第6話 勇者まゆみ外伝
はじめまして、わたし、まゆみ20歳、女子大生。
ちびでぽっちゃりでパッとしない顔立ちなので、いわゆる喪女と呼ばれる存在でしたが、あまり気にせず優雅なオタク生活を満喫してました。
その日も新作の乙女ゲーのお気に入りのキャラを徹夜覚悟でクリアーし、エンディングを見たところで、眠くなり意識が途切れたはずでした。
目が覚めると、真っ青な空が広がっていました。
最初は夢かと思ったのですが、さわやかな風、草花の匂い、照りつける太陽の日差し、どれもとてもリアルであり、これが夢ではないと語りかけていました。
ふと、起き上がると、目の前に読んでくださいと言わんばかりな感じに分厚い本と、手紙が置いてありました。
手紙にはこう書いてありました。
「佐々木 まゆみさんへ
こんにちは、女神です。
今、私は魔王に封印され動けない状況にあります。
この状態が長く続くといずれこの世界は滅んでしまうかもしれません。
そこで、誠に勝手ながら勇者の資格のある佐々木さんをこの世界へ呼ばせていただきました。
元の世界へもどる方法は私しか知らないので、元の世界へ戻りたいのであれば、魔王を倒し私を助けて下さい。
魔王を倒すためにチートスキルを用意しましたのでご活用ください
『メニューオープン』と念じるとメニューを開くことができるので、そこから確認して下さい。
当面の旅で必要な物は異次元ポシェットに入れておきましたのでご確認ください。
その他、冒険者に関する知識や、勇者の剣のありかなど冒険に必要な知識は、女神公式ガ イドブックにまとめておきました。
それでは、異世界生活お楽しみください
」
どうやら、私は異世界へ拉致られたらしい。
女神いわく、万全のサポートしてあげるから魔王を倒して来いということらしいが、どう考えても無茶ぶりである。
しかし、こう嘆いていても仕方がない。
来月発売の期待の新作ゲーム(乙女ゲー)をやるためにもとっとと魔王を倒してしまおう。
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チートスキルがあるんだし、異世界トリップなんて余裕だろう。
そう思ってた時期が私にもありました。
しかし、正直きついです
チートスキル『勇者の証』で私の能力は10倍になっているようですが、引きこもり女子の能力が10倍になったところで、この世界の冒険者の駆け出し程度にしかならないようです。
また、もう一つのチートスキル『マスターシーフ』は1日1回相手から必ず盗むことができるというものですが、正直使い勝手が悪いです。
冒険者としてのレベルが上がり、ドラゴンとかと戦えるようになれば、強い敵からレアドロップを必ずゲットできるとかそういうことが期待できそうですが、ゴブリンやコボルトに使ってもボロい獣の皮とかが盗めるだけなので、意味無いです。
普通に他の人からお金や物を盗めばいいじゃないと思うかもしれませんが、平和な日本に住んでいた女子大生が、そんな犯罪まがいなことはできません。
第一、女神さんの用意してくれたポシェットにはお金もたんまり入っていたので、金銭面での心配は今のところ無いので盗んでもしょうがないのです。
人見知りでPTを組む勇気もない私は、初心者向けのゴブリンやコボルト相手に地道に戦ってレベル上げをすることにしたのでした。
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ある日、前日にレベルが上がってたので、私は少し森の奥のほうまで足を伸ばして見ることにしました。
すると、目の前に突如真っ黒で大きな体の熊が現れました。
動物園やテレビで熊は何度も見たことがあったのですが、それと比べても明らかに大きく、3mを超えているように思えました。
その時、私は本能的に死を覚悟しました。
恐怖のあまり手に力が入らず剣をふるうこともできず、足はまともに立っているのがやっとという感じでした。
(お母さん、お父さん、親孝行するまえに死んじゃってごめんなさい。)
そして、熊は私に近づき、私の体を引き裂かんとばかりに、前足を振りかざしてきました。
次の瞬間、真っ赤な血しぶきが私の視界をうめつくしました。
しかし、その血は私の血ではなく熊の血でした。
「おい、そこの女、大丈夫か?」
ふと見ると、前のめりに倒れている熊の後ろから、銀髪・長髪のけもの耳のイケメンが現れました。
狼のような雰囲気を醸し出したその青年は、腰を抜かし座り込んでいる私に手を差し伸べてきました。
私は、ゲームの中から出てきたようなそのイケメンに目が釘付けになってしまっていました。
「は、はい。大丈夫です。ありがとうございます」
「では、俺は行くぞ」
そのイケメンはそのまま何処かへいってしまおうとしてましたが、乙女ゲー時代、獣耳が好物だった私としてはこんなチャンスを逃すわけにはいきません。
勇気をふりしぼり、
「待ってください、こんな森のなかで残されても、また襲われてしまうかもしれません。それに助けてもらったお礼もまだです。村まで連れて行ってもらえませんか?よければ、そこで夕飯や宿代はおごりますので。。。」
「ふん、わかったよ」
めんどそうな雰囲気でしたが、イケメンさんはついてきてくれるようでした。
村へもどってから、約束通り夕飯をおごることになりました。
元々私はお酒は飲まない方でしたが、人見知りな私が勇気を出してイケメンさんと話すためにもアルコールの力を借りることにしました。
お酒の力を借り、話は盛り上がりイケメンさんのことも色々と聞くことが出来ました。
イケメンさんの名前は「シン」というそうで、狼獣人族一番の剣士だそうです。
今は部族の中で戦う相手がいなくなったので世界を旅して武者修行をしているところみたいです。
また、私のこともシンに色々と話してしまいました。
私が異世界からきたことや勇者なことはこの世界の人には誰にも話していなかったのですが、相手がイケメンなこともあり、ついつい口が軽くなりしゃべってしまいました。
シンは親身に話を聞いてくださり、同情し、そして、よくがんばってきたねと、褒めてくれました。
その後、宿に戻り部屋で寝ようとしていたのですが、別室にいたはずのシンがノックをし入ってきました。
「まゆみ、お前のことが心配なんだ、一緒に寝てもいいか?」
私はコクリと首を縦に振りました。
どうやら、私は自分でも気づかないうちにフラグの構築に成功していたようでした。
その夜、私は彼と激しい夜をすごしました。
翌朝、目が覚めると、そこにはシンの寝顔がありました。
その獣人族らしくたくましい体つきからは力強さが感じられました。
私はその力強い彼に愛おしさを感じると同時にこう思いました。
「ああ、彼の力強さが羨ましい。」
私はいつも非力でした。
チビでぽっちゃりで見た目がいいわけでもなく、だからといって、頭や運動神経が良いわけでもなく、私には何もありませんでした。
こんな私が勇者なんてデキるわけがないのです。
彼みたいに強ければ魔物の討伐も、魔王討伐も楽にできるのに。
ああ、彼の強さの全てが羨ましく、妬ましい。
私は、そんな卑屈なことを思ってしまったのでした。
次の瞬間、彼の胸に当てていた右手は彼の中にズボボッと入り込んでいき、気づくと、彼の中の何か温かい水晶球のようなものをにぎっていました。
私には何が起こったかわかりませんでしたが、しかし、今自分の手が握りしめているものは彼の大事なものなのだということはわかりました。
この握りしめているものを抜き取ってしまうことは、彼は彼で無くなってしまうことであり、いけないことでありと直感していました。
しかし、私はこの握りしめているものを私自身のものにしたいと思いを止めることは出来ず、私は彼の中からその温かいものを抜き取り、私の中へと押し込んだのでした。
次の瞬間、私は全身が熱く火照り、力がみなぎっていく感じました。
また、体の骨が急成長し、手足が伸び、私という存在が大きくなるのを感じました。
体の火照りが収まりふと起き上がり鏡を見るとそこにはモデル体型の女性が立っていました。
顔立ちには面影が残っているので私自身だとわかりましたが、まるで別人のようになっていました。
ベッドへもどると、そこには銀髪の獣耳の小学生くらいの男の子が混乱した様子で座ってました。
その手足はひ弱で細くまるで女の子のようであり、昨晩までの力強いシンとは似ても似つかない様子でした
どうやらシンも私がまゆみであることに気づいたようで、何が起きたのか聞いてきました。
私は、正直にシンの力を奪ってしまったことを話しました。
彼は元に戻せと私に詰め寄ってきましたが、私が戻す方法がわからないというと呆然とし子供のように泣き出してしまいました。
今まで強くなることだけを考え、力を全てだと思って生きてきた彼にとって、その強さを失うということは彼にとって耐え難いことだったのでしょう。
そんな彼に対し、本来なら私は後悔や自責の念を感じるべきだったのでしょうが、私が感じたのは愛おしさでした。
無力で非力で子供のようになってしまった彼のことが可愛くて可愛くてしかたなく、力強くかっこよかった頃の彼よりも一層いとおしく思えたのでした。
私は彼のことをギュッと抱きしめ、「泣かないで、大丈夫だよ」と母親が子供をあやすかのように慰めるのでした。
それから、数週間、私達は旅を続け冒険者家業をしています。
彼には戦う力は残っていなかったので、今では私が彼のことを守ってあげています。
彼は自分で自分のことを守ることすら出来ない状況を悔しく思っている様子はありましたが、今では家事・雑用など、できることを色々と手伝ってくれています。
また、あの一件で私は彼の大事なものを奪ってしまったので嫌われてしまったと思ってました。
実際、あの後二三日はほとんど喋ってくれませんでしたが、数日後、心の整理がついたのか、こう告白してくれました。
「ボクの大事なものを奪いとったのは許せないことだと思うけど、でも、失ってわかったこともあるんだ。ボクはまゆみのことを守ってあげたい人として好きなだけかと思ってたけど、そうじゃなかったんだ。ボクは今でもまゆみのことが好きだ。今は非力で何も出来ないボクだけど、これからも一緒でいていいかな」
かわいい獣耳ショタっ子のそんな可愛い告白に私はリドビーをおさえきれず、思わず彼をベッドへ押し倒してしまうのでした。
初夜とは立場が逆転した形で、私は彼のことを一晩中かわいがってあげたのでした。
というわけで、彼との関係は今も順調です。
能力については、あの後わかってきたことがありました。
どうやら、私のスキル『マスターシーフ』は他の人のなんでも盗めるようです。
私は彼の力強さ全部を盗んでしまいましたが、他にも他人やモンスターのスキルや、顔や体のパーツなど、様々なものを盗めるようです。
また、盗んだものはいつでも元の持ち主に返せるようですが、彼には内緒にしておこうと思います。
最初の頃は力がなくなって絶望していましたが、今で毎日楽しそうですしね。
これがわかってから、私はモンスターや時には他の人からスキルなどを奪い取り、チート三昧の毎日を送っています。
ちなみに、目や鼻などの顔などのパーツの特徴を奪い取るのも可能だったので、プチ整形気分で色々といじってみました。
おかげで、いまいちだった私の顔は目や鼻がはっきりとしたモデル体型にふさわしい顔になりました。
ちなみに、最近の目標は理想の胸をゲットすることです。
シンの強さをもらったときに体型もモデルような体型になったのですが、胸はスレンダーなままでした。
スレンダーなままでもいいのですが、ふくよかなおっぱいのほうがシンを可愛がるのにも楽しそうなので、理想な巨乳な人を見かけたらその人のおっぱいをもらおうと考えています。
さて、次の街が見えてきました。
私の理想のおっぱいの持ち主がいるといいですね♪