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1章 転生者のもたらすもの 3

0章からわかると思いますが、ガトラの日記がもととなるので基本ガトラの一人称で話は進みます。

実際の日記はこれをだいぶまとめた物だと考えて下さい。

目を奪われ、停止していた思考を必死に再開する。



彼女の体格はお世辞にもいいとは言えない。どちらかと言えば、儚く脆そうだ。



しかし、状況的に彼女がレビンの父親が飛ばされた原因であろう。



ここで彼女をただの通りすがりだと決めつけるのはいささか楽観が過ぎるというものだ。


となると彼女は魔法使いか転生者ということになる。



魔法使いはその強さを体格に依存しない。体内の魔力の大きさと、長年の修練が強さの秘訣となる。事実リアの先生はもう60歳を超える老人であるが、この村でも彼に勝てるものは少ないであろう。


だが集団戦ともなれば話は別だ。魔法を放つには多かれ少なかれ時間がかかる。簡単な魔法であればほぼ瞬間的に放つことも可能だが、集団戦に用いるような広範囲魔法であるとどうしても実戦的で無いほどの時間がかかってしまう。



その隙を見逃すようなヘマはこの村の大人ならしないだろう。



となると、転生者という可能性があるがそれは信じられない。いや、信じたくない。



彼らの強さは体格によらない。というか、見かけでは判断出来ないのだ。

ちょっと前森に凶悪な魔物がどこからか住み着き困っていたところ、偶然立ち寄っていた子供にしか見えない転生者があっさり倒してくれたのだ。



彼らに尋ねると、どうやら転生時に身体能力が増強されるらしい。


曰く

「元の世界ではただの引きこもりだったんだけどね〜。今じゃこの通りよ」

と言って巨大な岩を破壊して見せた。


それまでは毎日修練している自分が敵わないのに腹がたったが、その桁外れの力を見せられてからはバカらしくなり、そういうものだと割り切っている。



だが彼らは基本的にこちら側の住民に対して友好的だ。どうやら元の世界では法律というルールが広まっており、悪事や戦争を進んでするものはごく一部に限られるらしい。そのためか、無闇に力を使ったりはせずにいてくれる。ただ自らの大切なものを犯した者には容赦はないらしいが。



もちろんこの村はそんな命知らずなことはしていない。転生者の居住を許さないと言っても、こんな森の中の村に住みつこうとする物好きなどいないし、通りかかった旅人が休んで行きたいと言えば、誰であれ丁寧に扱ってきた。彼女の機嫌を損ねるようなことはしていないはずだ。


だが、もし彼女が転生者で、この村に恨みがあるのなら、俺たちではもうどうしようもない。それ程転生者とは特別なのだ。



こちらが必死に考えている間にも彼女は話しはじめる。



「ねぇ、そこのキミたちさ、この村にある綺麗な宝石知らないかな?ここにあるってきいたのだけど?」



俺たちは顔を見合わせる。しかし誰も知っていそうな様子はない。代表してレビンが黙って首を横に振る。



すると彼女は明らかにがっかりした様子で



「まあ、しょうがないか。子供だもんね。大人が喋ってくれればいいのに・・・。ねぇ、おじさん本当に知らないの?」



「知らないと言っておるだろう!!」



「そっか〜・・・。じゃあ、みんな死んでくれるかな?」



「は?」



あまりにもあっさり言われたその言葉に耳を疑った。

死ねだと?何を言っているのだ。


レビンの父親が咄嗟に返す。


「ふざけるな!私たちが何をしたっていうのだ!殺される謂れはないぞ」



「いや〜、私今ある実験しててさ。それにこの村にある筈の宝石が必要なんだけど、しらないんでしょ?だったらその実験に人の魂もいるからそっちをもらおうかと。宝石は全員殺した後村中を壊して探すよ。拷問も趣味じゃないし。ねっ合理的でしょ?」



これにはさすがのレビンの父親も黙って絶句した。この女は俺たちの命なんて道具と同じようにかんがえている。女の空虚な瞳の一端を見た気がして再び悪寒に震えた。



すると突然女の前に二人の男が現れた。一人は女と同じ黒い髪でどこか雰囲気がにている。もう一人は、髪は染めているのだろうか?くすんだ金色の髪に耳にはリングをしている



黒髪の男は彼女の前に跪いた。どうやらこちらの味方ではないようである。



「お嬢様、言われた仕事を完遂してまいりました。」


「えっ、もう!?さすがにもっとかかると思っていたのだけど・・」



黒髪の男の言葉に女は驚いた様子だ。何か頼んでいたのだろう。それより、速くこの場の解決策をかんがえないと・・・



混乱からなんとか復帰し、やっとそこまで考えが及んだところで、もう一人の男が話しはじめる。



「しっかし、クサリさんよ。この世界の住民マジでザコいな!俺が手をだす間も無くこいつ一人で全部殺しちまったよ!」



「おい!お嬢様の名を気安く呼ぶなと何度言ったらわかる!!」



「え〜。いいじゃんどうせこいつらも殺すんだし・・・」



「まったく。いいわよデン。マークのチャラさの修正は私はもうあきらめたから。それより宝石は見つかった?」



「申し訳ありませんが、全ての家から周辺の森、井戸など隅々探しましたがそれらしきモノは見つかりませんでした。」



「うーんあの文献も古かったからね。デマだったかな?なら・・・」



まだ会話は続いているようだったが、もう情報を処理仕切れなくなった。


こいつらは今なんていった?村人を全員殺しただって?しかも黒髪のデンという男一人で俺やみんなの親も殺したというのか?



俺を含めた子供たちが真実を受け止められないでいると、レビンの父親は涙を流しながら会話に夢中のクサリと呼ばれた女に走っていった。



少しでも注意を向けないように叫んだりはしない。ただ皆の仇を取るためだけに心から溢れ出る叫びを押しとどめる。


剣も目立たないよう地面すれすれに構え恐るべき速さで彼らに肉薄する。そこから放たれた切り上げはどんな達人でも受けられないように思える程素晴らしいものであった。



俺たちは彼が女を切り捨てる光景を信じて疑わなかった。



たが、その場に無慈悲な金属音が響く。


デンが自らの刀でレビンの父の剣を受け止めていた。


会話していたにせよ、こちらを向いていたクサリならともかく完全に背を向けていたはずのデンが、だ。



デンの顔は強烈な怒りに満ちていた。



「この私の前でお嬢様を害そうと思えるなど、なんの力も持たない雑魚が、死してその罪を贖え。」



そう言い切ると同時に剣を空中に弾き驚くべき速さで身体を刀で斜めに切り下ろす。



するとどれほどの切れ味なのだろうか、レビンの父親はそこから二つに別れて絶命する。


「父ちゃん!!」


「もう、イヤ!なんでこうなるの!」



レビンの絶叫とリアの叫びがこだまする。

コルドは今だ呆然としていた。



俺はありとあらゆる怒りを込めてクサリ達を睨み付ける。


すると

「あーあ、宝石も無いし、子供には泣かれちゃうし・・・。デンこの子達このままでいいんじゃない?さすがに泣いてる子供は殺したくないんだけど・・。」



「いえ、駄目です。この村の人間は幼い時から修練を人一倍積んでるようで、戦闘力は強いです。加えて見たところ彼らには才能がある。ここで殺さなければお嬢様の障害となる可能性が出てしまいます。ここで殺すべきです。」



「心配性だなーデンは・・・。じゃあ気は進まないけど・・・」



こちらを殺すことになりそうだ。いいだろう。クサリ達が話している間にレビンとリアもコルドも全員覚悟を決めた。


親の死は辛く悲しく泣き叫びたいが、この女に対する怒りの方が強い。勝つことは出来なくても、一矢むくいてやる。



そう臨戦体制をとったところでマークが話し出した。



「いいよクサリ、俺がやる。お前は作戦練り直さなくちゃなんだろ?速く戻ってやって来い。お前は俺たちの希望なんだから。それとデンも付いて行ってやれや。クサリがやられるとは思わないが一応な。」



「でも、マークお前転生したばかりだろ?まだろくな戦闘していないのに大丈夫か?その子供たち、そこらの兵より強いぞ?」



「なんだよ、心配してくれるのか?デンさんよ。大丈夫だよ。それより俺も速く戦いに慣れてお前らを手伝いたいしな。」



クサリは少し考えて、


「いいよ。ただ十分以内に終えて戻ってきてね。それで倒せないようなら私の部下にいらないから。」



そう言って、どんな原理かは知らないがクサリは浮かび上がる。

それにデンも続きこの場からいなくなった



「まて!」


レビンが逃がすかと追いかけようとするも、恐ろしい速さで動いたマークに捕まり、こちらに投げ返される。



マークを睨みつけると、


「おお、こわい。まあ、そういう訳だから。殺し合い、始めようぜ。まだ慣れてないから手加減してくれるとうれしいかな」



その人を小馬鹿にしたような発言に俺は限界が来てマークへと駆けていった。

想像以上に長くなりました。

すみません。

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