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第七話

 夏本番。

 王都の学園は長期休暇となり、ルークエンデ家には兄ふたりが里帰りを果たしていた。

 

 長男のラルフ、次男のレオンとは年が離れているためか、僕のことをよく可愛がってくれる。

 今年も王都のお土産を一杯、買ってきてくれた。

 

「聞いたぞロイク。ゴブリン相手に大立ち回りだって? 初陣を済ませたなら一人前だな。これは俺からのプレゼントだ」

 

 長兄ラルフが寄越した包み紙を開けると、小ぶりの短剣が現れた。

 鞘の装飾が見事だが、抜いてみれば魔術具だと分かった。

 どうやら投げナイフのようで、風属性が付与されているところまでは判別できた。

 

「ラルフ兄上、これは?」

 

「的に向けて軌道を自動修正する追尾の投げナイフだ。練習すればすぐに当たるようになる。便利だぞ」

 

 それは凄い。

 ありがたく受け取った。

 

「俺の方も初陣祝いだ。開けてみてくれよ」

 

 次兄レオンからは指ぬき手袋だった。

 これも魔術具で、サイズ調整の魔術がかけられていて、長く使えるようになっていた。

 手の甲に金属のプレートが仕込まれており、拳で殴ることを想定しているらしい。

 

 投げナイフに拳打用の指ぬき手袋。

 白兵戦に幅が持たせられる武器だった。

 

「ラルフ兄上、レオン兄上、ありがとうございます!」

 

「喜んでもらえて良かった」

 

「アーヴァング先生のことだから、そのうち格闘も仕込まれるだろう? そのときに取っておくと良い」

 

 しかし魔術具ふたつとは豪勢だ。

 ふたりのお小遣いを考えると、決して安い品ではない。

 年の離れた弟に対する愛情を感じるプレゼントだった。

 

 

 

 もらったからには早速、使いこなさなければ。

 

 翌日から自由時間に投げナイフの練習を追加した。

 指ぬき手袋も慣れるために装着しておく。

 

 投げナイフは追尾性能が付与されているため、初心者の僕でも面白いように的に当たった。

 

 アーヴァング先生は目ざとく新しい武装に目を留めて、格闘の訓練も剣の授業に取り入れることになった。

 基本は足払いから。

 そして剣を失った場合にも戦えるように拳打の練習も行う。

 コンパクトに打ち込み、体勢を整える時間を稼ぐことに重点を置く格闘技。

 僕の場合は〈膂力〉があるので、拳打の威力も馬鹿にならない。

 

 とはいえ素手で魔物を相手にするのは無謀もいいところなので、格闘技を使うタイミングとしてはやはり武器を一時的に手放してしまった際の時間稼ぎか、人間相手に手加減する場合だろう。

 身につけておいて損のない技術だ。

 

 

 

 兄ふたりが帰郷しているので、書庫から足が遠のいた。

 具体的には湖で水遊びや釣りをしたり、馬に乗せてもらって遠乗りをしたりと、夏を満喫する。

 

 僕の勉強風景を見たいということで授業参観をしたりもしていたが、内容が学園で習う範囲に入っていることに兄ふたりは驚いていた。

 伊達に〈記憶力〉特化して書庫通いをしているわけではない。

 この分だと、学園に通う前に学園で習う内容をすべて終える勢いだとのこと。

 

 あれ、そうすると僕、学園に通う必要ないんじゃ……。

 

 とも思ったが、貴族の一員である以上は学園に通う義務があるのである。

 学園には大きな図書館があるということなので、そちらを楽しみにすることにしよう。

 

 剣技の授業では兄ふたりも加わって、乱取りをした。

 さすがに年が離れているため、リーチでかなわない。

 それでも「太刀筋が綺麗だ」「足を使って撹乱しようとしているのが良い」と褒められた。

 

 圧倒的な強さを誇るアーヴァング先生とは違って、付け入る隙のある兄ふたりとの手合わせは良い訓練になる。

 まったく勝てないのは変わらないのだが、それでも稀にきりきり舞いにさせることができたので僕としては満足だ。

 

 長い夏休みを兄ふたりに揉まれて過ごした。

 普段と違うことをしたためか、熟練度もいい具合に溜まった。

 

 これまで溜めた熟練度と合わせて、一気に〈記憶力〉を伸ばすぞ!


 ロイク・ルークエンデ(男/7歳)

 

 【魂】

  └【前世の記憶】

 【肉体】

  ├【器用】

  │ └〈剣技〉Lv3

  ├【敏捷】

  │ ├〈俊足〉Lv2

  │ ├〈軽業〉Lv2

  │ └〈水泳〉Lv1 new!

  ├【感知】

  ├【筋力】

  │ ├〈格闘技〉Lv1 new!

  │ ├〈膂力〉Lv2

  │ └〈瞬発力〉Lv1 new!

  └【体力】

    ├〈持久力〉Lv3

    └〈持久走〉Lv1

 【精神】

  ├【知力】

  │ ├〈集中力〉Lv3

  │ └〈記憶力〉Lv10 complete!

  │   ├〈模倣〉Lv2

  │   ├〈写真記憶〉Lv2

  │   └〈記憶の図書館〉Lv2

  │     └〈検索〉Lv1 new!

  └【魔力】

    ├〈魔力操作〉Lv2

    ├〈魔術制御〉Lv1 new!

    ├【水属性】

    │ └〈水魔術〉Lv2 update!

    ├【光属性】

    │ └〈光魔術〉Lv1

    └【情報属性】 new!


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