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親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
サクラ編

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5話 エレンの嫉妬


 私とレナータの説得の結果、神になると決意してくれたエレンちゃん。しかし、神の資質があるといってすぐに世界を管理できるわけじゃない。だから、レナータにエレンちゃんを鍛えてもらう必要がある。


「レナータ、エレンちゃんをお願いね」

「分かりました」


 エレンちゃんはとても資質があるし、レナータは優秀な女神。きっと、短時間で女神の力を得られるはずだね。

 私は急いで魔王城に戻る。エレンちゃん達と話をしていたのは一時間ほどなのだが、次元移動は時間に少しの差異が出る。きっと、向こうでは日が変わっている可能性だってある。


 結果だけ言えば、私が魔王城を去ってから一日が経っていた。


「これは笑うしかないね……」


 一日もあれば魔王城というのはここまで変わってしまうのかな? 魔王城には魔族が一人もいなかった。いや、反応は二つあるし、魔族だった灰のようなモノも至る所にある。おそらくレティシアちゃんが襲撃してきたのだろう。

 ……しかし。


「意外だったけど、レティシアちゃんは魔王を殺さなかったみたいだね。それに、もう一人の反応はブレインじゃない。生き残るとすればブレインだったと思ったんだけどね。ブレインは殺されたみたいだし、ケンという魔族以外にレティシアちゃんに気に入られた魔族がいたのかな?」


 私は魔王がいる部屋に転移する。

 部屋には玉座に座る魔王と、金髪の老齢の魔族が立っていた。

 魔王はどうやら眠っているようだ……。

 私が突然現れた事に金髪の魔族は驚いた顔をしていたけど、すぐに警戒態勢を取り、私を睨む。


「な、何者だ……?」

「あはは。敵じゃないから、安心していいよ。それよりも、魔王は封印されているようだね。これがあの子の出した結論かな?」


 私は魔王を観察する。

 どうやら、レティシアちゃんは魔王を本当の悪ではなく、その上にいるアブゾルが倒すべき敵だと判断したみたいだね。狙い通りだったが、まさか、殺さず封印という選択をするとは思えなかったよ。


 私は魔王に近づく。しかし、金髪の魔族が私の前に立ちはだかる。


「ま、魔王様に近づくな!!」

「うーん。その願いは聞けないね。悪いけど、どいていてくれる?」


 主を守ろうとするその忠誠心は評価できるけど、今は時間がない。実力行使でどかせる事にしよう。魔族も同じ事を考えたようで、剣を取り出した。

 まぁ、素手でもどかせる事は可能だけど、久しぶりに刀でも使おうかな。


 私は二本の愛刀を召喚する。うん、刀を使うのは久しぶりだね。

 私が刀を構えると、魔族は少しだけ怯む。でも、時間がないからね。


「さて、かかっておいで。実力の差を見せてあげるから」


 私の言葉で魔族は一気に私に迫る。

 うん。なかなかの速さだ。剣技もとても素晴らしい。


 ……だけど、まだ若いね。

 

 私は魔族が使う剣技を掻い潜って、喉元に切っ先を突き付ける。


「う……ぐ……」

「はい、おしまい。これからも邪魔をするというなら、殺す事も可能だ。でも、それはしないよ。他の魔族が復活するのを待つのもいいんだけど、この後、魔王が復活した時に、状況を説明できる者がいなくなると困るからね。それに、今はタイミング的に君を殺してしまえばは復活できない可能性もある」

「ど、どういう事だ……?」


 私は生体感知は得意じゃないけど、ファビエでレティシアちゃんと勇者一行が戦闘を始めた事くらいは分かる。

 いや、勇者の仲間達はもう無残に殺されたし、勇者ももう虫の息だろう。

 となると、後はアブゾルだけだ。


「悪いけど、説明している時間はなさそうだ。これ以上、邪魔されると困るから、眠らせてもらうよ」


 私は魔族を睡眠魔法で眠らせ、魔王に近づく。そして、レティシアちゃんが使用した封印魔法を詳しく調べる。


「やっぱりこの封印魔法では、アブゾルの呪いまでは解けないね。レティシアちゃんは、アブゾルを殺せば呪いが解けると思ったみたいだけど、ちゃんとした呪術は術者を殺すと逆に暴走してしまうかもしれない」


 魔王クランヌにかけられた呪いはそれほど強力なモノだ。

 アブゾル如きがそんな強力な呪術を使えるようには思えないが、実際に使われている。


「これを解くには神聖魔法が必要か。まぁ、一度封印を解いた方が簡単だけど、それだとレティシアちゃんに気付かれるかもしれないね。まぁ、面倒だけど、このまま呪いを解いておくか……」


 私は魔王クランヌの呪いを解き、魔族を起こす。

 魔族は状況を掴めていないようだったが、クランヌに呪いが解けた事、もう、前とは違い死ねばそのまま死ぬ事を教えておく。これで、魔王クランヌは問題ないだろう。


「あ、貴女は……か、神なのか?」


 魔族が私の正体を聞いてくる。どうやら、この魔族は勘がいいのか、私の神気に気付いたようだな。


「そうだよ。この世界は、アブゾルという神が好き勝手やっていた。だが、神は一人じゃない。それだけを覚えておいてね」


 私はそれだけを言って、ファビエに向かう。

 いや、その前に神界に戻りエレンちゃんからレティシアちゃんの事を聞く事にしよう。

 もしかしたら、エレンちゃんしか知らないレティシアちゃんの甘さがあるかもしれない。


 神界に戻った私は驚く事になる。

 こちらでは数時間しか経っていないのに、エレンちゃんがもう神聖魔法を使いこなせるようになっていた。いくら何でも天才過ぎないか? と思い、特殊な目を使いエレンちゃんを見てみると、魂が元々神族だったらしい。どうやら、間違えて人間になっていたみたいだ。

 どうして、こんな事になっていたんだろうね。


「エレンちゃん。調子はどう?」

「あ、サクラ様。まだ、ここに来てから数時間しか経っていないから、調子と言われても良く分かりません」

「ふーん」


 私はレナータに視線を移す。するとレナータは呆れた顔で首を横に振る。まぁ、エレンちゃんの資質に驚くのは当然だね。


「あ、エレンちゃん。話は変わるけど、レティシアちゃんって血も涙もない冷酷で残酷な子なの?」

「えぇ!? レティはとてもいい子ですよ!! ちょっとやり過ぎなところもあるけど、気に入った人には優しいですよ」

「あぁ……。確かに……」


 ネリー姫とレッグが未来を変えるのに必要だと思ったから、接触させようと思ったんだけど……、まさか、レティシアちゃんがネリー姫に懐くとは思ってもいなかったからね。


「ただ、一度でも敵と認識したら容赦はないです」

「なるほどね……」


 それなら安心かな?


「それで、レティは無事なんですか?」

「ん~? 視てみるかい?」


 私は魔宝板を取り出す。これをレティシアちゃんとアブゾルが戦っている空間につなげて……っと。

 ちょうどアブゾルと戦っている最中だね。


『貴女の名前はエレンです』


 ふむ。

 レティシアちゃんは自身が作り出した神剣にエレンという名を付けたみたいだね……。


「むぅ……。あんな剣に私の名前を付けるなんてぇ……」


 エレンちゃんがとても膨れているね……。困ったものだね。

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