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13話

「ライルさんサヤちゃんようやく見つけた、私も連れて行ってもらえませんか?」


 買い物の途中に村を見て回っていると息を切らせたアリアが声をかけてきた。


「え、ドラゴン退治に女の子連れてくってのはさすがに……危険だしなあ」


「おい」


 いつものように私はいいのかと軽く足を蹴ってくるがそれほど力は入っていない、多分俺と同じ気持ちなんだろう。別にこいつに心配かけたいわけでもないし巻き込みたくないのも分かる、だからって止める理由はないしまずは話し合って考えてみよう。


「それじゃ理由聞かせてくれよ、俺らが心配だからとかこの村のためにっていう理由で危ない橋を渡ろうとするってんなら止めるぜ。さすがにそのくらいで命かけさせるわけにはいかねえからな。そうじゃないっていうなら納得させてみな」


「ライル!! どういうつもり?」


「本気で来たいならどうせ勝手についてくる、生半可な気持ちなら説得すればいい。それでどういうつもりなんだ?」


 声を荒げるのを無視してアリアに目線を合わせ黙って答えを待つ。


「私は……二人と旅をするのが楽しかったです。あんなことがあってすぐにこう言うのもなんですが辛い気持ちを引きずらなかったのはあなた達のおかげなんです」


「いつか大きな戦いに身を投じるのは分かっています、それでももう少し一緒にいたいって思った、でも足手まといになんてなりたくない。だからここで私にも戦えるってことを証明したいんです」


「……それは帝国と戦うってことか?」


思わず語気を強めてしまう。もし本気でそう言ってるのなら帝国というものを甘く見すぎているだろう。


「そこまでは考えてないです、でも私にできることを考えてそれでやりたいことを考えたらこうなっちゃいました」


「……アリアって結構わがままよね」


 ため息をついたサヤに手を置きながら心の中で同調する、勿論そういうのは嫌いじゃないが。


「えへへ、でもお爺ちゃんにも頑張れって言ってもらいましたし……ダメですか?」


 これはどうしようもないな、昔の自分がそうだったようにやりたいことを思いついてしまったなら仕方がない。


「危ないから前線には出るなよ、術師の役目はそういうものじゃない。それでいいならな」


「ライル!!」


「落ち着けサヤ、最近怒ってばかりだな」


「あんたこそ自分がやろうとしてることわかってるの? ドラゴンは厄介な相手よ、誰かを守りながら戦うなんて」


「サヤがいるのにか?」


「ええ、私は無敵でも盾でもないんだから。気を取られてあんたが死ぬのも守り切れなくてアリアが死ぬのも私は嫌よ」


「私にはお爺ちゃんがいます、そして村のみんなが逃がしてくれたから今の私がいるんです。だから私はこんなところで死んだりしません」


「あーもうホント強情なんだから!」


 3回ほど聞こえるようにため息を吐いてが諦めたようだ。


「来るのは構わねえが怖かったり怪我したらちゃんと逃げろよ。俺に止める権利なんてないけど仲良くなったやつが死んだら寝覚めが悪いしな」


「ありがとうございます、それなら全力で援護させていただきますね」


「なら爺さんに行くって伝えときな、何も言わず心配かけるのは無しだぜ」


「もちろんです、さっそく行ってきますね」


「はい、何が言いたいかわかってるわよね」


 花が咲いたような笑みで駆けていくアリアの姿が見えなくなってすぐに笑顔を向けてくる。


「勿論だ、だが何も考えてないわけじゃない」


「ふーん、それじゃ聞きましょうか」


 張り付いたかのような笑顔で近づいてくるのは正直怖い。


「アリアは魔物との戦いを知ってるわけじゃないし村での戦いも怯えてるどころじゃなかったからさ、きっとどうにかなるって思ってるんだと思う」


「ならさ、本物の魔物を見る機会を作ればいい、そうしたらもうこんな真似しようって思わないだろうし爺さんと仲良く暮らせるだろ」


「それで日常の大切さに……とか思ってるのね」


 笑顔を崩し一気に呆れたような顔をされるとさすがに罪悪感が出てくるがこれは譲りたくない。


「そうだ、だから協力してほしい」


「別にいいわよあなたが勝手に話進めちゃったし、けどちゃんと守りなさいよ。まずはその分の装備も追加で買うけど勿論お金は出してくれるわよね?」


「勿論だ、俺のために使うようなもんだしな」


 怒ったような声で背を向け店の方に戻るサヤの後を追いかける。


「アリアが最初に魔物に襲われてたの忘れてるのかしら」


 これが終わったらどうやってサヤに礼を言うかを考えているとサヤが小声で何かを呟く。内容までは聞き取れなかったが皮肉の一つくらい飛ばされても仕方ないだろうな。

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