表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

激臭うんこスプリンクラーになった男

作者: うんこの弟

再投稿です。

どんな評価でもいただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

僕には兄がいる。きっとまだ生きているはずである。


24歳でクソニート。

半年で大学を中退し、以来実家に引きこもっていた。

そんな彼の毎日は寂しいものであったと思う。

一日は眠りから覚めることで始まり、眠りにつくことで終わる。

そこに時間という概念はなく、彼にとって時の流れを感じさせるような継続的な変化があるとすれば、それは老いくらいのものである。

ただ老いと言ってもそれは肉体的な変化のみであり、精神的な成長は彼が10歳のときに止まっているし、引きこもりの彼にとっては、肉体など、もはやとぐろを巻いた悪臭を放つ魂と、クソを内包するだけのゴミ袋に過ぎないため、その変化を読み取るだけの関心は向けられていないように思える。

彼の人生は6畳の部屋の中で完結しており、そこには未来も過去も存在しない。社会そして時間からも切り離されたその空間で行われる意味を持たない繰り返しは、何かに生かされているように感じるほど無意味で、何千億光年先の星屑の塵以上に僕たち人間とは交わらない無価値なもののように感じられた。


そんな無意味で無価値な繰り返しの中で、彼がしていることといえばインターネットを通じて自分と同じ境遇にあるうんこ達とお互いを慰めあうこと。もしくはテレビゲームくらいである。

まさに絵にかいたような二ート像だ。

そんな彼のクソ人生を思うと悲観せずにはいられないが、さらに悲しいことが一つある。

彼はテレビゲームがとんでもなく下手なのだ。

クソほど時間があるのにも関わらず、ゲームの腕が全く上達しない。

うんこ達と同じばかりか、それ以上の時間を費やしても、彼はいつまでも負け組のままなのだ。

悲しいことだ。


僕は弟として彼を近くで見てきたが、彼は日に日にうんこ臭くなっていると感じる。

うんこの中で負け犬なるというのはどんな気分だろうか。

こんな生活が続けばうんこ臭くなるのは仕方がないことだが、想像すると少しだけ胸が締め付けられる気分だった。

うんこ臭くなっているというのは実際にうんこを垂れ流しているからでもあるのだが、おそらく彼は自分がうんこを垂れ流しながら生きていることに気付いていない。

そればかりか、彼はよく暴れまわるものだから垂れ流しのうんこが彼の周りには散らばっているし、そんなうんこまみれの場所には、誰も近づこうとしない。

昔は散らばったうんこを退かして、いつか彼を救い出す人が通るため道を両親が作っていた。

しかしそんな両親も今では、彼の作った底なしのうんこ沼にはまって身動きが取れなくなっている。

両親を助けてあげたい気持ちはあるが汚いので放っておくことにした。

それからというもの彼が撒き散らしたうんこは高く積み上がっていった。

うんこの壁はすぐ彼の周りを取り囲み、彼をその内部に閉じ込めてしまった。


いま彼がうんこ中で何をしているのか、それは僕にもわからない。

ただいまとなってわかったことが二つある。

それは彼がこれまでに生きてきた24年間は無意味ではなく、激臭うんこスプリンクラーになるというただ一つの意味を持っていたということ。

そして、それ以外の何でもなかったということだ。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ