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第4話

「大地の精霊よ、どうか私たちと同じ地に暮らす友を救うための道標をお示しください」


 アリアがそう言葉を発すると地面の土が音も立てずにえぐれ、それが道を作っていく


「凄いわ、こんな力があったら農業も楽でしょうね」


「ありがとうございます、それでは行きましょうか。あんまり離れないでくださいね」


 作られていったトンネルを進んでいく途中に俺はふと思いついたことを尋ねてみた。


「この力っていつから使えるようになったんだ? それと他に使える人もいるのか? もしそうなら祝福(ギフト)っていうよりは魔術に近いってことになるが」


「使えるのは私だけですね、物心ついたころにはいつの間にか話せましたしいつからっていうのは覚えていません」


 申し訳なさそうに言うアリアに気にするなと伝え歩き続け、しばらく下りたり上ったりを繰り返していった。


「到着しました。この上を突き破れば辿り着けますが少し待っててくださいね……はい大丈夫。上に警備の人はいないみたいです」


「凄いな。ひょっとしてこれも大地の精霊の力か?」


「はい、土を通して見てもらいました。この村の大きさくらいなら大体どうにか出来るんです」


「へー、それじゃ他にもできることってあるのか?もし出来るんなら頼みたいこともあるんだが──」


 俺はアリアに少し相談してみることにした、あくまで策の一つだが使わなければそれでいいし使うことがあれば御の字だ。


「話があるなら後にしなよ、こんな暗いとこで話すより出てからのがいいんじゃない?」


「もう終わったから大丈夫だ、それに策を練っとくのは悪くないだろ? 一応姿も消しとけよ、見つかるチャンスは減らしたい」


「それもそっか。姿はりょーかい」


 サヤが姿を消したのを確認して地上に出る、そして目に入ってきたのは部屋と評していいのか分からない周りを土の壁に囲まれた一室と急造されたのであろう牢屋、そしてその中に放り込まれている老人だった。話に聞いているのとは違い地下室もあったのだろうか?そんなことを考えているとアリアがたまらず駆け出していった


「おじいちゃん!?」


「アリア!?どうして村に戻ってきた!」


「ごめんなさい……でも心配だったから」


 申し訳なさそうに続ける彼女を遮ってとりあえず話を聞くことにした。


「謝る必要はないぜアリア、俺はライルでこいつはサヤっていいます。あなたたちを助けに来ました」


「その気持ちには感謝するよ、だがもはや生き残りは儂しかいない。助けるというならアリアを連れて帝国の手の届かないところにまで逃げてくれないか?」


「生き残りがおじいちゃんだけって……一体あの人たちは何でそんな酷いことを?」


「それは──」


「一つは神樹伐採のため、そしてもう一つは精霊の声を聞けるという巫女の調査だ」


 離れたところにある階段の向こうから聞こえてきたのは昼に出会った男の声だった。


「ヴァルトか」


「ああ、誰かが入ってきたら分かるようにはしておいたんだけどまさか旅人の人連れてくるとは思わなかったぜ」


「まさか……最初から私を誘い込むつもりで?」


「そうだ、変装されたり魔術で姿を変えられたら分からないし最初から来てもらえるように仕組んでおいたってわけだ。村人から情が深いって聞いてたし下手に騒ぎ起こされて部下を巻き込まれても困るしな、作物隠しとく部屋があって助かったぜ」


 先ほどまでの気安さはなりを潜めその眼光はこちらの一挙手一投足に注視している。


「ふざけないでください! 私を捕まえるために無関係な村の人たちまで巻き込んで!」


「どの道全員死んでもらう手筈だ。だが誰もお前の居場所について口を割らなかったからな、敬意を表してお前たちの宗教に従って埋葬はさせてもらったよ」


「相変わらず帝国騎士ってのは上から目線だな、お前の流儀に合わせてやったから殺しても感謝しろだなんてよ」


「そういうつもりはないが確かに自己満足だな、反省しよう。それで君たちはなんなんだ? もし巫女に雇われた冒険者や傭兵だというなら手を引いて巫女を渡してくれないか、しばらくしたら帝国の手により彼女も指名手配されるはずだ。決して君たちの経歴の傷にはならないと帝国騎士の名において誓おう」


 ヴァルトは提案という体を取りながらも一切気を許した様子はなくこちらに目線を向けてくる。


「断るって言ったらどうする?」


「無論斬る。改めて渡してくれとは言うがその口ぶりならば渡すつもりはないんだろ?」


「話が早くて助かるぜ、反帝国同盟の一人ライルがお前をぶった斬る!」


「なるほどどこの奴かは知らないが敵対者なら遠慮はいらないな! 帝国騎士団第二部隊部隊長ヴァルト、鉄壁の祝福にてお前たちを始末する」


 奴はこちらに向き直り、常人ならその敵意だけで足が竦むだろう敵意を向けてきた。


「下がっててくれアリア、俺を信じてくれたことを後悔はさせない」


「女性を前に出さないことだけは評価しよう、だが俺の祝福は無敵の盾だ。魔術師ならともかく剣士に過ぎないお前が勝てる道理はないと思うがな」


 剣すら抜かずにこちらを挑発する彼に向けて俺は飛び掛かる。


「そうか、やってみないと分からねえだろ!?」


 そう言いながら俺は目の前の敵に向けて剣を振るう、その刃で一撃で首を落とさんと。サヤの剣に切れないものなど祝福であってもありはしないのだから。

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