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親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
2章 教会編

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教会編 39話 都合のいい話ですね。

誤字報告ありがとうございます。


 神兵達は私を囲みます。

 新しいタロウ達と違い、この神兵達は熟練の兵士の様です。

 第三者から見れば、私は絶体絶命でしょう。ですが、私からすれば大したことはありません。それに神兵達の体調は、私の魔法が原因で最悪のはずです。

 しかし、神兵達はフラフラな体を押して私と戦おうとしています。


 健気ですね……いえ、ただの無謀ですか……。

 あぁ……、もしかしたら、数の暴力ならば、私を殺せるとでも思っているのでしょうかね。

 はっ、つい鼻で笑ってしまいますね。


 ……甘いんですよ。


「魔王レティシア!! 貴様を神の名の下に滅する!!」


 神の名の下ですか……下らないです。

 教会の威光が私に効くとでも? そんなもので何が救えるのか……。


 そんな事を考えていると、一人の神兵が前に出てきます。彼だけは、立派な鎧を着ています。

 彼は部隊長でしょうか? いえ、神兵の長ですかね?


「貴方は何者ですか? 人間じゃなさそうですけど?」


 彼の気配は、間違いなくアブゾルの気配のそれと変わりません。

 いえ、彼からアブゾルの気配を感じているんじゃありませんね……あの槍です。

 あの槍は聖剣でしょうか? いや、槍ですから聖槍ですか。

 

「魔王レティシア!! この槍は魔を祓う槍だ!! 貴様をこの槍で消し去ってくれる!!」


 魔を祓うですか……。

 私は人間なのですが、私限定で効果のある聖槍ですか。アブゾルの考えそうなことです。

 それに彼も人間ではなく、アブゾルに作られた神の眷属と言ったところでしょうか……。

 生物を作り出すことは、倫理に反すると思うんですけどね。

 神に倫理があるかは知りませんけど。


 まぁ、いいでしょう。


「死にゆく神兵に祈りましょうか……。誰に祈るか困りますが、ここはアブゾルに祈りましょう」


 私は祈る真似をします。

 明らかに神を冒涜しているように見えるでしょう。当然、私もそのつもりでやっています。

 私にとってアブゾルは、ただの髭爺ですからね。


 私はエレンを握り、構えます。

 教会の神兵にも家族がいるでしょうが、私には関係ありません。

 マイザーの国民が受けた屈辱と恐怖を……。


 貴方達に植え付けたうえで殺しましょう。


 私は、神兵が反応できない速度で、神兵の腕と足を斬り落としていきます。

 何もできない体になった神兵は()()()()()()()()()()

 そうです、私が斬ると同時に痛覚麻痺の魔法をかけているからです。

 本当に便利な能力です。思った魔法を作り出すことが出来るんですから……。

 思えば、この能力が発現したのも、アブゾルと戦っている最中でしたね。


 そこいらに転がっている神兵は、自分達が何も出来ないことに、涙し、恐怖しています。

 何故泣くのですかね? 

 貴方達も、先ほどまで同じことをしていたでしょう。それも、私は慈悲で痛覚麻痺をかけていますが、貴方達は苦しむ人達を嘲笑いながら、殺したのでしょう?

 それなのに自分達の命の危機では泣くのですか?

 都合がよすぎるでしょう……。

 

 私は、マイザー国民の死体を見ます。

 死体は、槍で必要以上傷つけられたり、裸で殺されている女の人もいます。

 これを、教会の……、人類の救いと呼ばれている教会の神兵が、己の欲望のままに人間を殺すんですから、この世界に救いは無いんでしょう。

 

 ……どうやら、思ってる以上にアブゾルのやり方が雑になってきている気がします。

 

 ここからは私の推測なのですが、恐らく神兵は、アブゾルによって精神を操られている、もしくは作り変えられた、と見てもいいでしょう。

 グローリアさんの言う通り、枢機卿の人格そのものが変わっているのならば、神兵達の人格も変えられているのでしょうかね?

 だからと言って、この人達の犯した罪が消えるわけがありません。


 ふふっ……。


 ここにいる誰よりも人を殺している私が罪をほざきますか……。


 ……やめましょう。

 私にとって神兵は敵。殺すべき対象。

 せめて、これ以上苦しまないように殺してあげましょう。


 私は神兵達を殺して回ります。

 やがて、この場で動くのは私と神兵長だけになりました。


「こ、ここまで力の差があるのか!!? これでは勇者でも魔王を倒せるとは……」


 思えないでしょうね。


「し、しかし、私はアブゾル様に作られた最強の神兵!! お前を殺してやるぞ!!」


 神兵長の体が二倍に膨れ上がります。

 タロウがウジ虫だった頃に戦った時の変化に似ていますね。

 

 しかし、私にしてみれば先程までと大して変わりません。

 私は、神兵長の腕を斬り落とします。


「ぎゃあああああああ!!!」

「貴方には痛覚麻痺の魔法をかけません。痛みで正常な判断はできないでしょう。もう戦うことは不可能に近いはずです。何か言い残すことはありますか?」


 神兵長は、私を睨みつけます。

 

「こ、この悪魔め!! き、貴様の様な愚か者は……か、神の炎に焼かれるはずだ!!」

「それが最期の言葉ですね。さようなら……」


 私は、神兵長の体を深く斬りつけた後、焼き尽くします。

 神兵長は苦痛の表情のまま、燃え尽きました。


 しかし、アブゾルは本当に趣味の悪いことをしますね。

 自分を信じている者の、精神を弄って、死にに行かせる。

 流石の私でも、気分が悪くなりますね。

 あぁ、死体が残っているとアブゾルが生き返らせる可能性がありますから、神兵は焼いておきましょう。

 マイザー国民は、マイザーの人達の手によって弔われるでしょう。


 私が、神兵の遺体を焼き尽くした頃に、ブレインから持たされた魔宝玉から姫様の声がします。


『レティ。マイザーはどう?』

「はい。マイザー王都を制圧していた神兵は皆殺しにしました。後は、ベネットさんに任せておけば大丈夫でしょう。エスペランサ軍の派遣が終わるまでは、ここにいた方が良いでしょうか?」

『いいえ。クランヌ殿から今すぐ転移させると聞いているから、それは大丈夫よ。レティには今すぐ戻ってきて欲しいの』

「それは良いのですが、何かありましたか?」


 姫様の声は、少し焦っています。

 何かあったのは明白でしょう。


『エラールセで動きがあったらしいわ』

「分かりました」


 私は国民の無念そうな死体達を後に、ファビエ王国へと戻りました。


ブックマークの登録、評価、感想、ありがとうございます。

少しでも面白いや、続きが気になると思っていただければ幸いです。


教会編は後10話くらいで終わる予定です。その後は、まだ何も考えていません。

このまま完結にして、新作始めるのもアリかな? 新作構想は何種類かあるので。

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