第五十二話
魔族に見つからずに拠点を探るならば、〈隠密〉スキルが必要になるだろう。
貯め込んだ熟練度を消費して、一気に〈隠密〉のレベルを10まで上昇させた。
派生スキルは〈気配遮断〉〈魔力遮断〉〈変装〉だ。
〈気配遮断〉と〈魔力遮断〉をコンプリートまで伸ばす。
〈変装〉は不要だろうが、ここまで来たら〈隠密〉ツリーをコンプリートするのも悪くない。
そう思って〈変装〉もコンプリートすると、案の定、派生スキルが現れた。
〈変装〉から派生したのは、〈無貌〉というスキルだ。
これも念の為コンプリートする。
どうやら〈無貌〉スキルを使っている間は、自分のことを誰か分からなくさせる効果があるらしい。
闘技大会で顔が売れたから、これは嬉しいスキルだ。
僕は早速、婚約者や代官のフィルマンに王様からの勅命が下ったため、ひとり旅立つことになったと伝えた。
たったひとりでの旅となるが、〈インベントリ〉もあるし〈隠密〉ツリーをコンプリートしたのでむしろ足手まといがついてくるよりマシだ。
「ロイク様、おひとりで大丈夫ですか。ロイク様の腕前を疑うわけではありませんが……」
「大丈夫だよリーリエ。魔族の拠点が僕が目星をつけている場所にあるのか、確認するだけだ。戦わずに、気づかれずに、帰還することが目的だから」
「ロイク、その……無事に帰って来てね」
「ああ。フェリシアたちは普段どおり過ごしてくれ」
「ロイク。魔族の拠点を発見したら、騎士団が総出で叩きに行くことになるでしょう。私たちも腕を磨いておきます」
「うん。僕が不在の間は例の場所での訓練ができなくなるけど、シャルロッテたちは既に十分、強いから焦る必要はないよ」
婚約者たちに声をかけてから、僕は旅の準備を始めた。
味気ない保存食をいくらかと、時間停止をよいことに温かい料理を皿ごと〈インベントリ〉に保存する。
水は魔術で作り出せるが、念の為水袋も用意しておくことにした。
装備については出発後にオープンフィールドで揃えたマントなどに着替えようかと思う。
寒さや暑さに耐性をつけるマントがあり、旅にはそれが最適だ。
ミスリルの剣は目立つが、もし戦闘になったときのためにそのまま腰に佩いておく。
準備完了だ。
目的地まではひとり。
一人旅が不自然でないように、十五歳くらいに見えるように〈変装〉しておく。
〈無貌〉は常時、起動しっぱなしでいいだろう。
馬車を乗り継ぎ、冒険者として商隊の護衛なども行いながら、目的地である国の外れにある山岳地帯へ向かう。
山岳地帯は人の住める環境ではなく、割と強力な魔物が出るためどの国も領有していない空白地帯となっている。
そこの地下に、魔族の王が居を構えている。
ラストダンジョン『地底城塞』があるのだ。
僕は一ヶ月以上をかけて山岳地帯にやって来た。
ここに来るのは魔物の素材を取りに来る冒険者くらいのものだが、それでも危険なのでほとんど山に入る者はいないと言っていい。
そんな場所に踏み込む。
――〈限界突破〉〈索敵〉〈発見〉〈直感〉〈隠密〉〈気配遮断〉〈魔力遮断〉。
周囲を観察しながら気配を断って身を隠す。
見覚えのある山道。
魔物を回避しながら、僕は地底城塞の入り口と、それを見張る魔族を発見した。
ロイク・ルーセルガルト(男/13歳)
【魂】
└【前世の記憶】
【肉体】
├【器用】
│ ├〈剣技〉Lv10
│ └〈槍技〉Lv9 update!
├【敏捷】
│ ├〈回避〉Lv10
│ ├〈俊足〉Lv8
│ ├〈軽業〉Lv9
│ ├〈水泳〉Lv2
│ ├〈跳躍〉Lv6
│ └〈騎乗〉Lv7 update!
├【感知】
│ ├〈発見〉Lv6
│ ├〈索敵〉Lv8
│ ├〈常在戦場〉Lv8
│ ├〈視力〉Lv10
│ │ ├〈動体視力〉Lv5
│ │ ├〈停滞の魔眼〉Lv5
│ │ └〈魔力視〉Lv5
│ │ └〈精霊視〉Lv3
│ └〈隠密〉Lv10 complete!
│ ├〈気配遮断〉Lv5 complete!
│ ├〈魔力遮断〉Lv5 complete!
│ └〈変装〉Lv5 complete!
│ └〈無貌〉Lv3 complete!
├【筋力】
│ ├〈格闘技〉Lv8
│ ├〈盾技〉Lv8
│ ├〈膂力〉Lv8
│ ├〈瞬発力〉Lv9
│ └〈鍛冶〉Lv10
└【体力】
├〈持久力〉Lv8
├〈持久走〉Lv7
└〈頑強〉Lv10
├〈毒耐性〉Lv1
├〈痛覚遮断〉Lv5
└〈獅子心〉Lv1
【精神】
├【知力】
│ ├〈集中力〉Lv10
│ │ ├〈限界突破〉Lv5
│ │ ├〈心眼〉Lv5
│ │ └〈生存本能〉Lv5
│ │ ├〈直感〉Lv3
│ │ └〈多重思考〉Lv3
│ ├〈記憶力〉Lv10
│ │ ├〈模倣〉Lv5
│ │ ├〈写真記憶〉Lv5
│ │ └〈記憶の図書館〉Lv5
│ │ └〈検索〉Lv3
│ ├〈錬金術〉Lv10
│ ├〈指揮〉Lv8
│ │ ├〈鼓舞〉Lv3
│ │ ├〈以心伝心〉Lv3
│ │ └〈演説〉Lv1
│ ├〈戦術思考〉Lv8
│ └〈教導〉Lv8
└【魔力】
├〈魔力操作〉Lv10
├〈魔術制御〉Lv8
├〈魔力圧縮〉Lv8
├〈闘気法〉Lv10
├〈魔力庫〉Lv8
├【精霊語】
│ ├〈水の精霊術〉Lv3
│ └〈光の精霊術〉Lv3
├【幻獣語】
│ └【使い魔:ハヤテ】
│ └〈小型化〉Lv5
├【水属性】
│ └〈水魔術〉Lv8
├【光属性】
│ └〈光魔術〉Lv8
│ └〈付与魔術〉Lv5
└【情報属性】
└〈情報魔術〉Lv5




