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親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
サクラ編

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4話 エレン


 ブレインの記憶を消す前に、彼の配下のケンにファビエを襲わせた。その結果、レティシアちゃんがケンを捕らえた。

 正直な話、彼女がケンを生かしておくとは予想していなかった。予想外の出来事に未来シミュレーションが変わったのでは? と思って少し慌てたが、ケンがファビエにとって重要な人物だという事になっていた。


「意外だね。レティシアちゃんのような残虐な性格ならば、魔族は皆殺しだと思っていたんだけど、これは少し前のシミュレーションよりもいい未来になるかもしれないね」


 私は魔法玉を仕舞い、レナータの下へと戻る。三日ほど神界に戻っていなかったから、仕事も溜まっているかもしれないし、それよりも、エレンちゃんが気になった。


「レナータ。エレンちゃんの具合はどう?」


 私はレナータの自室に入る。すると、一人の少女がベッドに座っていた。思っていたよりも、早くに目が覚めたようだね……。

 やはり、この子にも資質があるみたいだね。


「え? だれ?」


 エレンちゃんは突然現れた私に驚いているようだ。

 私はエレンちゃんの目をジッと見る。

 ……ふむ。

 もうすでに魂が新しい肉体に定着しているみたいだね。レナータもたった三日で良くここまでの体を作る事が出来たよ。


 神族の体は、私の様な人間が不老になり、その末で神族に昇華した場合とは違い、純粋な神族は高濃度の神気を練り固めて作られている。目の前にいるレナータは、千年以上の研究の末、上質な魂が用意できれば、新たな神族を生み出す事にも成功していた。

 エレンちゃんは魂こそ綺麗だったが、もう肉体は無くなっていたので新たな肉体を作り出す必要があった。


「レナータ。成功したみたいだね」

「はい。エレンちゃんの魂は人間の器には窮屈だったみたいで、今の神族の肉体は元からの肉体の様に定着しているみたいです」


 私はもう一度エレンちゃんを見る。間違いなく神族の肉体は定着しているみたいだね……。これなら短期間で神族としての力を得る事が可能かもしれないね。

 でも、本人の意思確認は必要だから、ちゃんと聞いておこうかな。


「エレンちゃん、私は神王サクラ。突然なんだが、エレンちゃんには神族の資質がある。神族になるつもりはないかい?」


 私は出来るだけ優しい顔でエレンちゃんを勧誘する。しかし、エレンちゃんは不安そうな顔をしている。


「何を不安そうな顔をしているんだい?」

「えっと……。仮に、私が断わった場合、今の体を失って私は死ぬんですか?」

「ん? そんな事はないよ」


 エレンちゃんからすれば、肉体を神族として作られているから、そんな不安を持っていても仕方ないよね。でも……。


「断っても問題ないよ。断ったとしてもその肉体で天使として神界に住む事も可能だし、別の世界(・・・・)で人間として生きる事も可能だよ」

「え? 元の世界に戻る事は出来ないんですか?」

「ごめんね……。あの世界では、君はもう死んでいるんだ。今のまま(・・・・)戻すわけにはいかないんだ……」

「つまりは……、元の世界に戻ろうと思ったら、神様になるしかないという事ですか?」

「そうなるね……」


 卑怯かもしれないけど、今エレンちゃんをこのままあの世界に戻しても余計にややこしくなってしまうからね。それに……、戻す以上は誰にも負けない力をつけてあげないとね。


「私が神様になるとしても別の問題がありますよね」

「別の問題?」

「私がいた世界の唯一神のアブゾル様の事です。アブゾル様がいるのにもかかわらず、別の神になる私が世界に降りれば争いが生まれます」


 この子は本当に優しい子だね。この子自身、酷い目に遭わされたのも、そもそもはアブゾルが元凶だというのに……。

 だからこそ、私もアブゾルが許せないね。


「エレンちゃんには、世界のシステムと神について説明するね。それを聞いたうえで神になるかを選んで欲しいんだ」


 私はレナータに、世界の神による管理システムの説明をしてもらう。この話を聞けば、聡いエレンちゃんなら、アブゾルがどういう存在かを気付くはずだよ。現に、レナータの話を聞いているエレンちゃんの顔が険しくなっていく。


「今の話が本当なら、アブゾル様は創造神ではないという事になりますよね。アブゾル様は何者なんですか? 神王であるサクラ様が送り込んだ神様なのですか?」

「私はアブゾルなんかを送り込んだ覚えはないよ。言い訳に聞こえるかもしれないけど、偶然発見された世界を勝手に管理されても気付けないんだよ」


 今確認できるだけで、世界の数は千以上ある。そのすべてを把握するのは難しい。力のある世界であれば把握しているんだけど、人間もいない世界だったり、生物すらいない世界の管理はそれほど重要視していない。


「でも、アブゾル教は世界に広まっていますよ。勝手に管理しているのなら、それを取り上げるべきではないんですか?」

「そうだね。まぁ、私達もつい先日アブゾルの事を知ったんだよ。そして、調査に出てエレンちゃんを見つけたんだよ」

「……」


 エレンちゃんの目が疑いの目に変わっているね。まぁ、アブゾル教が好き勝手やっていたのを『知りませんでした』と逃げるのは簡単だし、その世界に住んでいて、アブゾル教のせいで酷い目に遭ったエレンちゃんが私達に不信感を持つのはおかしくもない。


「エレンちゃん、アブゾルは始末するつもりだよ」

「え?」


 そして、その役目を担うのは……。


「アブゾルはレティシアちゃんに倒してもらうつもりなんだよ……」



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