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後輩ティータイム  作者: ゆめ
第2章 先輩くんを惚れさせたい
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同級生ちゃんと映画


 映画へ向かう道のりは、基本的に俺が話題を振っていた。


 決してなつきが上の空という訳ではなく、何かで落ち着きがないといった感じだ。

 察するに、何か伝えたいのだが、上手く伝えられない、伝える勇気がないのだろう。

 なつきが考えていることを何となく察しつつも、あえてスルーして映画館へと向かう。


 到着して、まず券を買う事にした。


「で、結局なんの映画を見るのさ」

「うん。これにしようかなって。いい?」


 いくらなつきの落ち着きがないとは言え、ここに来るまでに絶えずにお話をしていたのだから、お互いの緊張も解け、気まずさも無くなる。


 いつも通り、と言うより、少し懐かしい二人だけの距離間で会話をする。


 ちょっとだけさっぱりとしたなつきの口調は、やはり付き合っていた時の事を思い出す。


「いいよ。カップルシートでな」

「えー。それ私が言おうと思ってたのに」


そんな感じで、仲良くカップルシートの席を購入した。

上映開始からしばらくたっている映画なので、かなり空いていた。


内容はホラー。かなーーーーり怖いらしい。


俺はホラーはそこまで苦手ではないが、なつきはどうなのだろうか。

まぁ、多分と言うか、絶対得意ではないだろう。


「どうする?ポップコーンとかジュースとか買う?」


映画といえばポップコーンだ。

満席の時だと隣の人に気を使って最初から買わなかったりするのだが、今日は空いていたし、カップルシートなので、気を使う必要もない。


だがしかし、なつきは恐らく買わないだろう。


「ううん。私はいいや」

「そっか。俺もいいや」


 結局食べ物や飲み物はお互いに買わないという事で、適当にブラブラしながら上映時間を待った。


 そして上映十分前、入場が開始されたので、シアターへ。


「「うわぁぁ」」


 自分の席を見るなり、俺たちは声をもらした。


 そこには三人は座れそうなソファと、クッションが二つ。


 なんか、エロい。


 きっとなつきも同じ感想に違いない。


「なんかすごいね……」


 なつきが驚いたように答える。


「カップルシート初めてなの?」

「当たり前だよ!」

「てっきりいろんな人と座ってるかと……女の子とか」

「どう思われてるか知らないけど、私にそんな趣味は無いです」


 頬を膨らませたなつきは、ソファの向かって左側に座る。


 俺も横に、やや距離が開くように座った。


 数分間、小声で話しながら上映開始を待つ。


「ねぇ、さっきの」

「ん?」


 一段階部屋が暗くなったところで、

「こんな席に座るの、律とだけだから。勘違いしないで」


 …………ツンデレみたいなセリフ言うなよ。


「分かってるよ」

「………」

「………」

「手、繋ぐ?」


 今日出会ってから、なつきはずっと俺と手を繋ごうとしていた。


 ちょんちょん指先を触れさせてきたり、今ももう肩が触れているくらいに密着したり。


 分かっていつつも、気づいていない振りをしていたが、もういいだろう。


 なつきは頑張っていたので、おれも手が繋ぎたくなった。


「…………うん」


 きっとなつきはいきなり掴まれるのが好きなのだろうが、今回は許可を取って手を握った。


 細くて長くて、普通よりは大きいけれど、柔らかくて触り心地のいい女の子の手だ。


「ご、ごめん。私汗っかきだから、ベタベタしてるよね」


 焦ったようになつきは言う。


 一瞬引っ込みかけた手を、ギュッと掴んだ。


「うぅ……」


 ここは映画館なので、大声で抗議さてることもない。


 なので、俺は存分になつきの可愛い反応を楽しんた。


「付き合ってる頃みたいだね」


 付き合ってるみたいだね


 という意味をはらんだこの言葉は、カメラをかぶった男が捕まった音にかき消された、


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