教会編 22話 マイザー王国は終わりました。
今回は、読みやすくなるかな? と思い、書き方を少し変えました。
私達は、ファビエ城の大門近くの転移専用の小屋へと転送してきます。
何故、直接姫様の執務室に転送しないかと言うと、お城全体に転送妨害の結界を張っているからです。
私のように、直接転移してきて、姫様を狙ってくる馬鹿がいるかもしれません。それを防ぐためですね。
しかし、今回は私の出番がない程、レッグさんは見事でした。
「レッグさん。お見事です。完全勝利ですね」
「そうか?」
あそこまで、生ゴミを追い詰めておいて、まだ納得がいかないのか、レッグさんは満足な顔をしていません。
「レッグさんは不満だったんですか? やはり、あの場で生ゴミを殺しておきたかったんですか?」
「違うな。まだ、完全には終わってないから、油断は出来ないと思っているだけだ」
完全には終わっていない?
私からしてみれば、生ゴミの逃げ道は全て防がれたようなものです。
そもそも、簡単に首を差し出すとも思えませんし、挙兵なんかしても、私が目の前に現れて殺せばいいだけですし。
「はい。生ゴミに逃げ道は完全になくなりました。しかも、戦争にすらならない事も、確定です」
「何故そう思う?」
「私達は、城の中に直接転移できます。城を落とすのは簡単です。生ゴミが出来る事は、夜逃げだけですね」
私の予想はこれです。
あの臆病者の生ゴミならば、国を捨てて逃げる。もしくは、兵士に下らない陽動を命令して自分だけ逃げるとしか思えません。
「そうなるな。今日の夜にでも逃げると思うぜ?」
ん? レッグさんも、そう考えているのなら少しだけ疑問があります。
何故、三日も時間をあげたのでしょうか?
三日もあれば、他国まで逃げる事も可能です。
あの生ゴミが生きている以上、いつか、教会の力を借りて、再びマイザー王国で何かやりそうな気はします。
……そう言えば、姫様が手紙を書いている三日間、マイザー王国に行っていましたよね。
「何故ですか?」
「何がだ?」
「何故、レッグさんは、今回の転移前にマイザー王国城下町に連れて行ってくれと頼んだんですか?」
私がそう尋ねると、レッグさんの顔が悪くなります。
「何故って、俺は最初っからこうなる事を予想していた。あの国王は、国民を自分の私腹を肥やすための道具……いや、自分の為に生きているとでも言いたげな態度を取っていた。レティシアちゃんを簡単に手に入れられると思ったのもそれが理由だろう」
アホですか?
姫様のように、自分を犠牲にしてでも国民の為と思っているのならともかく、自身の私腹の為にだけ動いている人に付いて行く人がいるんですか?
在り得ません。
「レティシアちゃんが、そんな顔をするのも当然だ。俺だって、ネリーがマイザー国王のような性格なら、裏から手助けなんてしなかったさ。とまぁ、今ここで話しているだけでも、不満が出てくるわけだ」
「はい。姫様はそんな性格じゃないですけどね」
「んな事は分かってるよ。それでな、俺の昔の知り合いに、マイザー王国のスラム街を牛耳っている奴がいてな、そいつに今回の事を話しておいたのさ」
スラム街を牛耳る? そんなものがいるのですか?
ん~? これはアレですね。
「生ゴミが消えた今、マイザー王国はどうなります?」
「そうだな。ネリーが管理するようになるだろうな。裏で、マイザー王の影武者を作らなきゃいけないがな」
「そうですね。また人形でも作りましょうか」
人形。サクラさんが持ってきてくれた、ギナを作り出しているホムンクルスという魔道具です。
今回の事もあるので、サクラさんから数体用意してもらっています。
「そうだな。今回も国民の前で国王には死んでもらわなきゃいかん」
そうなると、逃げた国王が気になります。
このまま逃がしてしまえば、偽装がバレてしまいます。
やはり、私が殺しましょう。と、いうよりも殺したくてうずうずしてしまいます。
「ちょっと待て。レティシアちゃんはどこに行こうとしている?」
「え? 生ゴミを殺しに行こうかと」
私の返答に、レッグさんは溜息を吐きます。
「だから、その件は問題ないと言っているだろう? さっきも言ったが、俺の昔の知り合いに話してある以上、マイザー王は生きて国を出る事は出来ないさ」
「そうなのですか?」
「あぁ。あの国の状況を見りゃわかるだろ? 国民が国王を恨んでいないわけがないだろう? スラム街の者も国民だ。愚王は国民に殺されればいい……」
「そうですか」
まぁ、それはそれでいいのですが、スラム街を牛耳っているような人物がいるのは、今後マイザー王国を裏から操るのに邪魔ですね。
「レッグさん。昔の知り合いというのはお友達ですか?」
「おい。何を考えている?」
私は、知り合いの暗殺計画を話します。
「お前はすぐに殺そうとするな……。だが、その点は大丈夫だ。スラムを牛耳るといっても、あいつがやっている事は、スラム街の人間が死んだり、王城へ反乱を起こさないようにするために監視をしていたようなものだ」
「はい? 何故、反乱を止めていたのですか?」
「反乱なんて起これば、餓死寸前の国民達や、スラムの人間だぞ? 俺達からすれば、弱すぎる騎士でも、簡単に返り討ちにあうだけさ。無駄な血を流させないためだな」
無駄な血ですか。
「そもそもだ。あの町を見ただろう? 隣にいる奴が死のうと、そんな事を気にしている余裕もない国民だぞ? 反乱のような事が出来ると思うか?」
確かにできそうにはありませんね。
「それにネリー一人じゃ、二つの国を統治するのは不可能だからな、あいつに国王の影武者をやってもらう」
レッグさんの考えた事は、国王のホムンクルスに統治させるという事でした。
そして、その知り合いの人に裏でホムンクルスを操ってもらい、その後、国王を処刑。その人が、新国王となりファビエ王国との同盟をさせるという事でした。
そこまで考えていたとは、私はレッグさんを見くびっていたようですね。
私達は姫様が待つ執務室へと帰ってきます。
「お疲れ様。マイザー王の反応はどうだった?」
「まぁ、予想通りさ。恐らく今夜にでも逃げだすさ。そうだ。レティシアちゃんには、マイザー王の監視をして欲しい」
「何故ですか?」
「今夜殺せるように、情報を渡しているとはいえ、国王がどのルートで逃げるかまでは分からん。もしもの時のための保険として、国王が死ぬまで監視をして欲しい。そして、死んだ後は、焼き尽くして欲しい」
確かに死体が残るのはいけませんね。
「分かりました」
その日の夜、生ゴミは予想通り逃げ出し、そして、知り合いと呼ばれた人に無事に殺されました。
私が燃やしに来た時に驚きはしていましたが、私の事を事前に聞いていたようで、すんなりと事は進んでいきました。
今回は、レティシアがあんまり暴れられませんでした。
次辺りに教会でも虐めさせようかな? (まだ白紙ですけど)
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