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1章 転生者のもたらすもの 5

マークとの距離ができ、改めて観察を始める。


マークは傷を負ったせいか、これまで以上に警戒し動かない。


こちらをただじっと見つめているだけである。


ここで他の3人達の様子もみてみると、レビンとコルドはすでに体制を立て直し、すぐにでも飛びかかれるようだ。


リアも先程までは取り乱していたが、俺たちの戦闘を目にして一緒に戦う覚悟を決めたらしく、目がしっかりマークや俺たちに向かっていた。



マークはやはり動く気配がない。


俺は三人に目線をやった。

仕掛けてこないならこちらから動くまでだ。

先程の動きを見るに油断が無ければこちらが勝利することも可能であろう。



三人はそれに頷くと行動を開始した。


マークに向かい真っ先に走り出すのはレビンだ。


そのすぐ後ろに俺とコルドが並んで走る。


マークがやたらこちらを警戒し、攻撃をあちらから仕掛けては来なそうな事を考慮しての布陣だ。まあ、それでもレビンに攻撃が届きそうになった時の為に俺がすぐ後ろで構えているわけだが。


リアはその場で魔法を使う為の準備を始める。無駄うちはせずに必要なタイミングで魔法を使ってもらうためだ。



すごい才能を持ってると言われているリアでも、まだ魔法を使うには集中しなくてはならない。ましてや転生者に通用するものを放つならなおさらだ。



そして、レビンとマークの差がどんどん縮まりレビンが剣を右肩から振り下ろした。

「おらっ!!」



それをやたら凝視していたマークは危なげない動作でバックステップして回避、それをレビンが追って続けて剣を振るう。



しかし、マークから攻撃しようとする気が伺えない。


レビンがわざと相手の攻撃を誘い、コルドに攻撃させようとわざとおお振りして隙を見せて、俺もそのカバーのために気をはるが、マークは全く攻撃して来ない。



レビンの思惑に気が付いている可能性もあるが、戦闘経験がほぼないマークではそんな駆け引きに思い当たるとは思えない。



どこか不気味だ。


「もおいい、やるぞ!」

レビンは痺れを切らしたのか、マークの様子見をやめて本気で切り込んだ。


仲間の俺やコルドがいるから出来る防御を無視した特攻だ。



下からの切り上げからの斬りおろし、そこから剣を突き出したりと攻撃の手を緩めない。



時々攻撃に切れ目が出来るがそこは俺がしっかりレビンを守る。



「くっそ、マジかよっ」

今まで身体能力の高さを頼って剣筋から逃れていたマークも流石にたまらないらしくその表情に焦りをうかばせながら、自らの剣を使い攻撃をいなすようになった。



ここでレビンはその剣に向かって自らの剣を左腰から振り抜く。


まさか剣を狙われるとは思わず、目を見張っているマークは剣から右手が離れ左手も剣を離しはしなかったものの、完全に弾かれてすぐには戻せなそうだ。



当然、転生者の強大な力を押し切る程の一振りを全身を使い放ったレビンも動け無いが、そこにすぐさまコルドがレビンの右脇から前に出る。



コルドの槍の先端が、剣を構えられないマークへと迫る。



「何度も同じ手をくらうかよ!」

しかしマークも一回見たためか左足で身体を右へスライドさせる。


結果、マークの胴体を狙った突きは虚しく空を突いた。



マークの顔に明らかな笑みが浮かび油断ができる。


俺はそれに合わせて今度はレビンの左脇からマークの前へと出る。



「なに!?」


困惑した声が上がる。今まで防御に徹した俺がここで来るとは思わなかったのだろう。

(それは全く甘い考えだとしか言いようがないが)


俺は盾の縁を無防備なマークの腹へと思いっきり叩き付ける。盾と言っても金属でできた重量ある塊だ。それをもろ腹にくらえば流石の転生者でもダメージが入るだろう。


「うぁ・・・うっ」

案の定、マークは数歩後退し苦しそうに呻く



「はっ!」

そこにリアの掛け声とともに人の頭ぐらいの大きさの火の玉が襲いかかる。


ドンッ!

「がぁぁ・・」


おおきな音がしてその火の玉が爆発し、マークは後ろに吹き飛んだ。


リアの得意技"火炎弾"だ。ただの火の玉だと質量が無いため精々火傷を負わせることしか出来ないが、これは爆発を伴うのでそのダメージは大きい。使える魔法使いはなかなかいない魔法だ。(リアの先生は使えるが)


俺の打撃とリアの魔法が完全にマークを捕らえた。


これで全くきいていないなら絶望ものだが、しっかり効いている様子だ。



これは、、、いける!!



確かな手応えに自信が生まれる。


他のみんなも似た様子だ。己の力が転生者に届いて、気が高まっているのだろう。



そんな中、マークがのっそりと起き上がる。あれだけくらっておいてまだ動ける身体には呆れるしか無いが、ならば繰り返せばいいだけだ。必ず限界は来る。



そうしてマークを見ると何処か違和感を覚える。



「なあ、あいつなんかおかしくないか?」


「そうかな?」


「気のせいだろ。それより集中しろ、あいつを殺して皆の仇をとるんだ!」



コルドは気が付いておらず、レビンはそれどころではなく、殺気だっていた。



そんな中マークが不敵に笑い始めた。

「クックック、おい!ありがとうな、しっかり見させてもらったぜ」



なにを言っている?確かに先程の攻防をマークは攻撃しようとせず観察に徹していたがだからどうだと言うのか?



意味がわからないままマークを見ていると、剣を構えた。


その姿に今までの違和感が溶けていくようであった。




その姿は今までの構えの乱れは全く見られなかった・・・。

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