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人狼ゲームをしよう!

初めて小説を書いてみました。楽しいですがとても難しいですね。拙い、というか下手くそな文章ではありますが読んでもらえたら嬉しいです。

「先輩方、そろそろこの部が何をする部なのかくらい教えてくださいよ」

四月中旬、高校に入学して間も無く、この部員が女子の先輩だけの心理学部に強引に入部させられてから一週間が経った頃のこと、僕はとうとうしびれを切らした。

「この一週間これといった活動も無いままダラダラしてるだけじゃないですか」

部長の大神先輩が答える。

「まあまあ後輩君、落ち着きたまえよー。ほら、お菓子でも食べな?」

「部長、それ僕が持ってきたお菓子です」

いつも優しく物腰の柔らかい皆藤先輩が言う。

「でも確かに言われてみれば新人さんが入ってからは一度もしてませんでしたね。」

「だってなかなか全員揃わんだし、でも今日は揃っとるやん、ちょうどいいしやろか」

と市宮先輩。

「…」

そしていつも無口で無表情、いつも本を読んでる民倉先輩。

「確かにこのままじゃなんのために新人君を捕まえたのかわからないねー。今五人かー、今日は先生忙しいって言ってたからなー。もう一人呼ぼうかな」

「6人ならゲームの幅が広がりますしね」

携帯電話を取り出し、誰かに電話をかける大神先輩。

「あ、しょうちゃん?しょうちゃんってさ、人狼できたよね?今から2棟の一番北側にある物理準備室来てくれない?…うん、わかった、待ってるねーん」

じんろー?

「先輩、『じんろー』ってなんですか?」

「それがうちの部の主な活動内容やねん。人狼は狼男のこと。『人狼ゲーム』って知らん?まああたしらがやってるのは『ワンナイト人狼』やけど」

「人狼ゲームは聞いたことはあるような気がしますが詳しくは…。ワンナイトってことは一夜…?」

パタンッ、と本を閉じる音する。

「人狼…するの?」

民倉先輩が喋った!?始めて声聞いた。そしてなんか嬉しそう。

「ええ。薫ちゃんは人狼ゲームが大好きですもんね」

皆藤先輩が説明してくれる。

「人狼ゲームは簡単に言えば人間の中に隠れてる人狼を探してやっつけるゲーム。人狼ゲームは何ターンもあって一時間くらいかかる。でもワンナイトなら1ターンしかないから十分もかからない」

こんなに喋るとは…。これがあの民倉先輩か…?!

「今回は6人だから占い師1、怪盗1、人狼2、てるてる坊主1、市民3ってとこかなー」

そう言いながら8枚のカードを大神先輩が取り出し、民倉先輩に渡す。

「じゃあかおるん、新人君へのルール説明よろしくー」

「了解。まず最初に一人一枚カードが配られる。それに書いてあるのが自分の役職。」

民倉先輩は話しながら8枚のカードを並べる。大神先輩がさっき言ってたのはカードの内訳のようだ。

「カードは全部で8枚だから2枚余りますね」

「そう。その2枚を机のまんなかに置いてそれを囲むように座る。自分の前に自分のカードを伏せてゲームスタート。夜の時間。目をつぶって各役職が行動する」

民倉先輩が占い師のカードを手にとる。

「まずこれ。最初は占い師のターン。占い師は誰かのカード1枚かまんなかのカード2枚を見れる。どっちかだけ。間違っちゃダメ。」

「なるほど、人狼を探す手掛かりになるんですね。一人を見て人狼を当てたらラッキーだし」

「次はこれ」

人狼のカードだ。

「次は人狼のターン。目を開けて仲間を確認する。人狼に出来るのはそれだけ」

「え、それだけなんですか?いるだけなのに殺されるんですか?なんかかわいそうじゃないですか?」

僕の問いに市宮先輩が説明してくれる。

「普通の人狼ゲームやったら毎ターン夜に人狼が市民チームを一人ずつ殺してくんさ。占い師も毎ターン占えるし。やから人間は必死で人狼を探そうとする。ワンナイトは短い時間で遊べるようにしただけやからその辺の設定は変わらんとおもうよ?」

「…ふむ、殺されるかもしれないならなりふりかまってられないかもですね」

「優しいんですね」

皆藤先輩が笑っている。

「いや、僕結構犬好きなんですよ。だから犬科の動物はなんか贔屓しちゃうんですよね」

「じゃあ新人君の彼女はMの人かー」

「なるほどな〜。そういう趣味の人かー」

大神先輩、市宮先輩がニヤつきながら言う。全くこの人たちは。

「え、どう言う意味ですか?イニシャル…?」

「いや、僕もさっぱりなんで皆藤先輩は知らなくていいと思いますよ」

やめろよ!皆藤先輩は純粋なんだから!

「続ける。次が怪盗のターン。怪盗は誰かのカード1枚と自分のカードを入れ換えれる。まんなかの2枚はダメ。それとこの時カードを確認しなきゃダメ。あと見たら変更出来ない」

民倉先輩のスルースキルすごいな。

「…えっと、換えるだけですか?それじゃあ劣化占い師って感じじゃないですか?」

「ちょっと違う。怪盗は換えたカードの役職になっちゃう」

「え、つまり人狼と換えたら人狼になる…?」

「そうだよー。人狼と換えたら人狼に、占い師と換えたら占い師に、てるてる坊主と換えたらてるてる坊主に。その時換えられた人狼は怪盗になる。人間チームになるんだよ。まあそれに気づくのは難しいけどね。てるてる坊主も一緒。まあ占い師か市民と換えた時は君の言う通り劣化占い師みたいなもんかな」

大神先輩が補足する。

「なるほど。怪盗も奥が深いですね。あとは市民とてるてる坊主ですね」

民倉先輩は3枚の市民のカードを手にとって言う。

「この人たちははただの人。なにも出来ない。だから市民のターンもない。考えるだけ」

「考えるだけ、ですか?」

「はい。でも私なんかは市民が一番好きなんですよ。他の役職はどうしても嘘をつくシーンがあるでしょう?私嘘が下手だから考えるだけの方が気が楽なんです」

実に皆藤先輩らしい理由だ。

「みゆちゃんは人狼てるてるの勝率低いもんなー。」

「大丈夫。みゆちゃんは市民の時すごい」

「確かにみゆきんが市民の時自分が人狼だったりしたらもう怖くて動けないよねー」

「そ、そんなことありませんよ!」

先輩達、すごく楽しそうだな。なんか微笑ましい。

「じゃあ最後。てるてる坊主。この子はちょっと特殊。てるてる坊主のターンも無い」

「特殊、ですか。」

「問題。人狼は人狼チーム。市民、怪盗、占い師は人間チーム。じゃあてるてる坊主はどっち」

民倉先輩が楽しそうに聞いてくる。本当に生き生きしてるな。

「えーっとじゃあ人間チームが多いので人狼チーム!」

「ブブー」

『ブブー』って!あの民倉先輩が『ブブー』って!かわいいなあおい!

「え、じゃあまた人間チームなんですか?多勢に無勢じゃないですか?」

「それもブブーやな」

「え、じゃあ…」

「正解は、てるてる坊主チーム。第三勢力」

なんかずるい。聞き方がずるい。

「そして一番特殊なところ。やっつけられたら勝ち」

「つまり怪しまれて殺されたら勝ちってことですか?」

「そういうことです。他の役職は自分が殺されることがほとんどイコールで負けでしょう?でもてるてる坊主は違います。いかに怪しまれて殺されるのかが問われます。1番難しいと言っても過言ではないと思いますよ」

あれ、そういえばなんとなく人狼を倒すゲームなのはわかったけど正確な勝利条件を知らない。

「民倉先輩、人間チームと人狼チームはどうすれば勝ちなんですか?」

「あ。言い忘れてた。ゴメン。人間チームは人狼を一人でも倒しててるてる坊主を倒さなければ勝ち。人狼チームは一人も倒されずてるてる坊主も倒されなかったら勝ち」

「てるてる坊主は難しい分殺されたらなにがあっても勝ちってことだねー」

「なるほど…。」

「最後に流れの確認するとですね。最初にカードを配って役職を確認。余りの二枚を中心にカードを自分の前に伏せて目を瞑ります。私たちの内の一人がなにのターンなのかを宣言してカウントダウンするのでその間に行動してください。この時に誰が動いてるか音でわかる時があるので片手で机を叩きながらです。最初は占い師のターン、次が人狼、そして怪盗です。怪盗のターンが終わればあとは話し合いの時間、制限時間は5分です。この5分の後せーので誰を殺すのかを指差します。あらかじめ誰が誰を指すのかを話し合っておいても構いません」

「長ゼリフお疲れさーん」

大神先輩が言うと同時に部室の戸が開いた。

「はるかちゃんいるー?」

あ、この子…。

「あ、しょうちゃん来たねー。今からこの人たちとワンナイト人狼だからー」

「1年8組天野照子です。よろしくお願いしまーす」

やっぱりそうだ。うちのクラスのクラス委員の天野さんだ。

「2年2組の皆藤深雪です。よろしくお願いします」

「みゆきんは私と同じクラスなんだよー。また遊びにおいでねー」

「2年8組の市宮恵でーす。よろしくなー」

「めぐみんは関西弁じゃなくて伊勢弁なんだってー。まあどうでもいいけどねー」

大神先輩何気に酷いな…。

「2年5組。民倉薫。よろしく」

「かおるんは人狼ゲームの時以外は無口さんだからー」

次は僕かな、と思っていると天野さんが言った。

「あれ?君は同じクラスの…」

「あ、覚えててくれたんだ」

「うん、まあクラス委員だしね」

「あ、二人は知り合いさんかー。じゃあもう始めちゃいましょうかー。さあ座って座ってー」

皆藤先輩が慣れた手つきでカードを配り、余った2枚をまんなかに置いた。そしてみんなそれぞれ自分のカードを確認する。

僕のカードはいきなり最難関モード。

てるてる坊主だった。


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