表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
2章 教会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/134

教会編 24話 野性味ある人です。

 エラールセ皇国。

 高い壁に囲われた要塞のように作られた国です。

 この国の厄介なところは出入口が一か所しかなく、仮に壁を破壊して侵入しても、入り組んだ町の作りのせいで、なかなかお城に辿り着けないところにあります。

 幼い頃の私は、愚直にもこの壁をよじ登り、建物の屋根を使って潜入しました。

 今から考えると面倒くさいことをしていたものです。今なら城門を破壊して堂々と侵入しますのに。


「ここがエラールセか。相変わらずこの壁は壮観だな」

「え? レッグさんはエラールセ皇国へ来たことがあるんですか?」


 私がそう聞くと、レッグさんは気まずそうになります。

 何かあったのでしょうか?


「この国には冒険者の時に何度か世話になったんだよ」


 冒険者だった時ですか。

 レッグさんは過去に何をやっていたか、良く分からないことが多いんですよね。まぁ、今まで興味が無かっただけなんですけど。

 しかし、このエラールセという国は軍事面が優れているのでしょうか? 兵士の鍛錬が良くできているみたいです。


「マイザーとは違いますね。ここの兵士はそこそこ強いみたいです」

「お、おい。門番が睨んでいるじゃないか」


 正直な感想を言っただけなんですが、何故睨まれる必要が?

 私は門番と話をするために門番に近付きますが、レッグさんに止められます。


「お、おい。何をしようとしている?」

「え? 少し()()しようと思いまして」

「教育って何だよ……」


 私とレッグさんが話し合っていると、門番の方から近付いてきます。

 これで正当防衛が成り立ちますね。

 私は密かにアサシンナイフを取り出します。

 門番は怪訝そうな顔をして、私達に槍を突き付けてきます。


「何用だ!?」

「いきなりなんですか? ころ「俺はファビエ王国の王配レッグ。皇王『グローリア』殿に謁見を申し込みたい」」


 邪魔されました。

 しかし、ファビエ王国と聞いて門番は驚いている様です。


「ファビエ王国だと!? あの教会と揉めている国か!?」

「そうですが、門番ごときがファビエ王国をコケにするのですか?」


 私は門番を睨みつけます。

 全く……たかが門番の分際で王配であるレッグさんをコケにするとはいい度胸です。


「レティシアちゃん。喧嘩を売るんじゃない。そもそも教会と揉めているのは事実だろう」

「喧嘩など売っていませんよ? 喧嘩にもなりませんし」


 一方的に蹂躙するだけです。

 レッグさんは私の頭を一発小突いてから、姫様から受け取った手紙を門番に見せます。


「悪いがファビエ王国女王であるネリーから、エラールセ皇国国王グローリア殿宛の書簡を預かっている。是非、謁見させてもらいたいのだが?」


 レッグさん。丁寧な言葉が使えたんですね。

 少しだけ見直しました。

 門番も正式な書簡を持っているレッグさんを信用したらしく、素直に王城まで案内してくれます。

 

「こちらです」


 お城に辿り着くのに馬車で2時間はかかりました。

 本当に厄介な街並みです。


 エラールセ王城は至る所に重騎士が配置されていてまるで戦時中のような緊張感に包まれています。

 長い廊下を歩いて行くと、奥に謁見の間へと通じる大きな扉の前で兵士が立ち止まります。


「ファビエ王国王配、レッグ様をお連れしました」


 兵士は大きな声で、扉をノックします。


「入れ」


 扉の向こうから威厳のある声が聞こえてきます。この声は()()()です。


 部屋に入ると、大きな玉座に真っ赤な髪の毛の野性味あふれた男性が座っています。

 右目には大きな傷があります。あれは私が付けた傷ですね。

 この人が狂皇グローリアさんです。

 グローリアさんは、レッグさんを見て笑顔になります。

 ん? お知り合いですかね?


「はははは。久しぶりだな。レッグ!!」

「お久しぶりです。グローリア殿」

「堅苦しいぞ。俺とお前の仲だろう?」


 仲? そういえば、何度かお世話になったといっていましたね。


「お知り合いだったのですか?」

「あぁ。以前一緒に仕事をしたことがある。あの当時は、狂皇だとは思っていなかったがな」


 以前お仕事を? この人は皇族では無いのですか?


「この人は身分を隠して冒険者をやっていたんだよ」

「あの頃の俺は、王になるなんてこれっぽちも思っていなかったからな」


 グローリアさんは目の傷を触り始めます。


「そっちの小娘があの噂のレティシアか。……久しいな」

「そうですね。あの頃はまだ幼く、貴方に後れを取りましたが、今ならば殺しきれる自信がありますよ」


 私が小さく口角を吊り上げると、グローリアさんの周りの人間が殺気立ちます。

 国王を殺しきれると言ったんです。配下ならばその反応は当然でしょうね。

 しかし、グローリアさんが手を上げ、周りの人間を止めます。


「よく言うわ。あの当時でも俺はギリギリだったぞ? あの時、衛兵が来ていなければ俺が死んでいたさ」

「殺されかけたのによく笑っていられるな」


 レッグさんも呆れ顔になっています。

 私達は謁見室の隣にある会議室に通されます。

 グローリアさんがレッグさんや私と話をするのに堅苦しいのは嫌だと言い出したからです。


「で? お前は何の用で来たんだ?」

「これを」


 レッグさんは手紙を渡します。しかし、グローリアさんは読もうともしません。


「読まないのか?」

「読まんでも内容は分かる。教会のことだろう? あいつらの最近の言動と行動は度が過ぎている」


 どうやら、エラールセ皇国でも好き勝手なことを始めているそうです。

 不可侵条約があるというのに、国の政策に口を出してきたり、国の中枢に神官を送り込んできたこともあるそうです。


「最近の教会は何かがおかしい。まぁ、理由は分かっているんだがな」


 理由を知っている? どういうことですかね?


「俺は知っているぞ? 神ギナのことも、レティシアがアブゾルを殺したこともな」

「「な!!?」」


 私とレッグさんはつい反応をしてしまいました。

 ま、まさか、グローリアさんにアブゾルの事を知られていたなんて……。 

ブックマーク、評価、ありがとうございます。

日間ハイファンタジーで22位にランクインしました。(12月7日7.00)

ありがとうございます。

クジ引きも同時投稿しましたので、読んでくれると嬉しいです。


少しでも面白いや続きが気になるという方がいれば幸いです。

よろしければ、ブックマークの登録、評価をよろしくお願いします。


 他にも連載していますのでよろしくお願いします。

 新・クジ引き  https://ncode.syosetu.com/n4468fd/

 旧・クジ引き  https://ncode.syosetu.com/n2043en/ 連載凍結中 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ