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第2話

 エリザベスの主人になってから1周間がたった。

 俺のレベルも順調に上がり今ではLv8である。

 Lv5になった時に新たなスキルも覚えた。

 『スワップ-スキルLv1』である。

 その名の通り、スキルを交換するスキルであり、かなりチート臭い能力である。

 しかしながら、まだLv1だからか使い勝手は悪い。

 まず、対象範囲がPT内だけなので、俺とエリザベスしか対象にできないのである。

 また、試しに俺の【算術スキル】とエリザベスの【炎魔法】のスキルを交換してみたのだが、MPが10ちょいしか無い俺には、野球玉程度のファイアーボールを1個のが限界だった。

 例外もあるようだが、スキルはMPを使用するものが多いので俺が使えるスキルが増えてもあまり意味が無いようだ。


 ちなみに、エリザベスに【算術スキル】と【炎魔法】を交換したことを教えた時のことだが、実際に【炎魔法】が使えなくなったことを知るやいなや、


 「ご主人様、どうかお願いします。炎魔法が使えなかったら、わたし、わたしご主人様のお役に立てません。どうか、捨てないでください、お願いします」


 と、泣きながら懇願してきた。俺としても戦力半減になるようなことはするつもりではなかったので、すぐに元に戻したのだが、その後、エリザベスをなだめるのに苦労した。

 どうやら、炎魔法は小さい頃から習ってきた心の支えであり、それが無くなってしまい動揺したとのことである。


 そういえば、エリザベスもこの1周間でだいぶ変わった。

 レベルはもともと高かったので変わっていないのだが、だいぶ奴隷精神が身についてきたようである。

 アメとムチ特にアメの成果は大きく、ご褒美(髪をなでなで)のためならなんでもやるようになってくれた。

 今では、奴隷首輪のボタンを使わずになでなでしても気持ちよさそうにウットリしている。

 また、3日前からは夜のアメとムチも実行中である。

 ナニがどうとか具体的なことは言わないが、初日のツンキャラが嘘かのようなデレっぷりである。

 元々、家族を失い一人で気を張って生きていたので、こうやって気を許せる相手がいなかった反動もあるのだろう。


 ちなみに、俺とエリザベスの今のステータスは↓のようになっている


=========================

名前:セイヤ

==========社会的地位==========

 【男性】,【Cランク冒険者】,【外国人】,(【異世界人】)

========== ステータス =========

性別:男性

年齢:20才

種族:人間

Lv:8

========== パラメータ =========

HP:67

MP:12

力 :37

防御:47

魔力:12

回避:47

※20才男性平均を100とする

=========== スキル ==========

算術Lv2, 盾護身術Lv1, 剣護身術Lv1

========== 隠しスキル =========

異世界自動翻訳LvMax

経験値アップLv5(経験値10倍)

閲覧Lv2

スワップ-ポジションLv1

スワップ-スキルLv1

調教Lv5

注釈LvMax

ドS Lv5

=========================


=========================

名前:エリザベス

==========社会的地位==========

 【女性】,【奴隷】,【没落貴族】

========== ステータス =========

性別:女性

年齢:16才

種族:人間

Lv:32

========== パラメータ =========

HP:342

MP:180

力 :280

防御:260

魔力:294

回避:325

=========== スキル ==========

剣技Lv.5,炎魔法Lv.5,水魔法Lv.3,風魔法Lv.2,雷魔法Lv.1,その他

========== 隠しスキル =========

【奴隷専用】M(奉仕)Lv5

=========================


 俺弱すぎとか、エリザベス強すぎとかって感想はおいておくとして、エリザベスの隠しスキルのM(奉仕)Lv5というのが注目である。

 注釈スキルでM(奉仕)スキルは主人へ奉仕をすることに快感を覚えるようになる奴隷専用のスキルのことらしい。

 これがたった数日でLv5まで上がっていることからしても、エリザベスは元々奴隷が向いていたのかもしれない。

 ちなみに、このスキルのことをエリザベスに教えてみたところ、


「まあ、ご主人様にご奉仕して、気持よくなれるスキルなんてすばらしいスキルですわね。もちろん、スキルなんて関係なくご奉仕するだけで幸せですけど、さらに気持ちよくなれるなんて素晴らしいスキルですわよね。ハァハァ。」


 と若干ドン引きなコメントを頂いた。

 調教した俺が言うのもあれだが、エリザベスはもう引き返せない所まで来てしまったんだな~と実感してしまった。


 そんな風にがんばってきた俺たち(主にエリザベス)であったが、新たな問題が出てきた。

 それは金の問題である

 俺の持っていた金というのはエリザベスが冒険者時代に稼いだものである。

 エリザベスが普通にCランク冒険者を続けている分にはお金を稼げるのでよかったのだが、今はエリザベスは奴隷であり、ギルドの依頼を受けることも出来ないし、ダンジョンへ潜る際は奴隷だけで潜ってはいけないので俺と同伴でなければならず、俺がジャマでレベルの高い稼げるダンジョンには入れない。

 このままだと、数日で宿代を払えず追い出される可能性も出てきたのだ。


 最悪、俺の危険を覚悟でレベルの高いダンジョンに潜ろうかとも考えたのだが、せめてもう1人くらい冒険者が一緒でないとキツイとエリザベスに止められてしまった。

 そこで、俺は策を講じ仲間を増やすことにした…。



===================

※以下、(新キャラ)ナターシャ視点

===================

 あたしの名前はナターシャ。

 この街の冒険者傭兵の中では名の通っている方だと思う。

 冒険者傭兵とは、主にダンジョンに入る際に戦力が心もとない時に雇われる補充要員のことだ。

 あたしは、冒険者傭兵の中でも人気のある職のヒーラーの傭兵をやっている。


 こう言っちゃあ何だが、ヒーラーは魔法を覚えるのは大変だが、一度覚えしまえば傭兵をするのは楽だ。

 前に出て戦う必要もないし、戦闘が進んできたら、傷のやばそうなやつに適当にヒールをかければいいだけだ。

 本来命を助けられなくて悔やんで悩んでいるような同業者は多いようだが、あたしからすると、助かる助からないは運次第なところも多く、その日初めてPT組んだような奴が死のうが死ぬまいが、あたしにはその日の分前が減るかどうかの差でしかない。

 とはいえ、分前が減るのは嫌なのであたしはなるべく人が死なないように万全の体勢でヒールをかけていたのだが、ある日それにも飽きてしまった。

 だって、PTにとってみれば、ヒーラーがヒールをすることは当たり前であり、感謝の言葉もなく、あたしにとってもヒールは事務的なものになってしまったからだ。


 そこで、ある時からあたしは少し手を抜いてみることにした。手を抜くというと言い方が悪いが、確実に助かりそうなやつに限ってたが、ヒールをするタイミングを少し遅らせてみたんだ。

 すると、どうだろうか。

 多少遅れるくらいだとヒールが遅いと小言を言われるし、遅れすぎると後遺症が残ったらどうするんだといった感じで深刻な感じで怒られるのだが、うまいタイミングを調整すると、どうかヒールをしてくださいと懇願され、そしてヒールをするとすごく感謝されるのだ。


 このことに気づいた時、私はこの職業が自分の天職であると、気づいたのだった。

 その日から、私はギリギリのちょうどいいタイミングでしかヒールをしなくなった。

 冒険者からはドSヒーラーなんて呼ばれていて嫌がる同業者も多いようだが、リピーターの冒険者も多いので問題はない。


 さて、そうこう自己紹介をしているうちに今日のお客さんが来たようだ。

 客は2人組の男女で女の方は奴隷らしい。男の方は見た感じ貴族のお坊ちゃんといったところか。

 察するに、貴族のお坊ちゃんがレベル上のために奴隷と一緒にレベル上げをしていたが、飽きてしまって高いレベルのダンジョンに行きたいとか言い出したのだろう。


 話をしてみると、予想していたどおりで、雇用条件は試用で1日のみ、身分などの詮索は行わないこと、PT中に得られた情報は口外しないことなどとあった。

 この手の依頼は何度か受けたこともあったので、今回も受けることにした。


 雇用契約を結び、正式にPTを組むと、PTウインドウに2人のステータスが表示された。

 男の方は予想通りレベルが低く、女の奴隷の方はCランクくらいのレベルがあった。


 しかし、妙なのは貴族のお坊ちゃんかと思ってた男の地位は貴族ではなくCランクの冒険者であった。

 この国でCランクをとろうとしたらまずレベル制限的に無理であり、パラメータからしても不可能としか思えない。

 実はとても優秀な隠しスキルを持っていて特例で認められたという可能性もあるが、そんな特例噂でも聞いたこともない。

 雇用契約に詮索を行わないようとも書いてあるし、これ以上深く考えるのはやめておいたほうがいいかもしれない。


 そんなことを思っていると、男から、早速ダンジョンに向かおうと言われたので、向かうことにした。

 その道中、フォーメーションの話などになり、珍しく私も前線に出ることになった。

 ダンジョンのレベルはそこまで高くないのだが、敵の数が多めなダンジョンなので、奴隷の女だけでは対処しきれない場合もあるからだそうだ。

 普段の私ならそんな面倒なことをするのはいやなので、無理にでも反論して後衛に回っていたか、仕事自体を蹴っていたと思うのだが、なぜかその日は反対する気にはなれず、男の指示に従うことにした。


 ダンジョンに入り少し経つと、早速モンスターが現れた。

 すると、奴隷の女が奴隷のクセに生意気にも指示を出してきた。


「私は左から来たのを抑えるので、ナターシャさんは右をお願いします」


 指示をされるのが嫌いなあたしは反射的に「そんなの知るか、奴隷の分際であたしに命令するんじゃない」と言いそうになったが、言いそうになる前に体は自然と右の敵を対処していた。

 モンスターを倒し、一息つくと、すぐ横では男と奴隷の女がいちゃついていた。


「ベス、よしよしがんばったね。」


「当然のことをしたまでですわ、ご主人様。こうやって、ご主人様からご褒美いただけるだけで、私は満足ですわ」


 リア充爆発しろ!と思ったのと同時に、何か心のなかでモヤモヤとした気持ちが立ち込めていた。

 普段なら、こんなリア充共は無視して休憩するのだが、何故かその日はほっとけなかった。


「ふたりとも、あたしもいるのに何無視してふたりだけでいちゃついちゃってるんだい。ほら、いくよ」


 そう言って、あたしはふたりを急かし先へ進んだ。

 その時に、奴隷の女が「嫉妬かしら、可愛いですわね」とかほざいていたが全力でスルーした。

 先に進むにつれて少しずつ強い敵も出てきたが、奴隷の女もなかなか強く、ヒールの必要もなく危なげなく進むことが出来た。

 途中、モンスターを倒すごとにイチャイチャする二人は正直うざかったが、あたし的には心のなかのモヤモヤが収まらなかったほうが気になった。


 そして、ボス部屋までやってきた。

 今までは雑魚ばかりだったので怪我もせずに済んだがボスはそうはいかないだろう。

 覚悟を決め、あたし達はボス部屋へと入っていった。


「『ファイアーストリーム』ですわ!」


 激戦だったが、最後は奴隷の女の魔法によりボスは命を絶った。

 男の方はあたしたちの後ろにうまく隠れて怪我をせずに済んだようだったが、奴隷の女の方は怪我をしたようだった。

 あたしは、やっとヒーラーとしての役目を果たすべく、ヒールをして女の怪我を治した。

 普通に戦闘していたので軽いけがだと思っていたのだが、思ってたよりひどい怪我だったので、治すのには時間がかかったが、なんとか跡を残さず治すことが出来た。


「ありがとう、ナターシャさん」


 そんな、奴隷の女の声にあたしは一瞬ドキッとした。

 普段からドSヒーラーの名を響かせているあたしからすると、そんな言葉はありふれているのだが、無理やり言わせたのではなく、心から感謝しているかのようなその言葉にはなにか自分の心に響く言葉があった。


 やがて、男も近づいてきて、

「ベス、よく頑張ったね。よしよし」

 といちゃつき始めた。


 リア充爆発しろ!と叫ぶ気分にもなれず、なんとなくいいなこの雰囲気とぼーとながめていると、男はこちらに近づいてきて、


「ナターシャもがんばったよね、ナデナデしてあげるね」


 と言い、髪を撫でてきた、いつものあたしなら「そんなのいらねえ」ととっさに手をはねのけるのだが、ぼーとしていたせいか、男が髪を撫でるのを許してしまった。


 次の瞬間、あたしの心はふやけていた。

 頭から快楽が広がり、全身の力が抜けていくのを感じた。

 足腰に力が入らなくなり、地面へとへたりこんでしまい、顔にもふやけきってしまい、口からよだれがでているのも止められない始末であった。

 ドSヒーラーとして、時には男とも関係を持ったりしていたが、その時には感じられなかった至上の快楽がそこにはあった。


 そして、あたしは気づいた、今まで感じていたモヤモヤは男が奴隷にしかご褒美をくれず、あたしにはご褒美をくれないので嫉妬していたのだと。


 あたしは確信した。あたしの本質はSではなく、Mであると。

 目の前にいるのがあたしのご主人様であり、彼に奉仕する事こそが至上の喜びであると。


 わたしがふやけた顔でだらしなくしていると、ご主人様が耳元でこう囁いてきた


「よければ、夜のご奉仕もお願いしたいんだけど、お願いできるかな」


 わたしは迷わずこう答えました


「喜んでご奉仕させていただきます、ご主人様」


 そして、今あたしは冒険者をやめ、ご主人様の愛奴隷をやっています。

 愛奴隷とは貴族や有力商人などが側室を持つときに使うシステムで、あたしの全てはご主人様のものになりました。

 冒険者の時のような自由はありませんが、ご主人様に毎日奉仕できてとても幸せです。

 では、あたしはご主人様から頼まれた雑貨の買い出しに行ってまいります。


===================

※以下、主人公のセイヤ視点

===================

「ふぅ、作成成功してよかったな~」


「全くですわ、もし成功しなかったらふたりとも路頭に迷ってたところですわよ」


ナターシャに雑貨の調達を任せ、俺達二人は部屋で今回の作戦の総括を行っていた。


「それにしても、今回はお前のM気に救われたよ」


「どういたしまして。私のM気はあそこまでひどくはないと思いますけどね」


 今回の作戦はどんな作戦だったかというと、エリザベスの隠しスキル『【奴隷専用】M(奉仕)Lv5』を他の人に押し付け、その人を仲間に引き込もうという作戦だった。

 そして、ターゲットに選ばれたのは、ドSながらも隠しスキルに『M(奉仕)Lv1』を持っていたナターシャだった。

 彼女は隠しスキルとして、『S(屈服)Lv4』『M(奉仕)Lv1』を持っていたので、PTを組んだ時点てナターシャの『S(屈服)Lv4』とエリザベスの『【奴隷専用】M(奉仕)Lv5』を交換してやったわけである。


 作戦の結果は大成功であり、ナターシャはMは見事に開花し、俺の愛奴隷になってくれた。

 本来の予定では単なる仲間として引き込む予定だったのだが、ナターシャのへそくりも含め俺のものになったので、当面の金銭問題は解決したので万々歳である。


 エリザベスにとっては新たな奴隷ライバルが出来たということで不機嫌であある。

 また、ナターシャの持っていた『S(屈服)Lv4』を得たからか、時々毒のあるような発言もしていた。

 奴隷としてはちょっとどうかと思うところもあるが、基本的に従順だし、この方が本来のエリザベスっぽいような気もする。

 二人にも確認したところ、このままがいいとのことなので、このままにするつもりである。


 さて、そろそろナターシャも雑貨の買い出しから帰ってくることだ。

 これから、またダンジョンでレベル上の予定だし出かける準備でもするかな。



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