第82話 オルドVSスカイ
20180725 更新しました。
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今、戦闘場は大騒ぎになっていた。
反逆者である皇族たちの騎士を務めていた三騎士が忽然と姿を消したからだ。
「……あいつら……どこに行きやがった?」
「皇女――もとい反逆者たちのところに転移したのかもしれませんね。
彼らの結合指輪が光を放っていましたから……」
「あぁ……使いこなせれば超常的な力を発揮できるってあれか……」
カルバート兄弟は周囲を警戒している。
だが、既に裏切りの騎士たちの姿はない。
「これで反抗の信憑性がかなり高くなりましたね」
兄弟騎士の会話に口を挟んだのは、身の丈に合わない黒い大剣を背負った銀髪の少年――第四騎士レット・モラトリアムだった。
「衛兵に所在を突き止められた皇女たちが……自らの騎士に救いを求めた。
奴らがこの場から去った経緯はこんなところ?」
「だとしたらレイラ……キミは行かなくていいのかい?
グロリア皇子に随分と気に入られていたけ――」
金髪の剣士――レイラ・ペインが抜いた刀は目にも止まらぬ速さで、男の喉元に突きつけられた。
「愚弄を続ける覚悟があるのなら――遠慮なく口を開け」
「じょ、冗談ですよ。
あなたが第二皇子に粉を掛けられて迷惑していたのは、円卓全員が知っています」
剣を向けられている青髪の男は第十一騎士デュエだ。
苦笑を浮かべて降参とばかりに手をあげている。
「……グロリアが反逆者となったのなら、わたしの手で処刑しこの身の潔白を証明しよう」
レイラは冷たい視線と言葉をデュエに送った。
「無駄話は止せ。
反逆者は判明した。
裏切りの騎士三名――そして、我々は速やかに皇女たちの私兵を捕らえる」
騒々しい闘技場の中でもはっきりと聞こえる、そんな重々しい声にこの場に残っている騎士たちの視線が集まる。
「オルビス、フィルズ……お前らは皇女たちの私兵を探し出し捉えよ」
第五騎士――血盟者と呼ばれる忠義の騎士ユミル・ハイランダーがカルバート兄弟に指示を出す。
「おいおい、ユミルのおっさん……俺らに雑魚狩りしろってのか?」
「……皇族とその騎士ランスたちはどうするのです?
陛下の元へ向かっている可能性もありますが?」
「皇帝陛下と第一皇女殿下のお傍には、ラグルドとポアロが付いているので問題ない。
ならば我々は民の安全を全力で守ろう。
被害が出る前に――お前たちには迅速に、反抗勢力を鎮圧してほしい」
ラグルドを除けば円卓の最年長である壮年の騎士は、若き二人の兄弟騎士に頼んだ。
彼らの中に身分の差はない。
だからこそ命令ではなく頼みなのだ。
「ったく……ま、ぐだぐだ言ってる暇はねぇわな」
「ええ――さっさと行って片付けましょう、兄さん」
そして、オルビスとフィルズは駆け出した。
皇女たちの私兵が動き出す前に鎮圧できれば、被害は最小限に済ませられるだろう。
「では、わたしたちは裏切りの騎士の捕縛に向かう」
この場に残ったのは、レット、ユミル、レイラ、デュエの四人。
反逆の騎士は三人。
数の上では優位ではあるが、
「……最悪、勇者の遺産の使用を躊躇うなよ」
相手は同じ円卓の騎士――勇者の遺産を皇帝陛下より賜りし最強の称号を持つ者たち。
だからこそ、油断できる相手ではない。
ユミルの言葉に騎士たちが頷いた。
その時だった――
「っ……どうやら、始まったみたいね」
莫大な魔力の波動が闘技場に犇めく。
恐らくランスたちが勇者の遺産を発動させたのだろう。
「……これで位置は把握した。
急ぐぞ」
言いながらユミルは疑問を感じる。
反逆の騎士が勇者の遺産を使用したのだとしたら……相手は誰なのだろうか?
しかし、その疑問は直ぐに解ける。
――ブアアアアアアアアアアアアアアアアン
唐突に全身が震撼するほど魔力反応があった。
「な、なんだ……これは……?」
その衝撃を受けてレットは声を絞り出す。
感じたことないような……信じられないほど大きな力。
だが、それは一つではない。
今感じ取られるだけでも――二つ……いや、三つになった。
しかもそのうちの一つはさらに力が増大していく。
「既に……誰かが戦っているのか?」
ユミルは理解した。
勇者の遺産を使用しなければならぬほどに、反逆者たちが追い込まれたということを。 だが、その相手は第一騎士ラグルドではない。
この三つの反応全てが――単純な魔力量で考えるなら彼を超えているのだから。
「三方向に分かれて移動する。
デュエ、お前は私と共に来い。
勇者の遺産の発動が確認されたのは貴賓席付近だ」
ユミルとデュエはランス。
レイラはローエン。
レットはスカイの下へと走る。
未知の力への恐怖を覚えながら。
※
エクスたちと別れたオレ様は、円卓の騎士とかいう奴の一人をボコる為、闘技場を出た。
奴らの気配はここから少し離れた位置にあるのだが、
「む? おお、ガウルではないか!」
見知った顔を見つけて、思わず声を掛ける。
「? ……オルドか。
こんなところでどうした?」
「お前、もしかして知らないのか?」
どうやらガウルは皇女たちの謀反について、未だに知らないらしい。
観戦席にいなかった者には、声が届いていないのかもしれない。
「実はな、この国の皇族が反抗を起こしたんだ」
「……は?」
オレ様は要点だけ纏めガウルに状況を説明した。
「戦闘場の方が随分と騒がしいとは思っていたが……そんなことになっていたのか……」
「うむ!
だからオレ様が円卓の騎士を、ぶっ飛ばすことにした」
「一人でか……?」
「ああ……そうだ! ガウルもどうだ?
オレ様と一緒に来ないか?
いや――来るといいぞ!」
「え……ちょ、ちょっと待っ――おあああああああああああっ!?」
オレ様はガウルの手を引っ張り、超速で王都を駆け抜けた。
「まままままままま、待て、じ、自分、自分で、はしいいいいいいいい――」
「遠慮するなっ!」
オレ様が引っ張ってやった方が速く移動できるだろ!」
そしてオレ様は、王城に向かって走った。
魔力反応が小さいので、どうにもわかりにくいが、場所はこちらで間違いないだろう。
(……あ、あれだ!)
遠目から小柄な少女に膝を突く生真面目そうな男が見える。
「きゃはっ! スカイ、来てくれるって信じてたよ~」
「結合指輪を通じて、イシス様の危機を感じました。
その時、我が身に力が溢れてきたのです」
場所は闘技場から少し離れた王城付近。
しかも数百人ほどだろうか?
兵士たちが待機している。
「みんな、待たせちゃってごめん~。
計画――少し早いけど今から実行するから!」
それは反乱のことだろう。
どうやら集まっている奴らはその為の兵士らしい。
なら、
「ふはははははははっ!」
「う、うおおおおおおおおおおっ!?」
跳躍したオレ様とガウルは、そのまま兵士たちの中心へと落下。
――ドシーーーーーーーン!!
地面を揺らして颯爽登場。
「オレ様参上!! お前らの悪巧みもここまでだ!!」
「あぅ……ああ、こ、ここは? 僕は生きてるのか?
天国のお婆様が見えたような……」
皇女とその騎士、兵士たちの視線が一斉に集まる。
「な、何? もう追ってがここまで来たの?」
小柄な皇女はビクビクと動揺している。
「そうだ! お前らをぶっ飛ばして捕まえてやる!」
「イシス皇女殿下……なぜ謀反など……」
ガウルの顔に悲しみが広がる。
「そんなの、この国で初めての女帝になりたかったからに決まってるでしょ?
イシスが一番になれば――み~んなイシスの想い通りなんだもの!」
「くっ……そんな理由で……この国を先導すべき皇族が……――いや、僕はもう貴様を皇女殿下とは思うまい――反逆者イシス。
この僕が貴様を捕える!」
「おお! 流石はオレ様の友だ! なんだかカッコいいぞ!」
「オルド、先程は迷いを見せて済まない。
だが――僕もキミと共に戦おう!」
言って、ガウルは剣を抜いた。
すると皇女の騎士スカイは怒りに形相を歪める。
「貴様ら……イシス様に対してふざけた事を!」
「お前らこそ、悪者の癖に偉そうな奴らだ
いや……悪者だから偉そうなのか……?」
「悪者……? なに言ってるの?
イシスは皇女なのよ!
だから偉そうでもいいし、イシスのすることに間違いなんてない!」
「……なに言ってんだ、お前?
ガウル、こいつらおかしいぞ?」
「その通りだ、オルド。
この女は間違っている!
民の意見に耳を貸してこそ――王たる器があるのだ!」
オレ様が話を振ると、ガウルは強く自分の意見を述べた。
全くもって同意する。
「いいか、イシス。
ルールというのは一番強い奴が決めるんだ。
少なくともオレ様の世界ではそうだった。
その上で――みんなが楽しく過ごせるようにがんばるのが王様だ。
オレ様の知ってる王はそういう奴だ。
なのに……お前は雑魚の癖に、自分のことしか考えていないではないか!」
「むっ!? い、イシスは女の子だから弱くてもいいの!
皇女だから権力があるんだから!」
「はぁ……どうしようもない奴だなお前……まぁ、いいや」
オレ様がやることは決まってる。
「とりあえず、お前たち全員――ぶっ飛ばす。
行くぞ、ガウル!」
「ああ!」
「無礼者がっ! 貴様ら何を見ている!
我らが皇女殿下に逆らう愚か者を捕えよ!」
「スカイ――違うわ……処刑よ! 皇女であるイシスを侮辱したんだから!」
叫ぶ皇女と騎士。
だが……無駄だ。
「――恐怖の波動」
オレ様は得意魔法である波動を使った。
波動を纏わせ相手の心を恐怖に沈める。
すると、どうなるか――
「ひ、ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!!!」
「た、助けてくれええええええええええええええええええっ!!!!!」
情けない悲鳴を上げて、恐慌状態となった兵士たち。
波動の力を強めてやるだけで、バタバタバタと気絶していった。
百人以上いた兵士たちは一瞬で無力化されていた。
「あ……うぅ……お、オルド、こ、これは……あ、あぁ……」
ガウルが口をパクパクさせ、死んだ魚のような目で俺を見ている。
「あ、すまんガウル。
お前まで巻き込んじゃった」
ガウルに纏わりついた波動を消す。
「はぁ、はぁ……と、とんでもない魔法を使うなキミは……」
なんとか自己を取り戻したガウル。
オルドとイシスも、なんとか耐えたようだ。
「な、なにをした!? こ、この……心を押しつぶすような圧迫感は……?」
「す、スカイ……怖い、イシス、怖いよぉ……」
ボロボロと泣き出す皇女。
気絶していないのは……どうやらあの女の付けている指輪のようだ。
目を凝らすと魔力壁のような何かが、皇女の身を守っているのがわかる。
「我が皇女イシス。
どうか……あなたをお守りする為に、勇者の遺産の使用許可を」
「あ……そ、そうよね!
いいわ! スカイ、やっちゃって!!」
「お任せを!
さぁ……
我が断罪の刃よ――我が道を妨げる物を――処刑せよ!」
それは勇者の遺産を発動する為の解除呪文だったのだろう。
巨大な魔力が周囲に満ちる。
「おお……面白いのがあるではないか!」
「こ、これが勇者の遺産……こ、これほどの魔力を内包しているなんて……」
ガウルが驚くのも無理はない。
使用者であるスカイはオレ様にとっては雑魚だが……この魔法道具はヤバそうだ。
勇者……なんて化物の名が付いているだけのことはある。
これが、奴らの切札というわけか。
準備運動にもならないかと思ったが、これでオレ様も少しは楽しめそうだ。
「さぁ来い。
オレ様を楽しませてみせるのだ!」
「お、オルド! 今直ぐに撤退すべきだ。
や、やはり――円卓の騎士を相手にするには分が――」
「もう遅い!!
深淵より生まれし縛鎖よ、罪人を捕縛せよ」
スカイはオレ様に手を向けると、空間は裂かれ円状の闇が無数に現れた。
同時に色鮮やかだった世界が暗く染まり、直後――穴から出てきた鎖が高速で迫ってくる。
これに触れると面倒だ……と、オレ様の勘が告げていた。
が、
「むっ……?」
「んなっ!?」
オレ様たちを取り囲むように闇の裂け目が増え、そこから無数に鎖が飛び出す。
四方八方、逃げ道を塞いだ黒い鎖が身体を拘束した。
「なんだ……力が抜けていく……」
「あ……あぁ……そ、そんな……苦し……」
何かの状態異常か?
オレ様の身体の調子が明らかに悪くなっていく。
毒?
いや、それだけじゃない。
体力や魔力も吸われている。
ガウルなど、目に見えて顔色が悪くなっていた。
「この鎖に捕縛されたものは多くの状態異常になる」
「なら――引き千切ってしまえばいいだけのことではないか!」
オレ様は腕に力を込めた。
だが……ビクともしない。
「むぅ……ダメだ、千切れん……」
「ふんっ……これで、終わりだ」
オレ様たちの頭上に真紅の刃が生まれた。
刃は一つや二つではない。
幾度となく罪人が死ぬまで永続的に処刑が続けられるように、無限の刃が生成されていく。
「ぼ、僕は……こ、こんなところ、で……」
「流石に直撃はマズそうだな」
あの刃からは呪いの類いだろうか?
嫌な力を感じた。
掠り傷でも追えば、解呪は不可能かもしれない。
「きゃはははっ! ねぇ、命乞いなさいよ?
もしかしたら、イシスが慈悲をあげるかもしれないわよ?」
「……っ――」
一瞬、ガウルは逡巡したように見えた。
だが、
「……僕はユグドラシル帝国に使える騎士だ。
反逆者に許しを乞うような言葉は――持ち合わせてはいない!」
ガウルは誇りを取った。
闇の鎖に力を吸われた状況化でも尚、その瞳から力強さを感じる。
そうだ。
オレ様の友であるのなら――そのくらい言ってくれなくてはな!
「…………なにそれ? つまんない……。
スカイ、こいつからやって」
「かしこまりました。
断罪の刃よ――捕縛されし我が敵を処刑せよ!!」
「きゃははははっ! これで一人、お~わり!」
高らかに笑うイシス。
だが、
「――祝福の波動」
新しい波動をオレ様は使った。
瞬間――バン! バン! バン! バン! バン!
処刑が執行された証を奏でるように、鈍い音が無数に響く。
だが……
「え……? な、何が……?」
その紅刃がガウルの血で染まることはない。
なぜならば――振り下ろされた刃は全て、ガウルに当たってはいないのだから。
「な、なぜだ……どうして当たらない!?」
刃は当たらないのではない。
全てガウルを避けていく。
まるで処刑を拒むように。
「ふん……オレ様の魔法――波動の力だ」
「オーラ?」
オレ様は対象を指定することで波動を纏わることができる。
効果は様々であるが、祝福は対象者の運を増大させる。
結果は御覧の通りだ。
「効果まで説明してやる義理はない」
「くっ……だが、捕縛され動けぬのならいくらでも倒しようはある!」
「ああ……そうだな。
だが――不運の波動」
対象者は勿論、イシスとスカイだ。
波動が纏った瞬間。
オレたちを捕縛していたはずの鎖が一本――皇女の足を絡めとる。
「え……ぎゃ!? あ、あぁ……ど、どうして!?
あああああ――」
そのまま鎖に吊るされて、イシスは逆さまになってしまった。
「い、イシス様!?
くっ、鎖が制御できない!」
だが勇者の遺産はスカイの言う通りには動かない。
「どうする?
この力を止めなければ――お前の大事な皇女様も力を吸い取られ続けるぞ?」
「ぐっ……――がっ!? ば、馬鹿な私の下にまで何故っ!?」
続いて鎖がスカイ狙う。
無数に伸びる黒い闇がオレ様たちの視界を覆った。
最早、鎖に囚われていないものはいない。
こうなっては耐久力のある者が有利だろう。
オレ様にはまだまだ余裕があるが、イシスはそうはいかないだろう。
だからこそ、スカイの行動を推測するのは容易い。
「――クソッ! ――深淵よ力をしずめよ!!」
その言葉に呼応し勇者の遺産の力は消え、オレ様たちに纏わりつく鎖も消えた。
「ふむ……勇者の遺産、確かに面白かったぞ。
まさか千切れぬ鎖とは……」
「くっ……直ぐにもう一度――」
「何度やっても同じだ。
オレ様たちが波動を纏っている限り、お前の攻撃は当たらない」
もしも打ち破れるとするなら、オレ様の力を超える圧倒的な魔法力を持ち、運命すらも捻じ曲げられるような力の持ち主だけだ。
「黙れっ! そんな戯言――」
再び空間が裂け鎖が舞う。
だが、
「力の波動――技の波動――速さの波動――」
波動を纏い、オレ様は自らの能力を高める。
今掛けたのは攻撃力を高める三つの波動。
ちなみに最大で、全部で百の波動を纏め掛けすることも可能だった。
エクスを相手にする時は、百の波動を纏め掛けして、さらに相手の能力を大幅に低下させる波動を纏わせる。
しかし……そこまでやっても、悔しいことに今のオレ様では勝ち目はない。
奴らと比べれば、
「人間界の最強もこの程度なのか?」
「深淵の鎖よ、捕縛せよ!」
無数に飛び交い、オレ様に迫る鎖を潜り抜ける。
当然、当たる気はしない。
波動を纏ったオレ様の身体能力は通常の十倍まで上昇している。
スカイには動きすら追い切れてはいないだろう。
だが、勇者の遺産という魔法道具は違う。
的確にこちらの位置を把握し――鎖で捉えることは不可能だと判断したのか、断罪の刃が振り散らす。
だが、オレ様は一気に駆け抜けた。
背後に響くのは振り下ろされた刃の音――
「――魔拳の波動」
そして、拳に波動を纏わせる。
目前まで接近したスカイの顔面目掛けて、
「喰らうがいい! 魔界の覇王となるオレ様の拳をっ!」
ボゴン! ――叩き込んだ。
「ぶごあっ!?」
顔面に拳が減り込み、スカイの身体が吹っ飛んでいく。
そして、
「ぁ……え、す、スカイ、た、戦いは――ぎゃあああああああああっ!?」
朦朧と立ち上がった皇女に激突して、互いに重なるようにぶっ倒れた。
「あ、あ……」
「あうう……」
ピクピクッと二人の身体が揺れる。
まぁ、手加減しているし……この程度で死ぬことはないだろう。
「やっぱり人間って……弱いのだな」
戦いを終えた感想だ。
やはりオレ様を楽しませられるのは、我がライバルであるあの男だけなのだろう。
(……さて、こいつら捕縛して……戻るとするか)
こうしてオレ様と断罪者の戦いは、当然のように圧勝で終わったのだった。