第十八話
格上相手との戦闘で熟練度を稼いだ結果、使用したスキルが軒並み上達していた。
とどめを刺したおかげで大量の熟練度も入手できたし、終わってみればいいことづくめだ。
ただしフェリシアが魔術の連発で疲弊してしまっている。
休息を取ってから、水精の剣を精霊に返しに行くことにしよう。
池で泣いていた精霊のもとに三人と一匹がたどり着く頃には、既に日が傾き始めていた。
早く屋敷に帰らないと大目玉だな、と思いながら、水精の剣を池に放る。
「ありがとう。取り戻してくれたのね」
「…………」
ここで【精霊語】を話せることを二人に知られるのはなんとなくマズい気がしたので、頷きだけで応じた。
泣き止んだ精霊は池から出て来て、僕の頬に口づけをした。
「お礼。水の精霊の加護があなたにありますように」
「…………っ」
いきなりでびっくりしたが、それよりもスキルツリーに〈水の精霊術〉が増えたことに驚きだ。
〈精霊術〉は精霊と人間とが今よりも距離が親しい時代のスキルで、現代ではほぼ遺失してしまったと考えられている希少スキルだ。
水の精霊は剣を大事そうに抱えたまま、スゥっと姿を消してしまった。
本来、精霊は人の目に見える存在ではない。
今回は剣を取り戻して欲しいがために姿を現していたようだが、……これで一件落着だ。
〈水の精霊術〉を得た喜びから頬が緩んでいたのが悪かったのか。
帰り道ではフェリシアが頬を膨らませてジト目で僕を睨みつけてきていて、かけた言葉はことごとく無視された。
でもフェリシア、学園に行ったら『ソード&ソード』の主人公に一目惚れするんだよなあ。
それを考えたら今時点での僕への好感度はどうでもよいような気もしないでもない。
……いや、幼馴染に嫌われるのはキツい。
なんとか日が落ちる前に屋敷に帰って、それから数日、フェリシアのご機嫌取りに奔走することになった。
水の精霊の一件は父に報告させられて「また危険なことに首を突っ込んだのか」と半ば呆れ半分で説教された。
だが領地の危機を救った以上、厳しく叱ることもできず、半端な説教になったのは言うまでもない。
なおタチアナの盾は護衛任務を果たした経費で新調された。
あとはフェリシアの機嫌が治るまで、根気強く言葉をかけていくだけだ。
これが一番の難関となった。
ロイク・ルークエンデ(男/8歳)
【魂】
└【前世の記憶】
【肉体】
├【器用】
│ └〈剣技〉Lv6
├【敏捷】
│ ├〈回避〉Lv4
│ ├〈俊足〉Lv3
│ ├〈軽業〉Lv3
│ ├〈水泳〉Lv1
│ └〈跳躍〉Lv1
├【感知】
│ ├〈発見〉Lv1
│ ├〈索敵〉Lv2
│ └〈常在戦場〉Lv1
├【筋力】
│ ├〈格闘技〉Lv3
│ ├〈盾技〉Lv5
│ ├〈膂力〉Lv3
│ └〈瞬発力〉Lv3
└【体力】
├〈持久力〉Lv4
└〈持久走〉Lv1
【精神】
├【知力】
│ ├〈集中力〉Lv6
│ ├〈記憶力〉Lv10
│ │ ├〈模倣〉Lv5
│ │ ├〈写真記憶〉Lv3
│ │ └〈記憶の図書館〉Lv3
│ │ └〈検索〉Lv3
│ ├〈錬金術〉Lv3
│ ├〈指揮〉Lv3
│ └〈戦術思考〉Lv2
└【魔力】
├〈魔力操作〉Lv5
├〈魔術制御〉Lv5
├〈魔力圧縮〉Lv4
├〈闘気法〉Lv3
├【精霊語】
│ └〈水の精霊術〉Lv1 new!
├【水属性】
│ └〈水魔術〉Lv4
├【光属性】
│ └〈光魔術〉Lv3
└【情報属性】
└〈情報魔術〉Lv1




