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馬鹿な俺っちとゲスな先生の「小説家になろう」のちょっとした講座

犬が好きな人へ〜大好きなまめさんに捧げます〜

作者: 白起

実家で飼っていた柴犬のまめさんは犬なのに吠えないし(年に数回聞ければ、良い方)、服なんか着てました。

私の部屋にはエアコンなかったのに、彼の部屋にはありました。

俺の扱い犬未満ですよ。

そんな彼は俺が寝そべっていると、トテトテと寄ってきて、よく自分の背中を俺に引っ付けて丸くなってました。

可愛くて仕方ないので、うりゃって、撫で回したりしちゃうんですよ。

まさに彼はモフモフで、肉球はぷにぷにでした。

最高でしたよ。

そうしたら、彼は俺の手のひらをぺろぺろ舐めてくれるんですよ。

首を傾げなから、心底不思議そうに俺を見つめながら、語るんですよ……


「どうしたの?」


って、目で語ってきてくれたんです。

本当に私達家族には勿体無いくらいの掛け替えのない大切な存在だったんです。

あの子を愛する事が出来て、本当に幸せでした。

しかし、去年に彼は亡くなりました。

最後は父の見守る中ですぅっと、眠る様に息を引き取ったそうです。

その時の私は丁度、仕事が休みで、体調の悪い彼を見舞う為に実家に帰ろうとしてました。

でも、急に気になって、母に電話したんです。


「まめは大丈夫か?」


って……

母は電話の最中にずっと泣いてましたが、懸命に彼が頑張った事を私に伝えてくれました。

花を買って来て欲しいとの母の言葉に私は向日葵の花の入った鉢植えを買いました。

まめが向日葵の花と一緒に写る写真を見た事があったからです。

私達にとって、彼は本当に向日葵みたいな存在だったのです。

車の運転中に私は声を上げて泣き続けてました。

今、この文章を書いている瞬間も、彼との思い出が脳裏をよぎり、涙が止まらないです。

布団の中で横たわる彼に会った時、あのモフモフは力を失い、既に冷たくなってました。

肉球はぷにぷにではなく、触っても弾力がないんです。

撫でても、もう舐めてきてくれません。

うっすらと開いた瞳はもう、私に語りかけてはくれないんです。

溢れる哀しみは何と表現するべきなんですか!誰か答えて下さい!教えて下さいよ……

まだ七歳だったのに……

父は定年を迎え、両親はもう犬は飼わないそうです。

前の犬が死んだ時、私は両親に言った言葉があります。


「愛すべき存在を失った哀しみは新たな愛しい存在で埋めたくなるもんじゃけえ、絶対に新しい仔を飼いたくなるんよ」


その言葉の一週間後にまめは来ました。要するに、私の両親は前科持ちです。

ですが、両親も彼に勝るワンコには出会えない事は分かっているのでしょう。

本当に飼わないみたいです。


まめさん……

一緒にいてくれてありがとう……

家族になってくれて本当にありがとう……

俺は天国なんか信じちゃいないけど……

もしも、神様がいて、お前を天国に連れて行ってくれるなら……

俺は天国があるって信じる……

お前だけは天国に行って欲しい……

頑張ったな……

苦しかったな……

それでも、お前は苦しそうな素振り見せずに、亡くなる前日まで、父さんと散歩に行こうとしてくれたんだってな……

どんだけ、お前は強いんよ。

あのモフモフも、あのぷにぷにも、あのペロペロも、俺の中で色褪せる事のない大切な物になっちゃっただろう?

お前に会えたら、いつでも堪能たんのう出来たのに……

思い出かよ……

俺な、胸の真ん中がな、苦しいんだよ。

右手で撫で回しても落ち着かないんだわ。

何でだろうね。

でも、この痛みを大切にするわ。

お前との絆の証だからな。

天国に行ったら、素敵な家族作れよ。

もしも、もしも、まめが俺たちともう一度家族になってくれるなら……

家族になってくれ……

お前じゃなきゃ俺は嫌なんよ……

お前の幸せだけを祈ってる。

本当にありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言]  通りすがりに見つけたので、読ませていただきました。  不覚にもウルッときてしまいました。自分は「作品では絶対泣かない、泣くものか! 」という無駄なプライドを持った人間です。  でも・・・…
2014/08/22 19:38 退会済み
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