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第一話

新連載です。まったり進行していきます。

「ロイク様! ロイク様~!?」

 

 マリアベルが僕のことを探す声がする。

 書棚に読みかけの本を戻すと、そっと扉に向かい、部屋の外に誰の気配もないことを確認して、素早く書庫から出た。

 冬の冷たい空気が廊下を満たしており、思わずブルリと震えた。

 

「ロイク様~? ……あっ、いた!!」

 

「やあマリアベル。どうしたの?」

 

「ロイク様、どこにいらしていたんですか? いえ、それよりも剣技の先生がお見えになっていますよ」

 

「しまった、もうそんな時間か。すぐに支度をして行くよ」

 

「はい。お手伝いします」

 

 自室に戻って、動きやすい服装に着替える。

 貴族の三男坊に生まれた僕の普段着は上等な品であり、汗や土で汚すわけにはいかない。

 

 木剣を手にして、僕は中庭に出た。

 

 

 

 中庭では剣技の先生であるアーヴァングが直立不動で待っていた。

 

「お待ちしておりましたぞ、ロイク殿」

 

「申し訳ありません。冬は時間が過ぎるのが早いですね」

 

「また書庫ですかな?」

 

「……ええ、まあ」

 

「確かこの前、寒い書庫でお風邪を召されてからはしばらく書庫の出入りは禁じられていたはず。もう禁は解かれたので?」

 

「……いえ」

 

「それはいけませんな。まあともあれ運動をして体力をつければ、冬の風邪など吹き飛ばせましょう。さあ、素振りから入りますぞ」

 

「はい。よろしくおねがいします」

 

 脳筋理論だが、僕が書庫に出入りしていたことをとやかく言わないのはありがたい。

 

 〈模倣〉でアーヴァング先生の素振りを写し取りながら、正しい型を身体に馴染ませる。

 

「ロイク殿は六歳とは思えないほど綺麗な太刀筋で剣を振るわれる。まったく将来が楽しみです」

 

「恐縮です」

 

「では打ち合いといきましょう」

 

「はい」

 

 ここからは実戦だ。

 〈模倣〉はあくまで素振りの型を写し取ることにしか使えない。

 今の僕の身体能力と剣技の腕前では、アーヴァング先生に一太刀を浴びせるのも至難の業だ。

 

 これでもかというほど地面に転がされて、剣技の授業は終わった。

 今日もアーヴァング先生は強かった。

 

 

 

 汗を流して着替える。

 剣技の授業の後は昼食を挟んで、今日は歴史の授業が待っている。

 座学は得意だ。

 五歳で前世の記憶を取り戻してから、文字を習得して書庫にこもっては読書に勤しみ、溜めた熟練度を〈記憶力〉に割り振り続けたからだ。

 

 最初は座学に関することに特化して、末は学者か魔術師にでもなろうかと考えていたが、〈記憶力〉から派生して習得した〈模倣〉が剣技に応用可能だったので、将来の選択肢が増えた。

 

 ……とはいえ剣技は自力で伸ばして、溜めた熟練度は〈記憶力〉に特化して割り振るつもりだけど。

 

 とっくに暗記した歴史書を開き、授業を難なくこなす。

 夕刻は自由時間なので、再びこっそりと書庫に忍び込んだ。

 本を読むことで熟練度が溜まるうえ、〈記憶力〉のおかげで内容を暗記し知識が増えて一石二鳥なのだ。

 つくづく貴族の家に生まれて良かったと思う。

 これが平民だったら、本など一冊も家に置いていないだろうから。


 ロイク・ルークエンデ(男/6歳)

 

 【魂】

  └【前世の記憶】

 【肉体】

  ├【器用】

  │ └〈剣技〉Lv1

  ├【敏捷】

  ├【感知】

  ├【筋力】

  └【体力】

    └〈持久力〉Lv1

 【精神】

  ├【知力】

  │ ├〈集中力〉Lv1

  │ └〈記憶力〉Lv5

  │   ├〈模倣〉Lv1

  │   ├〈写真記憶〉Lv1

  │   └〈記憶の図書館〉Lv1

  └【魔力】

    ├【水属性】

    └【光属性】


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