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エッセイ

人間だけがお尻を拭くの?

 おおきいほうのトイレをした後、人間はお尻を拭きます。


 私はフェレットくんを飼っています。

 彼は腸が短いので、一日に何べんも食事をし、一日に何べんもうんちをします。

 でも拭きません。

 トイレが終わったら、そのまますぐに、スッキリした顔をしてこっちへ駆けてきます。

 抱っこして、お腹を向けさせてみると、おしっこの出たところはちょっとしっとりとしていますが、お尻にうんちはついていません。とても綺麗です。

 その上に自分でペロペロして綺麗にします。


 昔はわんこを飼っていました。

 散歩に連れていって、急に座り込んだら、そのあとにぽんと地面に落ちているものをスコップで拾い、ビニール袋に入れました。

 わんこはうんちする時、故意に脱肛することができるそうです。肛門を外に出して、モリモリ出たら、出していた肛門を中にしまえるから、お尻を拭く必要がないらしいです。

 たまに地面にお尻をこすりつけながら歩くことがあるのは、病気かもしれないサインですので『あぁ、うんちしたからお尻を拭いてるんだな』などと思わずに獣医さんへ連れて行きましょう。


 昔は猫も飼っていました。

 トイレで真剣な顔をして、ぷるぷる震えて、終わったら振り返ってクンクン匂って、またこっちを向いて砂をかけて埋める。

 そのあと、自分で舐めて綺麗にします。自分の中に汚いものを隠してしまうので、猫は体臭が少なく、しかし猫フンは強烈に臭いのだと聞いたことがあります。

『舐めるなんて汚い』なんて言わないであげてください。それが猫にとっての『ふつう』なのですから、人間の価値観を押しつけないで。彼らは高貴であるがゆえに外見はいつでも綺麗にしている貴族のようなものだと思ってあげましょうよ。

 ちなみに昔、拾ってきた子猫のお尻をティッシュでこちょこちょと刺激してました。こうしないとちいさい子猫はうんちが出ないのです。

 母猫は舌で刺激して、出てきたかわいいうんちを食べてあげるらしいです。


 猿は飼ったことがありませんが──

 猿もお尻は拭きません。


 なぜ、人間だけが、お尻を拭くのか……。


 昨日は朝から激しいゲリダ豪雨に見舞われました。

 せっかくの休日を苦しみに呻きながらやり過ごし、ようやく夜になってそれは収まり、今朝は爽やかな天気雨に変わりました。

 ちょんちょんと、お尻を拭きながら考えたのです。

 なぜ、人間だけが、お尻を拭くのか……。


 首をひねってそんなことを考えながら、トイレの扉を開けると、フェレットくんが待っていてくれました。

『いいうんち、出たか?』

 そんな顔で、じっと私を見つめてきました。

 私はにっこりと微笑みかけ、うなずいて、彼を抱っこして居間へと戻り、こんなものを書きはじめていました。





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― 新着の感想 ―
人間は脱肛、というか直腸脱状態だと病気扱いだしなあ。 ただ猿の尻を見た感じだと、かつての人間も直腸脱が常態だった可能性があるよね。 気になるのが、ケンタウロスはお尻を拭くのか? そもそも拭けるのか?
[一言] ギンピギンピでお尻を拭いてしまって、三日三晩苦しんだ挙句にその苦しみに耐えられず、とうとう拳銃自殺してしまった人の話を思い出した。 人間が犬猫やフェレットの方式だったなら、そんな事にならずに…
[良い点] 人間は「自分は動物ではなくて文明を担う知的生命体である」という自負があるために、食や性といった動物的本能に近い領域に様々なタブーを設けていると聞いた事があります。 人間だけがお尻を拭くのも…
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