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第六話

 隣領のファーランド領と僕の父が領主を務めるルークエンデ領は仲がいい。

 これは学園で同級生だった父同士の親交の賜物なのだが、その関係もあって、互いの領地を行き来する機会が頻繁にあった。

 

 領主の仕事は代官に任せられるので、割と身軽なのだ。

 

 それで僕もファーランド領に連れて行ってもらう機会を得た。

 正直なところ、フェリシアに怖がられているので、あまり気は進まなかったのだけど――。

 

 

 

「ロイク。お久しぶりです。お元気にしていましたか?」

 

「え、ああ。うん。フェリシアこそ、久しぶりだね。元気してた?」

 

「はい。……ええと、あの日。ロイクがゴブリンから私を守ってくれたので……ちゃんとお礼を言ってなかったなって。ええと、その節は、ありがとうございました」

 

「いや、いいんだ。怖かっただろうし混乱していただろう? あんなに近くでゴブリンの死体を見せられたらトラウマになりかねない」

 

「トラウマ?」

 

「あ、えーと。怖い夢を見たりしなかった? 今でもゴブリンに怯えたり」

 

「だ、大丈夫です。ゴブリンが来たら、また守ってくれますか?」

 

「もちろん。夢の中にまで助けに行くよ」

 

 どうやら時間が経って、フェリシアの中で僕への感謝の念が芽生えたらしい。

 女心と秋の空とは言うが、実際、分からないものだ。

 

 なんにせよ嫌われていないで良かった。

 

 

 

 ファーランド領ですることといえばフェリシアと遊ぶことだ。

 正直なところファーランド家の書庫に興味があったが、ホスト役のフェリシアを放置して読書に勤しむわけにはいかない。

 

 とはいえ季節は初夏。

 水遊びをするにはまだ冷える。

 

 リバーシもトランプも最初の二日で遊び尽くしてしまったため、一緒に勉強することになった。

 というのもフェリシアは早くから魔術に高い適性を見いだされており、魔術教育を受けていたからだ。

 属性は、炎・氷・雷と攻撃魔術の花形が揃っている。

 

 実際、『ソード&ソード』のヒロインにしてパーティメンバーであるフェリシアは、攻撃魔術師として活躍することになるのだから、才能は確かなものだろう。

 

「ロイクは水属性に光属性? 凄い、治癒魔術師になれそうだね」

 

「うーん、そうなんだけどね。僕としてはまだその道に進むとは決めていないんだ。学園に入学してからゆっくり将来を決めようと思っている」

 

「学園かあ。私、魔術の勉強は好きだけどそれ以外の勉強はあまり得意じゃない……」

 

「良ければ勉強を見ようか? 僕は座学が得意なんだ」

 

「剣も魔術もできて、勉強もできるの? なんだか凄いなあロイクは」

 

 雑談混じりに互いの魔術を見せ合う。

 フェリシアは〈フレイムランス〉〈アイスセイバー〉〈ライトニングボルト〉を披露してくれた。

 ゴブリン程度なら一撃だろう。

 七歳にして既に攻撃魔術師としての道を歩み始めている。

 末恐ろしい才能だった。

 

 僕の方はといえば、〈ウォータースピア〉くらいしか見せられる魔術がない。

 明るいうちに〈ライト〉は地味だし、怪我もしていないのに回復魔術を披露することはできないからだ。

 わざわざ傷を作ってまで回復魔術を披露する意味はないだろう。

 

 魔力操作の基本訓練などを行い、座学の方も一緒に勉強することになった。

 こちらは僕の無双状態。

 反面、フェリシアは……年齢相応といったところか。

 自己申告より悪いこともない。

 

「はえ~……もう教科書の範囲、全部終わってるの!?」

 

「うん。座学はだいぶ先までやっているよ」

 

「凄い!」

 

 算数でつまずいているところを教えたり、歴史の細かいエピソードを交えての解説はフェリシアに好評だった。

 ファーランド家の家庭教師が顔をこわばらせていたが。

 

 

 

 遊んで、勉強して、そして遊ぶ。

 

 領地で管理している森には危険な魔物はいないため、一緒に散歩したりもした。

 その折、怪我をした幻獣の子供を見つけた。

 親からはぐれたのか、ろくに餌も摂っていない様子。

 怪我を治したら僕らに懐かれたので、そのままファーランド家で面倒を見ることになった。

 

 新しい仲間は白い虎のような種で、フェリシアが『ブランコ』と名付けた。

 

 その名付けではたと思い出したが、『ソード&ソード』のフェリシアはブランコという名の虎の使い魔を使役していたはずだ。

 どうやら将来の使い魔との邂逅イベントだったらしい。

 

 ブランコは怪我を治した僕よりも、餌を積極的に与えるフェリシアに懐いていた。

 ちょっと悔しい気もするが、フェリシアの将来の相棒を取るわけにもいかない。

 撫でさせてはくれるので、ここは可愛がるだけにしてファーランド家で面倒を見てもらうことにしようかと思う。


 ロイク・ルークエンデ(男/7歳)

 

 【魂】

  └【前世の記憶】

 【肉体】

  ├【器用】

  │ └〈剣技〉Lv3

  ├【敏捷】

  │ ├〈俊足〉Lv2 update!

  │ └〈軽業〉Lv2

  ├【感知】

  ├【筋力】

  │ └〈膂力〉Lv2 update!

  └【体力】

    ├〈持久力〉Lv3

    └〈持久走〉Lv1

 【精神】

  ├【知力】

  │ ├〈集中力〉Lv3 update!

  │ └〈記憶力〉Lv8

  │   ├〈模倣〉Lv2

  │   ├〈写真記憶〉Lv2

  │   └〈記憶の図書館〉Lv2

  └【魔力】

    ├〈魔力操作〉Lv2 update!

    ├【水属性】

    │ └〈水魔術〉Lv1 new!

    └【光属性】

      └〈光魔術〉Lv1 new!


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