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後輩ティータイム  作者: ゆめ
第2章 先輩くんを惚れさせたい
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同級生ちゃんとリストバンド


 店内にはさまざまな匂いがある。

 ツンとした薬品の匂いがする場所があれば、ゴムの香りがするところ、衣類が売っている所では、新品の服独特の匂いがある。


 スポーツをやっている人ならば、こういうお店に来ると必ず興奮する。


 自分の専門外のスポーツの商品でもつい気になって見てしまう。


 しかし今回はなつきのお買い物が優先。


 なつきの先導の元、バスケットの商品が並んでいるコーナーへ。


 まずはテーピングなど、部費で買えない消耗品などをチェックする。


「何が買いたいの?」


 お店に入る前になつきが買いたいものがあると言っていた。


 もしかすると、俺をこのお店に連れてくるための冗談かもしれないが、一応聞いてみた。


「え!?ええと………」


 やはり、予想は当たっていたようで、特に買いたいものは無いようだ。


「あ、リストバンドは欲しいかも」


 思いついたように、なつきは言う。


 リストバンドか。


 試合でつけている人は、別に珍しくもなんともない。


 他のスポーツではいろいろ規制が厳しかったりするのだが、バスケットはそこまでサポーターなどの身に着けるものには厳しくないイメージだ。


 しかし、俺は「一年生でそんなのをつけているのは生意気」という強豪校独特の訳の分からない風習のせいで、なにも身に着けずにバスケをしていた。


 それに、利き腕にテーピングやサポーターなどをしていると気になってうまくプレイができなかった。


 なつきはもう二年生だし、女バスはそこまで先輩後輩の上下関係は厳しくないので、リストバンドはつけることができるだろう。


「いいじゃん。かっこいい」

「前から興味はあったんだよね」


 そう言って、リストバンドが並んでいる棚を二人で見る。

 こうしてみると、いろいろなデザインがあって格好いい。

 バスケはもうしていないが、個人的に欲しくなってしまう。


「どんなのがいいかなぁ」


 なつきも楽しそうに悩んでいる。


「青なんてどう?」

「一ノ瀬さん?」

「なんでそうなるんだよ」


 俺はただ色の事を言っただけなんだが。


 紛らわしい名前をしないでくれよ、我が後輩。


 まぁ、あおに似合うリストバンドがあるとすれば、青系統の色だろうな。


「ただなつきっぽい色を言っただけだよ」

「なるほど………青ね………」


 そう言って、なつきは青色のリストバンドを手に取る。


「よし、決めた。黒にしよっと」


 おい、人の話聞いてなかったのかよ。


 かなり傷つきつつも、なつきから黒のリストバンドを取り上げる。


「これくらい買ってあげるよ。なつき頑張ってるし」

「え、いいの?悪いよ」

「気にするなよ」


 そう言って、レジへと向かう。


 格好をつけたが、別に大した値段ではない。


 お会計を済ませ、なつきにリストバンドを手渡す。


「ありがと」


 なつきは少し照れた様子で、受け取って、口を開いた。


「律、これ、お揃いにしない?」


 そう言って、リストバンドの二つあるうちの一つを取り出し、俺に差し出す。


「いいの?」


 俺がそう尋ねると、なつきは笑って答えた。


「うん。律とお揃いにしたかったんだ」


 俺はリストバンドを受け取る。


 それを見てなつきは納得したように言った。


「やっぱり、律は黒が良く似合うよ」


この作品が少しでもいいなと思ったら、★★★★★、感想、ブックマークをよろしくお願いします。


もうじき100話になりますね。

たくさんの方に読んでいただき、本当に光栄です。

ぜひ、感想などもお聞かせください

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