第18話
「ラウルさん!」
アリアが走りこちらに向かってくるのが見える、全くそこまで焦らなくて言ったのにとため息をつくしかない。最もそうするだろうというのは分かっていたが……まあこちらが頭を抱えているのは
「勿論ちゃんと助かる手立ては用意してあるんでしょうね?」
「当たり前だろ、じゃなきゃお前を巻き込むか」
一緒に落ちていくサヤの方だ、笑顔というものは本来攻撃的なものだと誰かが言っていた気もするがまあこいつを見るに間違っちゃいないだろう。
「ちょっと痛いぞ、剣に戻っておいてくれ」
「そのつもりよ、死んだら承知しないから」
一瞬で姿が揺らぎ消えていくサヤを尻目に目を閉じる、ここから必要なのは痛みに耐える覚悟だけだ。すぐにバキバキと音を立てて折れた枝が顔に触れ傷をつけるのが分かる。
(覚悟はしてたが痛えなチクショウ!!)
その勢いのまま大きな枝を掴む、予想はしていたがやはり勢いのままにへし折れてしまった、そのまま地面に突き立てられるように倒れれば最善だったがやはりそうもいかない。枝に引っかかることもできなかったので落下の衝撃に耐えるために姿勢を丸め剣を離れた場所に投げておく。
「があああああああああ!!!!」
一気に叩きつけられるような衝撃の後にどぼんという音を立てて体が沈む、あとはアリアを待つだけだが
「今助けます!」
そのまま投げられたロープを掴む、意外と彼女の力が強いことに驚かされる。
「ちゃんと木に繋いだか?」
「はいっ!!」
ならば彼女を信じ体の力を抜いて引っ張られるままに身を任せ、すぐに引き上げられた。
「えっと……大丈夫ですか?」
「まあまあ大丈夫じゃない、俺のバッグの中に紋章が描かれてる札がある、それを持ってきてくれるか」
「分かりました、すぐ持ってきます」
言い切る前から駆け出した彼女はすぐに戻って来た。サヤが取ってきてくれていたみたいだ、こういう時に言わなくても理解してくれる彼女は本当にありがたい。
「はい、これですね?」
礼を言って受け取ってから千切って傷口に当てる。
「あー、大分よくなった。助かったぜ」
「えっと……それは何ですか?」
「呪文が込められてる札だ、今回は治癒の魔法が込められてるやつだな。俺は魔法使えないしこういうのがないと旅は辛いんで常に持ってるんだ」
「安くはないけどね、それでどうやって助かったのか説明してもらっていいかしら」
「見りゃ分かるだろ?落下の衝撃を枝で殺して緩くしてもらった地面に落ちて耐えただけだ」
「馬鹿なの?」
サヤが口うるさくなる時は全てが解決した時だ、これで問題ないのは間違いないだろうがさすがに言い返さないわけにもいかん。
「それ以外方法あるか?」
「まあまあ、サヤちゃんも心配してたんだし、それにドラゴンも倒せて結局無事だったんだからいいじゃない」
俺とサヤの間に挟まれて困っているアリアだが今の彼女にかけられる言葉はない、とりあえずは帰ろう。これでドラゴンの件は解決したのだから。




