番外編 勇者タロウ編2 王都の変化
20年1月26日改稿
エレンが仲間になって半年が経った。
聖女であるエレンは最初は嫌がっていたが、無理やり犯し続けた結果、今では無抵抗で俺を受け入れるようになっていた。
しばらく弄んでいたのだが、ある日からエレンの目から光がなくなり、俺の言葉にほとんど言葉に反応しなくなっていた。
それはそれで、俺としては屈服させたと思い込み、楽しんだ。
ある日、エレンはネリーに引き取られた。
まぁ、壊れた女にこれ以上は興味がなかったし、もう体にも飽きていた。
だが、ある日、エレンが自殺したと聞いた。
糞女が……。
ちょっと弄んでやっただけで、勝手に死にやがって。
だが、俺自身がエレンを聖女に祭り上げたせいで、自殺という噂が流れるのは不味い。
俺は仲間たちに相談を持ち掛けた。
「エレンが自殺しやがった。アイツは聖女だ。聖女が自殺したと知れ渡っちまえば、俺達の評判を下げる事になっちまう」
「そうですわね。勇者パーティに選ばれたのに、勝手に壊れて死ぬなんて、なんて情けないの……」
「死人に口なしね。ネリーが殺したと押し付ければいいね」
「馬鹿野郎。ネリーは俺の妻になる女だ。アイツが妻にならねぇと、ファビエが手に入らねぇじゃねぇか」
「そ、それはごめんね……」
「いい方法があるわよ」
ジゼルがいい案を出してくれた。
俺は早速、ファビエの教会に向かい、新しい聖女を用意してもらった。
そして、勝手に自殺した聖女エレンは、偽物として勇者に体を使って取り入った事にした。
教皇は新たな聖女を用意する見返りに、多額の金を要求してきたが、それくらいは簡単に払える。まぁ、金が足りなかったら、金持ちの家に言って金を巻き上げればいいだけだがな。
金を受け取った教皇は、全世界の教会にエレンの情報を捏造してばらまいた。
一週間で噂は全世界に広がり、エレンは稀代の悪女として語られる事になった。
これで安心だ……。
俺はそう思っていたのだが、エレンを看取ったネリーは黙っていなかった。
だが、教会が発表したのだから、ネリー一人の力で覆る事はない。そう思っていた。
新しく用意された聖女の名はマリテ。
俺好みの女だった。
俺は早速マリテが加入した日の夜に抱いた。
くくく……。
エレンが自殺した時は少しだけ焦ったが、マリテがいればそれでいい。
俺達が五人が楽しく旅をしていると、妙な噂を耳にした。
エレンがいた町の教会が滅びた……。
ジゼルとマリテは「まさか聖女の呪い?」と意味の分からない事を言っていた。
だが、俺は呪いとは思えなかった。
「エレンは俺が用意した聖女だぞ? そんな女が死んだからと言って、呪いなんて起きねぇよ」
俺は本気でそう思っていた。
その日の夜。
商人から、さらに意味の分からない噂話を聞かされた。
エレンがいた町が滅びたというのだ……。
あの町には高い壁があった。という事は元々魔物による脅威に晒されていたのだろう。
俺は確信した。
「エレンのいた町が滅びたらしい。魔物に襲われたと思われる……。だから呪いなんかじゃなかったって事だ」
俺達はあの町が滅びた理由を、魔物が原因と決めつけた。
だからこそ、俺達は楽しみながら旅をつづけた。
そして……ついにあの噂を耳にしてしまった。
「なんだと? 国王が死んだだと? ネリーはどうなったんだ!?」
「ネリーが女王になったそうよ……。タロウ、ファビエ王がいなくなれば……」
「あ……、あぁ……」
あくまで噂話だ……。
俺達は一度ファビエ王都に戻る事を決めた。
ファビエ王都に戻ってきた俺達を待っていたのは、ファビエ国民や兵士達の冷たい軽蔑の目だった。
「おい。俺は勇者だぞ? たかが門番程度になぜそんな目で見られなきゃいけねぇんだ?」
俺は兵士の胸ぐらを掴む。
しかし、門番は「貴方がたは、魔王をまだ倒していません。だから、今はまだ勇者ではありません」とぬかしやがった。
ふざけんなよ。
俺は兵士を殴る。
「国王はどうした? てめぇのような無能な兵士は処刑させる」
「前国王は処刑された。今はネリー様が女王だ……。もう、貴方が好き勝手出来る国じゃなくなったんだ」
ふざけるなよ……。
俺は兵士を斬った。俺に逆らう馬鹿は死ねばいい。
兵士は仲間が殺された事に何かを言っていたが、文句を言った兵士も斬った。
俺達は王都の中に入り、仲間たちに別行動を指示した。
仲間達も慣れた様子で王都に散っていった。
「さて、今日はどの女に声をかけるかな」
俺はいつも通り、道行く女をひっかけようと声をかける。
しかし、今までと違い反抗してきやがった。
「俺の言う事が聞けないだと? ふざけるなよ」
「タロウ様は勇者かもしれませんが、何も結果を残していません。ネリー様がそうおっしゃった以上、もう貴方の蛮行に屈する必要が無くなったのです!!」
ふざけるなよ……。
俺は勇者だ!!
この国の人間は俺の言う事を聞いておけばいいんだよ!!
俺は聖剣を手にして女に斬りかかった。
「俺の言う事を聞けないやつは死ね!!」
女は悲鳴を上げたが、俺が斬った瞬間に、その場に崩れ落ちる。
「きゃあ―――――!! 勇者様が!! 勇者様が人を殺したわ!!」
チッ。見られてたか!?
俺はその場から逃げ出す。
クソっ。どうなってやがる。国王が生きていた時は、人を殺したくらいでは何も言われなかった。
何が原因だ?
いや、原因は一つだ。
ネリー!!
いい女だと思って数々の暴言を許してやっていたが、もう我慢の限界だ。
今の俺達ならば、レッグを殺せるはずだ。
俺は物陰に隠れながら、王城に向かう。
俺が高級宿屋の陰で隠れていると、立派な剣を担いだガキが歩いていた。
あのガキは、エレンと一緒にいた小汚いガキじゃないか!?
なんで、あのガキがこの国にいるんだ? しかも、あんなに血まみれの格好で何をしてやがる!?
いや、気にする必要もねぇ……。
今の俺はさらに強くなった。ガキ一人簡単に殺せるはずだ。
俺はガキに剣を寄越せと声をかける。ついでに味見をしてやろうと手を引いた……。その瞬間、腕を折られた!?
え?
ちょ、ちょっと待て……。
なんで俺の腕が折れてるんだ?
ふざけんな!!
そう思って襲いかかったら、意識が飛んだ……。
俺は下半身が寒いと感じて、目が覚めた。
な、何があったんだ?
ガキに何かされたのか?
いや、この俺があんなガキに何かされたとは考えにくい。
というより、どうして俺は下半身丸出しで宿の前で倒れていたんだ?
だ、誰だ!! 俺をこんな目に合わせたのは!?
俺は、羞恥心を感じ、路地裏へと逃げ込む。
あのガキ……許さねぇ……。
路地裏でズボンをはき替えた俺は仲間を呼ぶ。
五分後、仲間が集まったのだが、仲間達は機嫌が悪そうな顔をしていた。
「どうだった?」
「私達を蔑んだ目で見て来たわ。この国の国民は、感謝という気持ちは無いのかしらね」
「私も同じ。食事をしようとしたら、入店拒否されたよ。暴れて店を破壊してやったけど」
そう言って、笑うアルジー。
「マリテ。教会の方はどうだった?」
「教会は跡形もなく破壊されていました。教皇も殺されたらしく、王都では教会の威光はもう使えないかと……。誰がそんな酷い事を……」
「ネリーだろうな。アイツは教会の腐敗に気付いていた。エレンが聖女に選ばれた事も疑っていたようだし、アイツが間違いなく絡んでいる」
まったくふざけている……。
「タロウ。どうするの?」
ジゼルが俺に聞いてくる。
「そうだな……。城を落とすぞ!!」
俺達は、兵士達を皆殺しにする為に、ネリーのいる城へと向かった。
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エレンが偽聖女と言われヘイトを集めた理由も漸く書けました。
日間ハイファンタジー26にランクインしていました。ありがとうございます。
ブックマークも1900件超えました。ありがとうございます。
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