001 いきなり、拉致!?
「今日もお姉さんに声を掛けられなかったぜ」
残念な気持ちを隠しきれずテンション高めで言ってみた。
今は夜。誰もいないであろう路地裏に一人佇む僕は、暖かくなった来た春を感じつつ歩く。数ヶ月前は冬で立っているだけでも凍え死にそうな程の寒さだが、それがだいぶ緩和されてきている。
にしても本当に誰もいないな。今日で見事100日経った。何がって? お姉さんからの逆レイプだよ。やはり、お姉さんの逆レイプに限るな。そんなことを夢見つつずっと夜を歩き回っているんだが、田酔したお姉さんや、性欲を持て余している人妻にも一切会わない。ここが田舎だからであろうか? だが、諦めない。いずれか来るお姉さんのために。
あれ!? あれは人なのだろうか? まさか!? 来ているのか? 魅惑のお姉さんが!
急いで行っても相手を困らせるだけだ。ゆっくり歩いていって自然な形で声を掛けよう。見たところ高身長で身体もしっかりしている。逆光でよく見えないが多分美人だ。それにしてもガタイが良すぎないか? あ! 少しだけ顔が見え・・・・・・
「ん?」
「ん?」
男だ。昼は仕事に精を出し。夜はジムに行って毎日筋トレ。そんな生活がかんたんに想像できる。ムチムチではない。ムキムキだ。いらないよ、そんなサービス。
「あ、すいません。人違いでした・・・・・・」
「待て」
その形相は幼稚園生が見ようなら3秒と経たずにビャービャー泣きそうな鬼の形相。怖ぇ~。そんな男が僕に対してなんの用事だ。僕は善良な市民かつ成績は優秀だ。
「内臓なんか売りませんからー」
テンパったらしい。アホなことを言ってしまった。
「お前が、内臓を提供してくれる人か?」
おい、確かに僕は冗談で内蔵のことを考えたが・・・・・・お母さん、お父さん、そして、愛する妹よ、ありがとうございました。僕はしっかり生きました・・・・・・
「おい、何をボートしてるんだ?」
「はっ! いえ、すいません・・・・・・」
「で、内臓は」
僕は走った。全力だ。
さっきのは冗談じゃないらしい。さっきは死のうとしたが僕はやはり生きたい! そう、ここから逃げて第二の人生が始まる。見事逃げ切った僕はその人生の経験を活かして・・・・・・
秒で捕まった。そりゃそうだ。クソ!! せめてお姉さんの逆レイプぐらいは・・・・・・ちょ、おい!? いきなり縄で締めるなよ! 美味しくないぞ! て!? 尻触んな!
気づいたとき、そこら中には冬のはずなのに蒸気がこみ上げてきそうな筋肉の持ち主が周りにたくさんいた。僕そんなモテるの? 男に? 確かに僕はそこそこモテるが・・・・・・
イテッ!!
いきなり電気が走ったような痛みに襲われる。事実電気が流れて意識を失ってしまった。そこからの記憶はなかった。
お読みいただいてありがとうございます。
どんな展開になるのか僕が一番楽しみかもしれません。
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