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第三話

 事態は急変した。

 父たちが領地に現れたスノーウルフとゴブリンの討伐に出かけて一時間ほど経ってからのこと。

 にわかに屋敷の周囲が騒がしくなってきたと思ったら、ゴブリンの集団が現れたのだ。

 

 不運なことに今、父が屋敷の大半の兵士を連れて行ってしまったため、屋敷は手薄だ。

 

 領地に出たゴブリンたちは陽動だったのか、と一瞬考えたが、それにしては杜撰だ。

 おそらくは両方が本命なのだろう。

 

 屋敷が手薄になるのを見越してか、襲撃はゴブリンのみだ。

 戦力的には防衛可能だと信じたい。

 

「マリアベル。念の為、実剣を持ってきて」

 

「かしこまりました」

 

 素振りでしか扱ったことのない実剣。

 まだ巻藁すら斬ったことがないのだが、それでも念の為、武器は手元に置いておきたい。

 いざとなったらゴブリンを斬らねばならない。

 

 ガシャン!

 

 突如、窓ガラスが割れて石が投げ込まれる。

 

「ひぃっ!」

 

「フェリシア、窓から離れて!」

 

 割れた窓にぬぅっと緑色をした小さな手がかけられた。

 そしてすぐに醜悪な顔が部屋の中を覗き込む。

 ゴブリンだ。

 

「ロイク様!」

 

「マリアベル、剣を!」

 

 駆け寄るマリアベルから剣を受け取ると、窓枠をよじ登ろうとしているゴブリンを前に、剣を抜く。

 

 ――〈模倣〉水平斬り!!

 

 アーヴァング先生の型通りの一撃がゴブリンの首をはね飛ばす。

 血を吹き上げてゴブリンは窓から崩れ落ちた。

 

 物を斬った衝撃で手がジンジンする。

 初めての実戦となったが、日頃の訓練の成果か思ったよりも戦えそうだ。

 

「ロイク様!」

「フェリシア様!」

 

 物音を聞きつけた兵士が部屋にやってきた。

 後は手を出さずに大人たちに任せてしまおうか、と思ったが、せっかくの実戦の機会だ。

 ゴブリン一匹を殺して得られた熟練度はざっと本を数十冊読んだときの数字に等しい。

 強さの割に美味しい獲物だ。

 

「ここは僕が引き受ける。フェリシアを上階へ連れて行ってくれマリアベル」

 

「え? 何を仰るんですかロイク様! ロイク様も兵士に任せて一緒に避難してください!」

 

「ゴブリン如きに遅れは取らない。大丈夫、無茶はしないから」

 

「あ、待って!!」

 

 マリアベルの制止を背後にして、僕は壊れた窓から外へ飛び出す。

 さあ、熟練度稼ぎだ!

 

 

 

 〈持久力〉のレベルを上げて、新たに〈膂力〉を習得する。

 これはまだ六歳の身体への先行投資。

 不足するであろう体力と腕力を底上げしておく。

 

 屋敷の外にはゴブリンがうようよいた。

 飛んで火にいる夏の虫、というのは、今の僕のことを言うのだろう。

 

 だがこの虫、剣でもってゴブリンを殺すくらいならやってのけるのである。

 

 ――〈模倣〉水平斬り!!

 

 近寄ってきたゴブリン二匹の首をはねる。

 手に残る感触が二匹までなら一発で殺せると教えてくれた。

 

 ゴブリンは脳無しではない。

 同胞の死により近寄れば剣で斬られると分かったなら、その辺の石を拾って投げてくるくらいの知恵はある。

 

 そうなった。

 

「クソ! 面倒だな!」

 

 剣を構えながら接近しようとするとゴブリンは逃げる。

 そして別のゴブリンが投石してくるのだ。

 

 もっとバンバン殺したいのに、それができずにもどかしい。

 

 僕は二匹のゴブリンを殺した熟練度で〈俊足〉と〈軽業〉を習得した。

 助走をつけて跳躍!

 

 ――〈模倣〉水平斬り、応用編!!

 

 空中から襲撃した一閃がゴブリンの首をはねた。

 

 よし、行ける。

 

 着地の勢いをそのままに走りながら次の獲物に飛びかかった。

 

 ――〈模倣〉水平斬り、応用編!!

 

「はぁ、はぁ、……これ疲れる!?」

 

 当たり前のことだが、走ってジャンプして斬りつける一連の動作は、ただ素振り通りに一撃するのとは訳が違う。

 消耗する体力が段違いだった。

 

 バテる前に〈持久力〉のレベルを上げる。

 これでどれだけ戦い続けられるのかは不明だが、レベル3ともなればかなりのものだ。

 さあ、ガンガン狩りをしよう!


 ロイク・ルークエンデ(男/6歳)

 

 【魂】

  └【前世の記憶】

 【肉体】

  ├【器用】

  │ └〈剣技〉Lv2 update!

  ├【敏捷】

  │ ├〈俊足〉Lv1 new!

  │ └〈軽業〉Lv2 new!

  ├【感知】

  ├【筋力】

  │ └〈膂力〉Lv1 new!

  └【体力】

    ├〈持久力〉Lv3 update!

    └〈持久走〉Lv1 new!

 【精神】

  ├【知力】

  │ ├〈集中力〉Lv2 update!

  │ └〈記憶力〉Lv5

  │   ├〈模倣〉Lv2 update!

  │   ├〈写真記憶〉Lv1

  │   └〈記憶の図書館〉Lv1

  └【魔力】

    ├【水属性】

    └【光属性】


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