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第3話

 ナターシャが仲間になってから3日後、ようやく俺のレベルが10になった。

 前回がLv5で『スワップースキルLv1』を習得したので、今回もなにか習得できないかと期待していたのだが、予想的中で『スワップ-パラメータLv1』というスキルを覚えた。

これは、自分と相手のパラメータ(MPや力など)のうち1つを交換してしまうというものらしい。


 今回のスキルは今までの特技と違い、交換しても3分で元のパラメータに戻ってしまうらしいし、使うためには相手と接触していなければいけないなど、制約も多いようだ。

 しかし、それ以上に戦闘においては役立つスキルだと思った。


 例えば、HPは低いが守備力が高くて攻撃が通用しない相手でも、俺の守備力と相手の守備力を交換してしまえば一発で倒せてしまうかもしれない。

 これは、やっと俺が戦闘で役立つチャンスが来たようだ。


「というわけで、俺が新しく覚えたスキルは戦闘にも使えそうなんだが、どんなダンジョンだと使えると思うか?」


「私は、あまり強いダンジョンで使うのは反対ですわね。いくらさわった瞬間にパラメータを交換できるといっても、触る前に攻撃されるリスクもありますし危険ですわ」


「たしかにそうだな、いくらナターシャのヒールがあるといっても一撃でやられる可能性もあるしな」


「でしたら、ゴーレム狩りはどうでしょうか」


「ゴーレム狩り?」


「以前、あたしが傭兵で入ったPTで1度行ったことがあるのですが、北ブロックにある岩のダンジョンにはゴーレムなど鉱石系のモンスターしか現れないのです」


「そのダンジョンのことでしたら、私も噂では聞いたことありますわ。なんでも固いゴーレムばかりでてめんどくさくて割にあわないとの話でしたが…」


「ええ、そうですね。あたしが行った時も鉄ゴーレムや岩ゴーレムの相手をしましたが、魔法も打撃もなかなか聞かずに苦労しましたわ」


「で、そのPTはどうやって戦ったんだ?」


「そのPTは状態異常系に強い魔法使いがいたので、ゴーレム同士を混乱させて相打ち試用としたのですが、ゴーレムには混乱も幻惑も催眠も聞かなかったので、必死に逃げ帰ったという感じですね。」


「なるほど、話を聞く限り普通に戦うと厄介そうだが俺の能力を使えば戦えそうだ。ただ、問題はゴーレムとなると攻撃も強いイメージなのだが、そこの危険は大丈夫なのか?」


「はい、それは大丈夫だと思います。あたしが戦った時のゴーレムも移動速度は遅く行動も単純でした。ただ、仲間を呼ぶ習性もあるので、1匹を倒すのに時間が狩りすぎると危険とされていますが、ご主人様の能力であればすぐに倒せると思いますので大丈夫だと思います。」


「よし、じゃあ明日はその岩のダンジョンに向かうとしよう。今日はまだ時間はあるがダンジョンには潜らずに明日に向けての情報収集などを行う感じだな」


「「はい、ご主人様」」


明日からは本格的に戦闘に参加できるかと思うと、ワクワクしてきた。


 そして、来る翌日、俺達は岩のダンジョンへやって来た。

 そして、ゴーレムなどを倒しまくった(笑)

 せっかくなので、俺の初バトルについてダイナミックかつ緻密に描写しようかとも思ったのだが、実際には気合入れて描写するほどのバトルにならなかった。

 具体的にどういう戦闘かというと、


   1.通路を歩いているゴーレムを見つける

   2.こちらから攻撃しなければ攻撃されないので、俺が近づいてタッチしスキル『スワップ-パラメータLv1』を発動する

   3.パラメータを交換されたと気付かずにやわらかくなったゴーレムをエリザベスが一刀両断する


 以上である。

 『スワップ-パラメータLv1』を発動しても気づかないのもそうだが、エリザベスが斬りかかろうとしても、実際に剣が当たるまで攻撃としてみなさないのもどうかしてると思う。

 守備力が高いので「初見の攻撃はまず見る」精神で今までは済んでいたのかもしれないが、俺達からするとカモすぎである。

 楽すぎてあっけにとられつつも、俺達はゴーレムをさくさくと狩っていった。


 本来高レベルなモンスターであるので、俺のレベルも順調に上がり、また、ドロップアイテムとしてマジックストーンも手に入った。


 レベルも上がり、ドロップアイテムもたんまり稼げ大満足の俺達であったが、ひとつ問題が生じた。

 これまではドロップアイテムが出た場合には商人ギルドの冒険者向けの窓口にて販売していたのだが、倒すのが難しいゴーレムのドロップアイテムをこれだけ売りに出すというのは目をつけられる可能性がある。

 今後、岩のダンジョンへ入り浸る予定なのでどのうち話題になるとは思うが、レベルが低い今の段階で目をつけられるのはなるべく避けたいところだ。


「うーん、このマジックストーンはどうしたものかな」


「それでしたら、あたしの知り合いのマジックアイテム職人と話を持ちかけてみてもいいですか?」


「マジックアイテム職人?」


「ええ、魔法使い用の杖や属性のついた防具などを作る職人ですね。あたしの古くからの知り合いがこの街で職人をやっているので、彼女ならマジックストーンを秘密裏に引き取ってくれるかもしれません」


「その彼女は口は固いのか?」


「はい、大丈夫です。幼なじみで今でも飲み仲間です。彼女の弱みも知っていますので、もし言うことを聞かなければ脅迫して従わせることも出来ますし、万が一の時はあたしが口封じします。」


「いや、そこまでしなくてもいいからな、幼なじみは大切にしような」


「お優しいのですね、ご主人様」


いやいや、正直ナターシャの忠誠心が半端ないだけです。ほら、隣のエリザベスだって若干引いてますよ。


「まあ、まずはそのマジックアイテム職人の子に会ってみようか」




「はい、ここです」


 ナターシャに連れられて、ついたのは入り組んだ裏路地の先にある一件の店だった。

 いや、そもそも店と言われたから店に見えているが店だと言われなければ店だとも気づかないだろう。


「なあ、ナターシャ。その子はこんなところでお店を開いてて本当に大丈夫なのか?」


「大丈夫というわけではありませんが、表通りで店を開こうとすると大手から嫌がらせを受けて面倒なので、ここで開いていらしいです。とはいえ、彼女は腕もいいらしく常連の魔法使いの人も多いそうなので客には困っていないみたいですけどね。」


「へえ、それは色々とすごいな。」


ナターシャはコンコンとノックすると、


「おーい、ベベお客さん連れてきたぞ~」


「お~、ナーちゃんじゃない、入って入って~」


「おじゃましまーす」


「あれ、ナーちゃん、なんか雰囲気変わった?なんか前より柔らかくなったというか。」


「それは、さ。ご主人様を見つけたからさ。紹介するね、この方があたしのご主人様のセイヤ様ね。ご主人様に粗相したら、ベベだって許さないんだからね」


「へ~、じゃあナーちゃんが奴隷になったって噂って本当だったんだ」


「そうよ、あたしはあたしの意志でご主人様の愛奴隷になったわ」


「そっか。ドSヒーラーの道に目覚めた時もびっくりしたけど、今回はそれ以上かな~。まさか自ら望んで奴隷になっちゃうなんて、私だったら絶対に考えられないもん」


「んふふ、そうね、ベベならというか、普通ならそうよね。でも私にとってはこれしかないって選択肢だったのよね。」


「ナーちゃん今幸せ?」


「うん」


「それじゃあ、よし。セイヤさん、ナーちゃんのことよろしくお願いしますね。」


「うん、もちろん大事にするよ。」


「では、世間話はこれくらいにしてビジネスの話に入ろっうか。セイヤさんはどんなマジックアイテムの購入目的で来た感じなのかしら?」


「いや、俺は購入の方じゃなくて、売却の方だな。まずはこれを見てくれ。」


「ほおほお、これはこれは、上等なマジックストーンじゃない。傷も殆ど無いしこんな上

物なかなかお目にかかれないわよ」


「実はこれと同じものが20個ほど在庫がある」


「ええ!?マジで!?」


「ああ、マジだ。ただ、盗品とかまずいルートのものではないのだが、ちょっと裏技的な方法で入手しているんで、すぐに目をつけられるのはまずいんだ」


「すぐに目をつけられるのはまずいっていうのは、そのうちバレるのは覚悟してるってこと?」


「ああ、今はまだレベルが低いがレベルが高くなればある程度の言い訳はつくだろうし、そこまでの時間稼ぎをしておきたいってことだな。」


「りょーかい、じゃあ、当面は信用のできる客にだけ商品を流すってことだね。20個くらいならそれでも大丈夫だろ。」


「いいのか?20個も信用のできる客にだけ売るって大変そうに聞こえるが。」


「大丈夫さ。元々こんな裏路地にまで来てくれる客だ。信用のある客ばかりだよ。普通のマジックストーンより上等だから買う奴は限られるだろうが、なんとかなるだろう。」


「じゃあ、この20個お願いするよ」


「毎度あり」


 そう言って、俺はアイテムボックスからマジックストーンを取り出し、ベベへ渡した。

 ベベも品質をチェックし、満足したのか店の裏の金庫からお金を取り出し、持ってきた。


「はいよ、これがマジックストーン20個分の代金になるよ」


「え、こんなにもらっても大丈夫なのか?」


「いいって、いいって。こんな上物のマジックストーンなかなか使える機会無いのに、それを20個だもん、こんくらいは渡さなきゃ失礼になるよ。」


「じゃあ、ありがたく頂いておこうかな。」


「それとさ、あと初回サービスとナーちゃんのご主人様特典ってことで1個あんたにマジックアイテム作ってやるよ。どんなのがいいかい?」


「どんなのと言われてもな。そうだな、俺弱いからさ、俺用の装備よりもベスが使える武器のほうがいいかもな」


「ほぉ。ベスってアンタのことかい?」


「はい、私がベスですわ。確かに私なら魔法も使うので魔法発動用のアイテムがあれば活用できるとは思いますが、ご主人様はそれでよろしいのでして?」


「うん、いいよ。どうせ攻撃役はベスに任せちゃうことが多いしね。」


「ちなみに、今は魔法発動にはその指輪を使っているのかい」


「ええ、そうですわ。ただ、最近炎魔法のレベルが6に上ってしまいそろそろこの指輪では厳しそうだと感じていたところですわ。」


「たしかにそうだね~。その指輪のサイズだといいとこレベル4魔法のフルパワーまでってとこだね。レベル5の魔法もフルパワーでは使えてないはずだよ。このまま無理して使い続けてたら壊れちゃうだろうし、新たに作ったほうが良さそうだね。」


「じゃあ、作ってもらうマジックアイテムはベスのマジックアイテムってことでお願いするよ」


「おぅ、任せときな」


 エリザベス用のマジックアイテムとしてどんなものを作るかを話し合った後、作るのには一週間ほどかかるとのことだった。


 そして、1週間、俺達はひたすらにゴーレム狩りをしていた。

 狩りというには一方的であったが俺のレベルもサクサク上がり、18にまで上がっていた。

 ちなみに、Lv15になった時には新たに『スワップ-ポジションLv2』を習得した。

 『スワップ-ポジションLv1』と比べ、適用できる人の範囲や交換できる社会的地位などがパワーアップしたようだ。

 また、これにより戻そうと思えば俺とエリザベスの社会的地位を戻すこともできるのだが、俺にとって戻すメリットも少ないので、そのままにしている。


 マジックストーンも大量に手に入り正確な数は分からないが200は超えていると思う。

 次に行く時にまた仕入れると言ってくれていたものの、さすがにこの数は無理だろう。

 そんなことを思いつつベベさんの店へ向かうとそこには荒れ果てた店の姿があった。


「おーい、ベベまたやられたんかい?」


「ああ、そうだな~。てっきり客にだけ念を押しておけば大丈夫だと思ってたんだが、あいつら、ここの通りを通る奴ら全員をチェックしていたらしく、あたしが上級マジックアイテムを作り始めたことに気づきやがったんだよね。買い出しに出て帰ってきたらこのザマさ」


「おい、衛兵は呼んだのか?」


「衛兵?あいつらが来ることはないよ。盗難ならともかく破壊行為なら証拠も出ないだろうし、衛兵の中にはやつらの息のかかったのもいいから、どこかの段階で操作は潰されるだろうね」


「そうなのか…」


「まあ、そんなに落ち込むな、お前さんたちへのプレゼントはあたしが持ち歩いてたから、無事だよ。ほら、持ってきな」


 そう言うとベベはエリザベスへと指輪を放り投げた。


「というわけで、材料も商品も無いし、当分店は閉じさせてもらうよ」


「いや、そういう訳にはいかない、材料ならここにあるしな。」


 そう言い、俺はアイテムボックスからありったけのマジックストーンを取り出した


「こんだけあれば足りるだろう」


「おいおい、どんだけ悪い事したらこんなに大量のマジックストーン1周間で稼げるんだよ。とはいえ、ダメだ、どうせまた店を開いたってあいつらにまた狙われるだけだ。」


「そっちに関しては今から何とかするさ。」


「なるほどね、これがナーちゃんの惚れたご主人様ってやつか。」


「ああ、あたしのご主人様は最高だろ?」


「間違いないな」


「ベス、ナターシャ行くぞ、ナターシャは例の店まで案内してくれ」


「了解です、ご主人様」




 ナターシャに案内され、俺達はベベの店を襲撃した黒幕の商会までやって来た。

 一見するとただの活気のあるマジックアイテム屋にしか見えないのだが、裏では個人経営のマジックアイテム屋を潰す活動をしてることで有名で、ベベ以外にも何十件もの店が潰されてきたらしい。


 俺達は黒幕である商会の会長に会うため、裏口からまわって商会の建物の中へと侵入した。

 そのまま建物に侵入したのでは怪しまれるので、裏口付近にいた店員を3人ほど無効化し、3人の【店員】という社会的地位を俺たちの【冒険者】とかの社会的地位と一時的に交換させてもらい中へと侵入させてもらった。


 そして、商会の会長室に入った瞬間、俺は社会的立場を元の立場にもどし、会長と対面した。

 会長はいかにも悪い商人といった感じの太った老人であり、急に部屋の中に現れた不審者に動揺を隠せないようであった。


「やあ、こんにちわ、会長さん」


「き、貴様ら一体どうやってここまできたというのだ。ははん、さっき部下入ってきたような気がしたのにいないということは、部下に見せかける暗示の魔法で入ってきたというわけか。」


「まあ、そんなところかな。」


「目的は報復といったところかな。何件も店を潰してきたからのぉ、まあそれくらいは覚悟しておる。だが、やめといたほうがいいぞ、小僧。たしかにひ弱なわしを殺すくらいはできるかもしれんが、わしを殺すということは、そのバックに商会連合を敵に回すということじゃ。死ぬよりつらい目に合うかもしれんぞ。」


「何を勘違いしているかは知らないが、俺は報復しにきたんじゃなく、面倒事を取り除くためにきただけだ。お前を殺すなんてことも言ってないぞ。」


「じゃあ、貴様、一体何をしようというんだ」


「そうだな~」


 そう言って、俺は会長の側に横たわる女性たちのところへ行った。

 その女性たちはとても商人やその見習いには見えず、性奴隷か娼婦にしか見えなかった。

 鑑定してみると、案の定ほとんどの女性の社会的地位は【女性】【丁稚(ほぼ性奴隷)】となっていた。


「ふむ、なるほど、丁稚として見た目麗しい女性も手元に置き、性のハケ口にしていたわけか」


「それの何が悪い、お前さんだって奴隷を雇ってるんだろ。」


「ああ、別に悪いとは言ってないさ。ただこのまま丁稚もどきの性奴隷にしておくのはもったいない人材もいたんでな。こいつに会長座を譲ってやってもらおうと思ってなっと。」


 俺は丁稚の中でもひときわ『商才』スキルの高いやつの腕をつかみ、反対の手で会長の腕を握り、『スワップ-ポジションLv2』を発動させた。

 その瞬間部屋は真っ白なひかりで包まれ、視界が戻ると、先ほどまで女性がいた地べたには太った老人が裸同然で座っていて、会長用の豪華なイスにはさっきまでみすぼらしい服装をさせられていた女性が中性貴族が着るような立派な服を着て座っていた。


 2人共、自分の身に何が起きたのかわからないようで、混乱している様子であった。


「~~~~」

 元会長の老人は床に這いつくばりながら必死に何かを言おうとしていたが、丁稚はこの部屋では黙るように指示されているのか声に出来ずにいた。


「え、わ、わたしなんで会長様のイスに座っちゃってるの。あれ、うそ、わたしなんで自由にしゃべれてるの。」


「俺が2人の社会的な立場を交換したからさ。今そこの床に座ってる元会長は性奴隷もどきの丁稚に、そして、お嬢さんアンタが会長になったわけさ。言っとくけど、この効果は全世界の人たちに影響してるから、店員も、バックの商会連合のやつらもみんなあんたのことを会長と認識してくれるはずだぜ。」


「え、でもわたし、会長の仕事なんて出来ないですよ」


「それも大丈夫だ。社会的な立場を交換した時に、その立場に必要な知識も思い出せるようになってるはずだから、問題ないだろう。」


「え、あ本当だ…。でも、わ、わたしなんかが本当に会長になっていいんでしょうか。もっと向いている人がいるんじゃないでしょうか…。」


「そんなことないさ、俺がスキルをのぞいたところ、元会長も含めこの中ではあんたが一番『商才』スキルが高かった。だから、自身を持ちな。」


「…は、はい!がんばります!」


「よし、良い返事だ。ところで、新会長さんに質問なんだがあんたはこの商会をどうしたいと思う?」


「わ、わたしは…。わたしはもっと正々堂々戦う商会にしたいと思います。商売の世界、みんなで争えば誰かが勝って誰かが負け、その結果お店が潰れてしまうのはしょうがないと思います。ただ、前の会長さんんみたいに商売以外の方法で他の店を攻撃したりして、それで勝つのは卑怯者だと思うんです。私はこの商会の卑怯なところを無くしていきたいと思います。」


「そっか、お前ならできると思うよ。」


「ありがとうございます」


「ところでさ、実は知り合いの店が最近謎の組織の襲撃にあって困ってるんだわ。」


「そうですわね、そういった”不幸な事件”に巻き込まれたお店にはお見舞いくらいはさせて頂く予定ですわ」


「ああ、頼むよ。それじゃあ面倒事も片付いたようだし、俺は帰るよ」


そう言って、俺達は宿へと戻ることにした。


後日談になるが、ベベの店に行ってみると、そこには出来たて同然のピカピカの店があった。


「なあ、あんた一体あの後何やってきたんだよ。あの後、店の壊れたものとか整理してたらさ、急に商会の会長がやってきてさ、急なご不幸お見舞い申し上げますとか言ってきたんだよね。最初はバカにしにきたのかと思ったんだが、お見舞金っていって壊れた分の商品を弁償してくれたり、店の壊れたとことか直してくれたりしてさ。何がなんだかわかんなかったよ。あたしにはあの会長さんが裏ではあたしの店を潰そうとしてたなんて思えなかったよ。

もしかして、あんたの仕業かい?催眠術で会長を改心させたんだか、あたしら全員の記憶をすり替えて別人を会長に仕立てあげたんだか知らないが、よくやるよ。さすがナーちゃんの惚れたご主人様だ。まあ、そういうわけであたしの店も無事に今日から再開ってわけだ。よろしくな!」


「ああ、こちらこそな」

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