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親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
2章 教会編

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教会編 14話 世界を恨む理由です。

内容に一部残酷な表現が含まれております。

 

 お母さんは、村の皆から呪い子と呼ばれて蔑まれて生きていたそうです。

 幼い頃から、虐められて、いつも泣いていたそうです。

 成人して、お母さんは村を出ました。

 村を出て数年、私が生まれて、母子二人で幸せに暮らしていました。

 しかし、私達が住んでいた町に、お母さんを呪い子と蔑んだ村の男が、引っ越してきました。

 男は、お母さんの事を町の皆に「あいつは呪い子だ。関われば不幸になるぞ」と叫びまわっていたそうです。

 町の人達からすれば、普段は物静かなお母さんと、引っ越してきたばかりなのに、世迷言を叫び続ける変人。どっちを信用するかなんて考えなくともわかりますよね。

 町の人は、男の話を全く信じようとしませんでした。

 男は、自分を信じない町の人の態度に、悔しい思いをしたらしく、お母さんを毎晩襲う事にしたそうです。

 このとき私は、まだ幼かったので、当時の事を覚えていません。


 お母さんは、私を守る為に、男に毎日のように傷つけられていました。

 そんな地獄のような日々を過ごしたお母さんに、さらなる悲劇が襲いました。


 それは突然だったそうです。

 ある日、男に町の男達が話しを持ちかけました。

 今なら、襲われた理由も分かります。

 お母さんは、町の人間に比べ美人だったと思います。それで、村の男が良い思いをしているのを町の男達も、良い思いをしたかったのでしょう。

 その頃から、いつも一緒に遊んでいた町の子供達から、石を投げつけられたり、お母さん自身も、町の女の人達から嫌味や、嫌がらせを受けるようになりました。

 何故、こんな事をされるのか全く理解が出来ませんでした。

 お母さんに聞いても、お母さんは何も言わずに、私にいつも笑顔をくれました。

 裏であれほど酷い目に合っていたにも関わらずです。

 今だから言えますが、お母さんがずっと矢面に立ってくれた事によって、私が傷つけられる事はありませんでした。

 だからこそ、私は町の住民に、そこまでの憎悪を持つ事はありませんでした。


 ……あの時までは……。

 

 お母さんが殺されたのは、私が6歳の時。

 突然、お母さんは、私に木箱の中に隠れるように言いました。

 私はお母さんに言われた通り、木箱に入ります。すると木箱の上に何かが置かれました。

 出ようとしても、出れず、お母さんに「開けて?」と聞くと、お母さんは悲しそうな顔をして笑っていました。

「レティ……。ごめんね。お母さんが呪い子と呼ばれたせいで、貴女までこんなに苦しく、怖い思いをさせて……」

 これが、お母さんの最期の言葉でした。

 私は、何が何だか分からずに、木箱の隙間から家を見ていました。

 私の家では、数人の男がお母さんの髪の毛を掴み、引き摺り出していました。

 私は、お母さんを助けようとしましたが、お母さんによって木箱が開かないようにされていたので、出る事は出来ませんでした。

 男達は、お母さんを弄んだ後、逃げられないように両手両足を切り始めました。

 町の住民達が、それを笑ってみていました。

 信じられない事に、町の子供達も一緒にです。

 私は怖くて、目を逸らします。

 外からはお母さんの悲鳴……いえ、あれは断末魔ですかね。……が聞こえてきて、もう地獄でした。

 でも、このままじゃいけないと思い、勇気を出して、箱の隙間からお母さんを……助けを呼ぼうとしましたが、私が見たモノは……。


 両手両足、目を抉られ、髪の毛は引きちぎられて磔にされて、剣で串刺しにされているお母さんと、それに火をつけて踊っている町の住民でした。


 その瞬間からですかね。私のリミッター? とでも言いましょうか? それが外れたのは……。

 私は箱を破壊して飛び出し、お母さんの死体を焼いて楽しんでいる、町のゴミ共を一人残らず殺しつくしました。

 子供も女性も老人も全てです。

 その頃からですね……私が忌み子と呼ばれるようになったのは……。


「……という訳です。私にとって、人間は汚らしい生き物。それ以外、思う事は出来ませんでした」

 私の話を聞いて、姫様が何かを思い出します。

「レティは今、十六歳よね。十年前……。時期的に、あの町の事ね」

「知ってんのか?」

「えぇ。今では廃れてしまった国なんだけど、その国のある町の住民が、一夜にして全員消えたと噂になっていたわ。各国の調査団が街に調査に入ったんだけど、その町にあったのは、町の中心に簡素なお墓と、黒いすすだけが落ちていたそうよ。あれをレティがやったとすれば、納得できてしまうわ。レティなら可能ですもの」

「どういう事だ?」

 レッグさんが、姫様に聞きます。

 少し考えれば分かると思うのですが。

「現場にはすすがあった。レティは火葬するのに、よく炎魔法を使って敵を焼き尽くす。という訳よ」

 正解です。

「成る程なぁ。そんな幼少時代を送っているのなら、レティシアちゃんが人間を恨むのも分からんでもないな。ただ、気になる事もある」

「なんですか?」

「そこまで世界を憎んでいる筈のお前が、どうしてエレン嬢には心を開いたんだ?」

「そうですね。続きを話しましょうか……」


 ……人間は殺すモノ。

 私にとって、人間とは、食料にもならない、素材にもならない、獣以下の、本当に必要のないモノでした。

 その当時の私は10歳。

 私が人間を殺し始めて、4年が経っていました。

 あ……。殺し始めてといっても、普段は森の中で暮らしていましたから、たまに山賊なんかを殺して遊んでいただけですよ。

 そんなある日、私は森で迷子になった、エレンに出会いました。

 しかし、当時の私にとって、エレンも汚い生物。鬱陶しいので殺してしまおうと思いました。

 殺す為に、エレンの前に出て行った私を見て、エレンは笑顔で近付いてきました。

 魔獣と山賊の血で、真っ赤に染まっていた私を見ても、怖がらずに笑顔で手を握って来たんです。

 エレンの笑顔を見た時、お母さんの笑顔と一緒だと思ってしまい、私は無意識にエレンに抱きついていました。

 エレンは、笑顔で私を抱きしめてくれました。

 この時、エレンは13歳。

 この時の事をエレンに聞いた事があったのですが「だって、レティ。泣きそうな顔をしていたからね。私が友達になってあげなくちゃ、と、思ってね」と笑って教えてくれました。

 後から知った事なのですが、エレンは当時から両親に酷い目に合っていたそうです。でも、自分が酷い目に合っていたのにも関わらず、私に笑顔を向けてくれました。

 その時から、私の中の人間に対する憎しみが薄れた気がしました。

 私はエレンと一緒に、生きていこうと思いました。

 そしていつか、エレンと二人で町を出て、世界を見に行こうと約束していました。


 ここからは、皆さんも知っているように、世界は、私からエレンを奪いました。

 だけど、以前の私とは違い、無差別に人間を殺そうとは思いませんでした。

 エレンを、酷い目に合わせた連中だけを絞り込んで、殺していこうと……。

 こう思ったのはエレンのおかげかもしれません。

 もしかしたら、エレンのような人間にも会えるかもしれないと、思っていた時に、姫様やレッグさんに出会いました。

 今度は失いません。

 ……いえ、失わせません。

 今でも、教会や世界は、姫様を、この国を奪おうとしています。

 だから、そうなる前に、今の世界を壊します。


「……という訳です」

 私が話し終わると、レーニスちゃんは泣いており、カチュアさんもかなり怒っている様です。

「レティお姉ちゃん可哀想……」

「世界を滅ぼしましょう……」

 姫様は、私を抱きしめます。

「レティ。これからは、皆でこの世界を楽しもうね」

 私は黙って頷きます。レッグさんも優しい顔で、私を見ていますが、マジックだけは何やら考えている様です。

「なんですか?」

 私はマジックを睨みます。

 ちゃんと説明したのに、何が不満なのでしょうか?

「お前の話でいくつかの疑問がまだある。お前を忌子と呼んだのは誰だ? どうして、そこまで詳しく話を知っている? いや、これは聞くまでも無いか。殺す寸前で聞きだした、ってところだろう」

 正解です。

 正確には、村の男を殺すついでに知っている事を吐かせただけです。町の人間にも、きちんと聞きましたよ。

「お前が忌み子と呼ばれる理由は、まぁ、分かる」

「マジック!! 貴方はなんて酷い事を!!」

 マジックの言葉に、カチュアさんが怒ります。

「カチュア、落ち着け。考えてもみろ。幼い子供が、殺人を何の躊躇いもなく行う。それだけで恐怖の象徴になる。忌み子と呼ばれても不思議じゃねぇ。しかしだ。お前の母親は、何故呪い子と呼ばれたんだ?」

 マジックの言いたい事は分かりました。

「詳しくは分かりませんが、男の話では、お母さんの幼い頃に一つの事件があったと言っていました。その事件後から、お母さんは呪い子と呼ばれ始めたそうですよ」

「そ、そうか。済まなかったな。嫌な事を思い出させて……」

 マジックが頭を下げます。

「まぁ、今は結構幸せですよ。姫様達にも会えましたし、姫様の治める国の為に働けるのは嬉しい事ですからね」

 だからこそ、今ある世界を、姫様の邪魔になる国は、滅ぼしてしまいましょう。

こういう話は、書いていても嫌な気分になりますね。

 少しでも面白いや続きが気になるという方がいれば幸いです。

よろしければ、ブックマークの登録、評価をよろしくお願いします。


 他にも連載していますのでよろしくお願いします。

 クジ引き  https://ncode.syosetu.com/n2043en/ 

 親友が…… https://ncode.syosetu.com/n1660ez/

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