、姫様を労うのに私一人では何もできないのが悔しかったので、カチュアさんに頼み込みました。最初は教えてくれませんでしたけど、渋々教えてくれました。


「レティ、ありがとう。とりあえず私が話をする前に、マイザーでのことを報告して欲しいの」

「はい」


 私はマイザー王国で起こった、教会の神兵の所業を話します。

 姫様は悩んでいる様です。マイザーで起きたことはファビエでも起こるかもしれないのです。

 私としても、マイザーでのことで学びました。

 一般の人間を殺すのならば、体調不良になろうが熟練の兵士ならば可能ということです。

 マイザーには、ベネットさんを守る騎士と、あの魔法を使う魔導士は派遣していましたが、町中の兵士達はまだ派遣し終わっていませんでした。

 姫様は少し溜息を吐き、私にある書類を見せてくれます。


 その書類には、エラールセ皇国での出来事が書いてありました。

 どうやらグローリアさんは、教会の神官達を処刑したようです。

 実際、教会の神官達はエラールセ内部にまで入り込んでいたらしく、ビリーブさんが魔法を発動すると苦しみだす者が多かったそうです。

 皇国の要職についている人が、教会信者なだけだと処刑するまではいかないのですが、これが神官ならば話は別です。

 グローリアさんは一人一人目の前に呼び、魔法の効果を説明したうえで、国外退去を命じたそうです。

 流石に要職についている人には、教会を捨てるように命じたそうですが、その要職の人が教会の神官だった場合、「教会を捨てる」という言葉を聞くと、狂ったようにアブゾルへの忠誠を語り出したそうです。


 今の話を聞いて一つの疑問が生まれました。

 アブゾルほどの狡猾な神であれば、嘘をつかせるのは簡単なことだと思うのですが……。

 あの神は人間を自分の道具のようにしか思っていません。バレたところで、それを盾に宣戦布告できるとでも思っているのでしょうか?


 姫様の話は続きます。

 教会はエラールセ皇国を神敵認定したとのことです。

 まぁ、神官を処刑している以上避けられないと思っていたのですが、随分と早いですね。

 事は私が思っている以上に早く進んでいる様で、教会の神兵達や神官で構成された教会軍がエラールセを取り囲んでいるそうです。


「姫様。私はエラールセに転移します」

「そうね……。でも、一つだけ約束して欲しいの」

「はい?」

「これはグローリア殿の決断の結果よ。だからこそ、グローリア殿が協力を要請した時以外は手を出さないで」

「はい」


 それは当然ですね。

 私が教会軍を殺し尽くしてしまえば、エラールセ皇国の覚悟が無駄になってしまいます。

 私が出来ることは、グローリアさんやエラールセ皇国国民を守ること……。


「行ってきます」


 

 エラールセ皇国の謁見室に転移したのですが誰もいません。

 私は部屋を出て、お城の中を見回します。

 慌ただしいようですね。


「そこの人、グローリアさん達はどうしました?」

「な!? 貴女はレティシア様!?」


 エラールセ城内の侍女らしき人でも私のことを知っているのですか?

 まぁ、話が早くていいのでそれは良しとしましょう。


「グローリア様達は前線に出ておいでです」

「分かりました」


 私は侍女にお礼を言い、エラールセ皇国の外門前に転移します。


 どうやら、戦争は始まってしまっている様ですね。

 あ、グローリアさんがいました。


「レティシアか。なぜ来た?」

「同盟を組んでいますからね。でも安心してください。手は出しません」

「そうか……。教会を指揮しているのは、アードフルだ。アイツとは俺がケリをつける。レティシアは国民を守ってくれるか?」

「その点は安心してください。すでに結界を張ってあります」

「そうか、では行くぞ!!」


 私は戦争の成り行きを見守ります。

 教会軍には神兵もいますが、大半は戦う力を持たない神官。しかも、ただの信者まで含まれている様です。

 正直な話、見ていて気分の良い物ではありません。

 教会軍には、女性や子供も含まれています。

 確かにエラールセ軍にも女性騎士や女性兵士さんはいます。しかし、教会軍の女性は明らかに訓練を受けたこともないような、女性達ばかりでした。

 エラールセ皇国軍も最初は躊躇って殺せなかったようですが、躊躇いを見せて殺される兵士が出たことで、皇国の兵士達は教会の女性や子供も殺すようになってしまいました。

 兵士さん達の顔は、辛そうです。

 本当に胸糞の悪い戦争です。

 アブゾルは、教会の人間から死ぬ恐怖を麻痺させてしまっているのでしょう。

 その証拠に、兵士さんが戦意を喪失させるような傷を負わせても、例えば四肢を全て切断しても襲いかかろうとしたくらいです。

 おそらく痛覚も麻痺させているのでしょう。

 教会側の人間を止めるには、殺すしかありません。

 大きなお世話かもしれませんが、せめて兵士さん達の精神が壊れないように、この戦場全てに精神耐性の魔法でもかけておきましょう。


 数時間後……、戦争は終わりました。

 こちらは正規の軍人、あちらはほとんどが民間人。最初から最後まで一方的な戦争でした。

 教会側の生き残りは枢機卿ただ一人……。

 エラールセ皇国軍の兵士に押さえつけられた枢機卿と、その前に立つグローリアさん。


「アードフル。言い残すことはあるか?」


 グローリアさんは、冷たい目で枢機卿を見下ろします。

 右手には冷たく鈍く光る剣を持ち、その手を振り上げます。


「な、何をする!! 私は枢機卿だぞ!!」

「そうか……。ならば、枢機卿として……死ね」


 グローリアさんが剣を振り下ろし、枢機卿の首が転がります。その髪の毛を掴み上げ、勝利宣言をしたことによりエラールセ皇国と教会の戦争は終わりを告げました。

ブックマークの追加、評価、感想ありがとうございます。


今回の戦争で教会はほぼ壊滅です。


次の話から暫くレティシアは出てきません。

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