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僕だけスキルツリー ~〈記憶力〉ツリー特化ビルドで最強です!~  作者: イ尹口欠


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28/55

第二十八話

 ジェロイスホーフのダンジョン第45階層。

 噂の辻切りを見物に来たが、その階層は静まり返っていた。

 

 魔物の気配がないのだ。

 

 恐らくは辻切りが魔物も始末しているのだろう。

 ひとりでご苦労なことだ。

 

「見当たりませんね」

 

「まあまあ。少し探してみようよ」

 

 ――〈限界突破〉〈集中力〉〈発見〉〈索敵〉〈直感〉。

 

 ギンギンと頭痛がする。

 限界を超えた代償だ。

 その甲斐あって、かすかな気配を探知できた。

 

「あっちかな……」

 

「分かるんですか?」

 

「勘だよ」

 

 近づくにつれてハッキリと気配を感知できるようになったのか、タチアナの顔が強ばる。

 

「これは……想像以上ですね」

 

「ああ、うん。ちょっと計算外だったかも。軽率だったかな」

 

 ビリビリとした殺気が肌を突き刺す。

 剣呑な相手らしいことは分かっていたが、もしかすると格上かもしれない。

 

 だが本気を出した僕に勝てる相手か、と言われればまた別だ。

 こと戦いにおいて僕の右に出る者はいないと自負している。

 

 少なくとも一対一なら確実に。

 今回の相手はひとりだから、まず問題ないはずだ。

 

 熟練度の残量にチラリと目をやる。

 いざとなれば〈剣技〉をレベル9にできるだけの量が貯蓄されている。

 本当は〈集中力〉のレベル10用に溜めていた熟練度だが、必要ならば使うのにためらいはない。

 

 スゥ、と音もなく人影が現れた。

 

 互いに剣は既に抜かれている。

 辻切りの容貌は一言で言えば老人、だった。

 

 総白髪の剣士。

 鎧の類はなし、動きやすそうなボロい服装のみ。

 ただし剣は魔力を帯びた魔法の品。

 

 迷ったがまず〈ディテクト・ステータス〉を試みる。

 問題なく通った。

 

《名前 バララエフ 性別 男 年齢 55

 【器用】314 【敏捷】297 【感知】255

 【筋力】203 【体力】179 【知力】148

 【魔力】208

 〈剣技〉Lv10 〈回避〉Lv9 〈俊足〉Lv7

 ……》

 

 スキルをみっつ見た段階で「あ、コイツはヤバいぞ」と脳が警戒を発した。

 そのときにはもう一足一刀の間合いにまで近づかれていた。

 

 ――〈模倣・剣技〉〈限界突破〉〈集中力〉〈闘気法〉〈魔力操作〉〈生存本能〉〈直感〉ッ!!

 

 咄嗟にバララエフの〈剣技〉を〈模倣〉して一撃を受け流す。

 同時に〈検索〉。

 即座にバララエフの情報が脳内の図書館から引き出される。

 

 

 

 剣聖バララエフ。

 剣を極めるために王都の闘技大会に出場し、初出場ながら優勝。

 以降、20年以上に渡り優勝の座を防衛し続けた。

 しかし10年前の闘技大会で優勝した後、失踪し、以降の足取りは不明。

 メインストーリーの中で一度、パーティメンバーに――

 

 思い出した。

 この男のことは知っている。

 こんなところで辻切りをしているとは思っても見なかった。

 メインストーリー以前の足取りは設定資料集にもないから、具体的な居場所は知らなかった。

 

「ほう、儂の一撃を受け流すかよ」

 

「……っ!?」

 

 バララエフの剣がブレる。

 マズい、コイツの持っている魔剣は……!

 

 ヴン、という虫の羽音のような発動音を耳にしながら、全神経を集中して相手の挙動を注視する。

 

 ――〈模倣・剣技〉〈限界突破〉〈集中力〉〈闘気法〉〈魔力操作〉〈瞬発力〉〈心眼〉〈生存本能〉〈直感〉ッ!!

 

 剣戟の連打が木霊する。

 バララエフの魔剣は時間を操るもので、特に自身の時間を加速し放たれる連撃こそが彼の奥義なのである。

 

「見事なり……儂の奥義をしのぎ切るとは。お主、一体……」

 

「はあ、はあ」

 

 死ぬかと思った。

 せっかくの剣が刃こぼれしてボロボロだ。

 

「おい、名前は? 歳は? 見たところ儂の孫と変わらない歳格好に見えるが」

 

「ロイク。十歳だ」

 

「十歳! 本当に孫と変わらん!」

 

 そうだろうよ。

 

 ……いや、待て。この流れどこかで。

 

「よし決めた! お主を孫の許嫁にしよう!」

 

 メインストーリーのヒロインのひとり、剣聖の孫娘。

 イベントで剣聖バララエフの連撃をしのぎ切ると、まさにこのセリフが待っている。

 新しいヒロインがパーティに加入するのだ。

 

 ちょっと待て。

 僕はモブキャラだぞ、本来それは主人公のためのイベントだ。

 

 嬉しそうなバララエフを眺めながら、僕はメインストーリーが完全に決壊したことを悟った。


 ロイク・ルークエンデ(男/10歳)

 

 【魂】

  └【前世の記憶】

 【肉体】

  ├【器用】

  │ ├〈剣技〉Lv9 update!

  │ └〈槍技〉Lv3

  ├【敏捷】

  │ ├〈回避〉Lv6

  │ ├〈俊足〉Lv4

  │ ├〈軽業〉Lv4

  │ ├〈水泳〉Lv2

  │ ├〈跳躍〉Lv1

  │ └〈騎乗〉Lv2

  ├【感知】

  │ ├〈発見〉Lv3

  │ ├〈索敵〉Lv3

  │ └〈常在戦場〉Lv4

  ├【筋力】

  │ ├〈格闘技〉Lv5

  │ ├〈盾技〉Lv6

  │ ├〈膂力〉Lv4

  │ ├〈瞬発力〉Lv4

  │ └〈鍛冶〉Lv7

  └【体力】

    ├〈持久力〉Lv7

    ├〈持久走〉Lv5

    └〈頑強〉Lv3

 【精神】

  ├【知力】

  │ ├〈集中力〉Lv9

  │ │ ├〈限界突破〉Lv3

  │ │ ├〈心眼〉Lv3

  │ │ └〈生存本能〉Lv3

  │ │   └〈直感〉Lv3

  │ ├〈記憶力〉Lv10

  │ │ ├〈模倣〉Lv5

  │ │ ├〈写真記憶〉Lv5

  │ │ └〈記憶の図書館〉Lv5

  │ │   └〈検索〉Lv3

  │ ├〈錬金術〉Lv7

  │ ├〈指揮〉Lv3

  │ └〈戦術思考〉Lv3

  └【魔力】

    ├〈魔力操作〉Lv6

    ├〈魔術制御〉Lv7

    ├〈魔力圧縮〉Lv5

    ├〈闘気法〉Lv6

    ├〈魔力庫〉Lv5

    ├【精霊語】

    │ └〈水の精霊術〉Lv2

    ├【幻獣語】

    │ └【使い魔:ハヤテ】

    │   └〈小型化〉Lv5

    ├【水属性】

    │ └〈水魔術〉Lv6

    ├【光属性】

    │ └〈光魔術〉Lv6

    │   └〈付与魔術〉Lv5

    └【情報属性】

      └〈情報魔術〉Lv5


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