教会編 26話 ウジ虫が殺されました。
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今紫頭は何と言いましたか?
ウジ虫が消えた? 私が作った結界を破ったとでも言うのですか?
私は紫頭の胸ぐらを掴みます。
「紫頭。ウジ虫が消えた時のことを詳しく話しなさい」
「あぁ」
紫頭が言うには、今日の拷問は道具屋のおじさんだったそうで、大量の拷問具をウジ虫に見せつけていた時に、急にタロウが苦しみ始めたので紫頭に報告に向かったそうです。
紫頭がいたのは拷問部屋の隣の部屋。これは、拷問部屋に一緒にいれば、拷問する者が遠慮するのを防ぐためで、もしもの時のために監視人は隣の部屋で待機することになっています。
おじさんと話していたとはいえ、ウジ虫達から目を離したのは数分程度だったそうです。
紫頭とおじさんが話をしていると、急に拷問部屋の扉が光り出したそうです。その光が原因かどうかは知りませんがウジ虫が叫び始めたそうです。
光が止むと同時に静かになったので、紫頭が急いで部屋に入ると、ウジ虫はすでにいなくなっていたそうです。
紫頭は結界を破って逃げたのかと思い、急いで私達に報告に来たそうです。
「奇妙ですね。私の結界が破られたのならば、私が真っ先に気付くはずです。それを私に気付かれずに逃げるなんて……もしかしたら」
「レティ。何かに気付いたの?」
「はい。もしかしたら、何かに転送させられたかもしれません。一度調べてきます」
私は紫頭を連れて、地下へと向かいます。
地下には、地下拷問室直属の数名の兵士と道具屋のおじさんが話をしていました。
「どうしました?」
「レティシア様。この男が持ってきた毒草から毒霧が発生しているらしく、拷問部屋に入れないのです」
毒霧ですか……。
私も暗殺に毒草を使うのでそれなりに詳しいのですが、毒草に毒霧を出すような品種がありましたかね?
おじさんは、何かを隠しています。……あぁ、そういうことですね。
「おじさん。品種改良しましたね? 毒草の品種改良は重罪ですよ?」
私がそう聞くと、おじさんの顔が青褪めます。
この世界では毒草の品種改良は重罪になってしまいます。というのも、毒草というのは、わりと簡単に普通の植物と見た目の変わらない品種に改良することができ、それのせいで一国が滅びかけたことがあり、全世界で禁止されました。この国もその時に毒草の品種改良を全面的に禁止にしたそうです。
重罪というだけあって、これを破ったものは処刑。もしくは、永久投獄の刑です。
植物に関わる人は、間違えても毒草の被害が出ないように細心の注意を払うモノです。
いえ、暗殺者達ですら毒草を扱おうとしません。なぜなら、どの国の特殊部隊かどうかは知りませんが、毒草を品種改良し使った時点で組織そのものが皆殺しにされるという噂があったからです。
あ、私じゃありませんよ? 私もそこまで暇ではないので。
「い、いや。何のことか分からねぇ」
おじさんは惚けますが、私がそんなちんけな嘘に騙されるとでも?
まぁ、今はウジ虫のことの方が優先です。
「兵士さん。おじさんを捕らえた後、少し下がっててくれますか。紫頭。貴方は毒にどれくらい耐性がありますか?」
「あぁ。人間よりは耐性を持っているとは思うが、それでも特別強いというわけじゃない。この部屋の中にあるの猛毒の類ならば、もって数秒だろうな」
紫頭も避難させておいた方が良いですね。
「紫頭。貴方も少し離れていてください」
「お前はどうするんだ?」
「私に毒は効きません。中に入って浄化してみます。それでダメなら私一人で調査します」
紫頭は私を止めようとしましたが、私は気にせず部屋に入ります。
部屋の中は毒霧で充満していますが、それほど強力でもなさそうです。
これなら紫頭でも耐えられそうですが、一応浄化しておきますか。
私は一番弱い浄化の魔法を使います。この程度の毒ならば簡単に浄化できます。
拷問部屋を浄化した後、兵士さんや紫頭を呼び、皆で部屋の調査を始めました。
ウジ虫がいた場所の足元には黒い炭の様な粉が落ちています。
これは……。
私は炭を指で触ります。
これは、何かを焼いた後の炭? なるほど……。
私は紫頭を呼びます。
「どうかしたか?」
「ウジ虫は殺されましたね」
「な!!?」
私は紫頭に炭のことを教えます。
「これは、私も良く使う火葬の魔法を使った時に出る炭に近いです。それと、結界は破られていないようです」
「どういうことだ? じゃあ、勇者タロウは誰に殺されたんだ?」
私の脳裏に一人の髭爺が頭をよぎります。
まさか、グローリアさんが言っていたことを思い出します。
『アブゾルがいないと決めつけるのは危険かもしれないぞ』
やはり、あの人と一度話をする必要がありますね。
「紫頭。姫様にグローリアさんとクランヌさんとの会談を開くように言ってください。日程は明日か明後日にでも、転送は私がします」
「お前はどうするんだ?」
「私は別の人・・と話をした後、お二人に時間を作って貰うように頼んできます」
私は、拷問部屋を出て自室へと向かいます。
ここならば、騒ぎにならないでしょう。
部屋にはカチュアさんが待機していました。
「お帰りなさいませ。レティ様」
「ただいまです。今からお客さんを呼びますから、お茶を二つ用意してくれませんか?」
「かしこまりました」
カチュアさんはお茶を用意するために部屋を出ていきます。
私は一人になった部屋で、上を向き呟きました。
「どうせ見ているんでしょう? 降りてきてください」
刹那。部屋が光り始め、少女が出てきます。
女神サクラ。この人が言うには、神の中で一番偉いそうです。
「久しぶり。レティシアちゃん」
前話で魔族が殺されたと書きましたが、嫌な予感がしたので見直してみたら、とっくに死んでいました。ということで、前話の最後の紫頭のセリフを少し書き換えました。
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