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第3話 専属騎士(ガーディアン)のお仕事

20180207 本日、更新3回目です。

ご意見、ご感想をお待ちしております。

 見上げても天辺てっぺんが見えない。

 そんなドデカい建物が、視界の先にあった。


「ここはお前の家なのか?」


「違うよ。ここは学園――ベルセリア。

 聞いたことくらいはあるでしょ?

 王侯貴族のお姫様たちが通う学園――そして同時に、専属騎士ガーディアンを育成する養成機関でもある場所さ」


 全く聞いたことがない。

 だが、学園については知っている。

 魔界には義務教育といのが15歳まであるのだ。

 魔界は義務教育期間に『強さ』を学ぶ。

 多分、人間界も似たようなものだろう。


「で、もしかして……なんだが、俺はここに通うのか?」


「そうだよ」


 あーやっぱりそうなの?

 魔界最強になったのに、俺は人間界で教育されないといけないのか?

 メリットはないように思うが……いや、だが待てよ……。

 ここに通えば『人間界流の強さ』が学べるのではないだろうか?

 もしそうなら、俺はさらなる強さを手に入れることが出来る。


(……悪くないか)


 人間界には勇者を始め、恐ろしい化物がいるかもしれない。

 勿論、そいつらと戦闘になっても負けるつもりはない。

 が、自分の力を過信するのは良くないだろう。

 先程のルティスとの戦いではないが、足元を救われるかもしれない。

 少なくとも勇者は、ルティスと互角以上の力を持っているとも聞いたしな。



(……勇者は一体、なんの為に俺を人間界に送還させたのか)


 もしかしてあれか?

 魔界最強VS人間界最強でもやろうってのか?

 頂上決戦をしようってんなら望むところだ!

 勇者をぶっ倒すことで、俺が世界最強になってやろうじゃないか。

 まぁ……今考えてもその真意はわからないが。

 とにかく、強くなる為には常に学んでいかなければ!


「じゃあ、行くよ」


「ああ」


 俺はフィリスに手を引かれ、学園の中に入っていく。

 その時だった。


「フィリス様~~~~~!!」


 学園の入口から、一目散にこちらに向かって来る少女が見えた。

 その姿はメイド。

 なぜメイドが学園にいるのだろうか?


「ニア……そんなに慌ててどうしたの?」


「どうしたじゃありませんよ!

 お部屋にいらっしゃらないからどうしたのかと思えば!

 学園中を探し回っても見つからず、まさかお外に行かれたのかと――」


 ニアと呼ばれた少女は、今にも泣き出しそうだ。


「あはは、心配掛けちゃったね。

 ちょっと外の風に当たりたくてさ……」


「いつも言っているじゃないですか!

 せめて、わたくしにくらい一言掛けてください」


「本当にごめん。

 だけどほら、この通り大丈夫だから!」


「ご無事で何よりです……が、あのフィリス様、こちらの方は……?」


 メイドが俺を見た。

 その眼差しに含まれるのは疑惑と敵意。

 だが、その誤解は一瞬で解けることになる。


「彼はエクス。

 今日からボクの専属騎士ガーディアンになってもらうから」


「そうですか……って、はい!?

 フィリス様、ついに専属騎士ガーディアンをお決めになったのですか!!」


 なぜかニアは大興奮だった。

 そして尊敬の眼差しを俺に向ける。


「エクス様! どうかフィリス様をよろしくお願いいたします!」


 キラキラとした眼差しで、ニアは俺の手をギュッと握ってきた。

 その握られた手から、彼女がフィリスのことをとても大切に思っていることが伝わって来る。


「任せろ」


「ありがとうございま――」


「――と、言いたいところなんだが、フィー」


「フィー!? まさかそれは姫様の愛称!?

 もう愛称でお呼びする仲になっておられるんですか!?」


 いや、本当はフィフィフィだったんだが、少し言いにくいから勝手にフィーと呼ばせてもらうことにした。


「どうかしたの?」


専属騎士ガーディアンの仕事について確認したい」


「簡単さ。ボクを守ってくれればいいんだよ」


「それはわかってる。

 自分を守って欲しいと、お前が言ったからな」


 何より名前がガーディアンだ。

 元々は、守護者という意味で使われる言葉だったと記憶している。


「それ以外の仕事だと、さっき話したことかな。

 学園に通い学ぶ。

 1日8時間の授業で週5日。

 休日は2日間。

 エクスにやってもらうことはこれくらいかな。

 それと給料は月末支給ね」


 なるほど……だいたいは魔族の学園と変わらないな。

 大きな違いとしては、義務教育では給料が出なかったことだな。

 学びながらも金が貰えるというならやはり悪くない。


「わかった。

 では正式な契約をするか」


「うん。その為にも、今から学園長室に行くよ。

 早くしないと授業に遅れちゃうし」


 学園長――つまりはこの学園の代表ということだろう。

 つまり強者の可能性が高い。

 学園長との邂逅を前に、俺の心は自然とたかぶっていくのだった。

ご意見、ご感想をお待ちしております。

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