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親友が酷い目に遭わされたので全てに復讐しました。  作者: ふるか162号
番外編 私とレティ様

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4話 魔王を屠りし者

カチュア編の1~3話を少し書き直しました。

もし時間があれば読み直していただけるとありがたいです。


 タロウ……。

 ファビエ王国の今はいない当時の愚王が呼び出し、悪行を繰り返した勇者。私達がレティ様と会うきっかけを作った、どうしようもない男。


 しかし、今のタロウは完全に別物だと理解はしていますし、若干顔が変わっている事も知っています。だけど、その存在が許せません。


「お久しぶりですね。いまだに生きていたとはビックリですが、どこかで野垂れ死んでいてくれれば、少しだけ貴方がたを許せたんですがね……。まぁ、いいです。さっさとここから去りなさい」


 今のタロウは完全な別人なのは分かっていますが、嫌いなものは嫌いなのです。さっさと消えて欲しいですね。


「ま、待て、お前はレティシアの近くにいた、カチュアとかいう侍女だな。何故、お前は前に会った姿のままなんだ?」


 下らない事を聞いてくるのですね。

 しかし、よく考えればあれから十年以上経っていますから、普通ならば歳を重ねるでしょうが、私は不老ですので歳を取りません。


 しかし、私と違い不老ではないタロウ達は、しっかりと歳を重ねています。


「そうですね。逆に言いますが、随分と老けましたね。あれ程チヤホヤされていた頃が懐かしいでしょう?」


 別人であれ、あの頃(・・・)の記憶ももちろん持っていると聞いています。

 だからこそ、全員顔をしかめます。

 サクラ様達は、これを罰と言っていました。

 しかし、私にとっては温いと思ってしまいます。

 だから、少しだけ嫌味を言っておきましょうかね。


「他の皆さんも随分と歳を重ねてきましたね。魔導士の貴女は、もう三十路ですか?」


 私は魔導士のジゼル? でしたか?

 その女性を見てクスクスと笑います。

 実際の彼女の見た目は、ひどくも無いですし、いえ、むしろ整った顔なので、歳を感じさせませんが……。嫌味くらいは許されるでしょう。


「ぐっ……」

「押さえろ、ジゼル」


 大分怒っていますねぇ。

 他の三人も、不機嫌な顔です。

 女性にとって年齢の事を話すのはタブーと言いますからね。

 私は不老なので気にしませんけど。


「逆に聞くが、何故お前は歳を取っていない? そして、お前はレティシアが死んだ日から行方不明と聞いていた。説明してもらおう」


 説明?


「なぜ、貴方達に説明しなければいけないんですか? 私は貴方達が嫌いなんですよ? 虫唾が走るくらいにはね。それなのに、なぜ説明する必要があるんですか?」

「答えられないという事は、魔物……!!」


 私はジゼルの首を掴みます。

 このままへし折ってしまいたいですが、私の得物は魔王のみ……。


「とりあえず、私を魔物扱いしたことを詫びなさい」

「ご、ごめんなさい……」


 全く、私らしくもない。

 そもそも、こんな連中にいちいち構う必要は無いのです。


「もう一度言います。この場を去りなさい」

「何故だ? 俺達はこの土地に魔物を狩りに来た。それが依頼だからだ。お前には関係のない話だ」


 タロウの言う事は一理あります。

 しかし、まだ冒険者をやっていたのですね。


「そうですか。確かに貴方達の生活をとやかく言う必要はありません。目的の魔物を狩って早く消えてください。今のままでは邪魔になりますので……」

「邪魔だと?」


 流石に、今まで冒険者をしてきたという自負でもあるのか、タロウの顔が険しくなります。

 とはいえ、今から戦う相手は魔王です。

 もし、この世界の現地の人間に対処ができるのであれば、サクラ様はわざわざ私を指名などしないでしょう。

 しかし、ちゃんと説明しないと彼は納得しないでしょう。


「説明したら消えてくれますか? なら説明します。いまから、この場所に異世界の魔王が来る可能性があります。来なかったら来なかったでいいのですが、女神様が来ると言っている以上来るでしょう。だから邪魔なんです」

「ま、魔王だと!!? お前はどうするんだ!?」

「私は、魔王(それ)を討ちに来ました。だから、貴方がたが邪魔なんです」


 魔王と聞いて、四人は青褪めています。

 このまま帰ってくれるとありがたいのですが、今のタロウは無駄に正義感があると聞きます。

 もしかしたら、協力すると言ってくるかもしれませんが、そうなったら邪魔です。

 もし、彼等が強かったらば、サクラ様も彼等に協力を要請するはずですし、彼等よりも強い勇者も存在しています。

 それなのに、私に行けと言ったという事は、彼等では力不足なのでしょう。


「ま、魔王が来るというのなら、俺達も戦う!!」

「何を言っているのですか? 貴方に何ができるんですか?」

「私達は仮にも元勇者一行なのよ!!」

「仮初の勇者でしょう? そんな人達の力が何の役に立つというのですか?」


 その心意気は認めますが、力なき正義は価値が無いんですよ。

 悔しければ強くなればいい。それが全てです。


「どのみち、このままここに居られても迷惑です。帰ってくれませんか?」


 これ以上言って、帰らないのであれば死んでもいいという事でしょう。


「わ、分かった……」

「「「タロウ!!」」」


 他の三人よりは聞き分けが良いようですが……はぁ……。


 手遅れでしたか……。



 私は上空を凝視します。

 この十年で、様々な経験をしてきた私は特別な目を手に入れました。

 それは《真実の目》という、隠された次元の割れ目を見つける眼。

 これがあれば、異世界間転移をしてくる奴にも対抗できます。


「タロウ、死にたくなければ静かに逃げなさい。他の皆さんも一緒です」


 私は自分の剣を異空間から取り出します。

 今の私の大剣は、先生から譲り受けた『神剣・レイジ』です。

 その大きさは、私の身の丈の倍はあり、普通の人間には持つ事すら不可能でしょう。

 その大剣を肩に担いで、魔王の出現に備えます。


「あ、あんな大剣を片手で? 本当に化け物じゃないか」


 化け物で結構ですけど、早く逃げてくれませんかね。

 その場にいられると、間違って斬ってしまうかもしれません。

 それとも……。


「貴方達の気持ちは理解しました。そこにいなさい」

「あ、あぁ。俺達も協力「必要ありません」……え?」

「貴方達も一緒にここで殺します。邪魔をするのなら、私は誰であろうと容赦をしません」


 レティ様はいつもそうしていました。

 邪魔をするのなら殺す。それだけです。

 私は剣を振るいます。これを避けられないなら、結局余波で死ぬでしょう。


 しかし意外にも、辛うじて避けれたようですね。

 腐っても、元勇者と言うだけはありますね。


「お、お前……」

「邪魔をするのなら、排除するだけです」


 ここまですれば、流石のタロウ達もゆっくりと下がっていきます。

 最初っから、そうしてください。



 さぁ、魔王のお出ましです。


 空が割れ、その中から魔王が姿を現します。

 その姿は……。


 これは……オニですか?

 どちらにしても、私の五倍の大きさはありますね。

 大きな剣を持っていてよかったです。


「思ってた以上の大物ですね」


 私は肉体に魔力を流します。これは身体強化の魔法です。

 普段から魔力を使って、身体能力を強化していますが、この魔法を使う事で邪神と戦った時のレティ様と同じ強さを得ています。

 とはいえ、私の場合は短時間しかもたないのですが……。


 私は魔王に斬りかかります。が、魔王も私を殴ろうとしてきています。


「どちらが強いか力比べですか!!?」


 そうは言いましたが、力比べになる事はなかったですね。

 私は刃物で、相手は肉体。

 どれほど頑強な肉体であっても、私の剣は神剣です。斬れないはずがありません。


 私の剣は魔王の拳を両断します。魔王は、痛みを感じたのか腕を押さえています。

 まぁ、痛がる素振りを見せるのは二流の証拠ですよ。先生がそう言っていました。


「さて、言葉が通じるのであれば逃げ出してくれませんかね?」


 魔王と言っても異世界の生き物だ。わざわざ殺さなくていいのであれば、殺す必要はありません。

 まぁ、言葉は通じないでしょうが……。

 恐らくですが、これは魔王と言うよりは魔王級の魔物です。

 さて、これ以上は時間をかけたくは無いですから殺しましょうか。


「レティ様のお世話がありますので、終わらせてもらいます」


 私は魔王の脛を斬りつけます。

 人型ならば、ここを斬られれば立っていられないはずですから、きっと膝をつきます。

 そうなれば、後は首を斬って終わりです。


 しかし、予想外の事がありました。魔王の脛を斬りつける程度の予定が、思ったよりも深く斬れてしまい、足首を切り離してしまいました。その事で、魔王は無様に倒れます。

 思ってたよりも柔らかかったようですね。


 それと、私の前で倒れるなんて、殺してくれと言っているようなものです。


 私は倒れた魔王の胸に剣を突き立てて、そのまま頭に向かって走り出します。

 このまま頭を両断されれば、流石に生きてはいられないはずです。


 魔王は抵抗しようとするが、すでに遅いです!!


 私が頭を両断すると、魔王は死んだようで、その場で塵となってしまいました。

 ふむ、剣に浄化の魔法をかけておいて正解でしたね。

 こんな大きな死体を処理するのは面倒です。


「ふぅ……。任務完了です」


 私は剣に付いた魔王の血を、布で拭き取ります。


「た、倒したのか?」

「まだいたのですか? あ、そうだ。一応言っておきますね」


 私がタロウを睨むと、タロウは一歩後退ります。


「今日ここで見た事はすべて忘れなさい。もし、死にたいのであれば話せばいいです。その時は私が責任を持って貴方がたを殺しに行きますから」

「ま、待て。お前の強さは一体……」

「貴方に関係ありません。では、失礼します……」


 私は脅すだけ脅して、神界へと帰る為に転移をします。

 

 転移した先は、拒絶の崖です。

 

「!!!!!」


 この場に神が来ます。

 これはエレン様ですか……?


「まだ、離れている様ですね。今なら間に合いそうです……。ごめんなさい、エレン様。今は会うわけにはいきません」


 私は拒絶の崖を飛び下ります。

 以前とは違い、転移魔法で神界へと帰る為です。


 きっと、いつかレティ様と二人で帰りますから、その時まで待っていてください……。


 きっと帰りますから……。

カチュア編はあと二話で終わります。

先生の正体がわかっても秘密ですよ。

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