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親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
2章 教会編

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教会編 20話 私は良い人じゃないですよ?

 レッグさんの顔は完全に青褪めています。

 おかしいですね。レッグさんなら、私の性格を知っているはずです。

 もしかして、私と長く付き合う事によって、私が善良とでも思ったのでしょうか? それはありません。

「レッグさん。そんなに深刻な顔をしないで、レティはそんな事をする気はないだろうし、私も命令なんてしないわ」

「姫様、違います。今はしないだけです」

 私は真顔で答えます。

「もしこの先、姫様やレッグさん、それにカチュアさんやレーニスを()()()()が奪うような事があれば、私は躊躇なく世界を滅ぼします」

「お、お前!!?」

「何を驚いているのですか? もともと私は世界を滅ぼすつもりだったんですよ? ()()()には大事な人がいるから世界を滅ぼすのを止めて()()だけです」

 申し訳ないですが、これだけは譲れません。

 よくよく考えたら、私にも大事な人が増えました。

 そう考えれば、私も変わったものですね……。

 私はついつい嬉しくて、小さく笑みを浮かべてしまいます。

「そうね。私にレティが()()であるように、この国には、周りの国が()()なのも分かってくれているのよね」

 流石姫様。

 私の扱い方を良く分かっています。

「はい。当然です」

 私は笑顔で頷きます。

 

「で? 出発は早い方が良いのか?」

 レッグさんは、気を取り直したのか、頭を掻きながら、話を元に戻します。

 その瞬間、姫様の目つきが鋭くなります。

「そうね。各国への手紙を書くから、数日待ってくれるかな? でもね……」

 姫様は、レッグさんの全身を見ます。

「レッグさんには、王配としてふさわしい服装で行ってもらいます!!」

「な!!?」

 姫様がそう言うと、レッグさんの顔が蒼白になります。

 私としては、予想通りですね……いつかは言われると思っていました。

 仮にも、レッグさんは王族なのです。しかし、レッグさんの正装は全然似合ってません。

 姫様とレッグさんの結婚式の時には、不敬かもしれませんが、思いっきり笑わせてもらいました。

「当たり前でしょう? レッグさんは王族なのよ? 王族ならば別の国の王族にも会う事が出来るけど、冒険者じゃそうじゃないでしょう?」

 それはそうです。

 私を恐れているとしても、私と()()()が、王族に会わせろと言っても、各国の王族からすれば、会ってやる理由はありません。

「そ、そうか……。あの格好は苦手なんだけどなぁ」

 レッグさんもごねますねぇ。

「服装はきっちりしてもらうけど、会った後は、高圧的な態度で臨んでね」

 レッグさんは意外そうな顔をします。

 おそらくですが、レッグさんは私が暴走しないようにするのが、自分のお仕事だと思っていたようですね。

「どういう事だ?」

「恐らくだけど、各国の王は、こちらが言い訳をしに来ていると勘違いするはず。それだと足元を見られるでしょう?」

 成る程。

 流石は姫様です。よく考えています。

 しかし、高圧的な態度ですか……。

「レッグさん。いきなり殺気全開で各国の王族に会ってみましょうか」

「お前……。それは駄目だろう」

「何故ですか?」

「俺の殺気ならまだしも、レティシアちゃんの殺気ならば、確実に人を殺してしまう。そうなれば話にならない」

 いや……。

 いくら何でも、殺気で人は殺せませんよ? ()()()()()をぶつけるんじゃないんですから。

 その違いが分からないのが、レッグさんがまだまだなところですね。


 姫様が手紙を書くまでの間、数日間は時間が空くので、暫くは自由行動になります。

 私達は、兵士を鍛える為に、執務室から出ようとすると、レッグさんが姫様に思い出したように話しかけます。

「ネリー。孤児院の予算を増やしてくれないか?」

「どうして?」

 そう言えば、子供達を連れて来た事を話すのを忘れていましたね。

 レッグさんは、マイザー王国から連れて来た子供達の事を説明します。

 姫様は少し考えています。


「……分かったわ」

 姫様の声は、少しだけ声のトーンが落ちています。

「どうしたんですか? 子供が多ければ間引きましょうか?」

「レティ……。怖い事を言わないで……」

 あれ? 違いましたか……?

「マイザー王国が予想以上に酷くてね。これはマイザー王国への挙兵も考えた方が良いかしら……と思ってね」

 挙兵……、戦争ですね。

「攻め込みますか?」

 私は、やる気になります。

「理由は?」

 レッグさん。回りくどいです。

「当然、人道的理由よ。国民がそこまで不幸になっているのに目を逸らす王族。許せないじゃない」

 姫様は、立ち上がり、テラスの方へと歩いて行きます。

「この国も、父上のせいで随分と国民に辛い思いをさせたわ。だからこそ、マイザー王国の現状を知ってくれれば、挙兵しても兵士達も分かってくれる筈」

「やはりマイザー王を暗殺しましょうか?」

 兵士に無駄な血を流させたくないのなら、それが一番です。

 レッグさんも腕を組んで考えています。

「ダメよ。教会がソレを理由に、全世界に訴えてくるかもしれない。そうなると更にややこしくなってしまう。やるなら二国間の戦争よ」

「どうしてですか?」

「マイザー王国は、何度もうちの国からの使者を殺しているわ。それだけでも、戦争理由に充分なるわ。それに比べて、うちの国に使者に来た()()()()()()()()。つり合いが取れないわ」

 姫様は、悲しそうな目で、そう話します。

「戦争にはならないさ」

「え?」

 レッグさんが、口角を吊り上げながら、余裕そうに話しだします。

「あの臆病な王の事だ……。間違いなく逃げる」

 逃げたとしても、生ゴミの命があるだけで、厄介ではないのですか?

「そこのところは任せておけ。ネリー。まずはマイザー王国への最後通達を書いておいてくれ」

「レッグさん。任せても大丈夫なの?」

「任せておけ。ネリーも、孤児院の事を頼むな」

 レッグさんは、笑いながら姫様にそう話します。

「孤児院の件は、安心してね。下らない貴族にお金を払うよりも、この国の未来を背負ってくれる子供達の方が、大事だからね」

 姫様の目も、迷いのない、レッグさんを信頼したような目でした。


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 他にも連載していますのでよろしくお願いします。

 新・クジ引き  https://ncode.syosetu.com/n4468fd/

 旧・クジ引き  https://ncode.syosetu.com/n2043en/ 連載凍結中 


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