後輩ちゃんとバブみ
「もう一回………言ってもらってもいいですか?」
あおは言われたことが信じられないように、もう一度問う。
俺は無表情のまま答えた。
「キス、しようよ」
「キモイです」
「あれ?」
あおはジト目で冷めた口調で言う。
即答だ。
「話のながれ的に『私!先輩のためならどんなことだってしますぅ!』って言うだろ普通」
「いや、さすがにドン引きですよ。私の唇はそんなに安くないです」
「頭おかしいんですか?」と言わんばかりの目線を向けてくる。
自分でもなぜ「キスがしたい」などと言ったのかは分からないが、ここまで拒否されるとは思わなかった。
「はぁー」
イライラと、自分が何を言っているのだという感情が、倦怠感となって襲ってくる。
普段ため息は全くつかないが、今日は不思議と漏れてしまった。
「…………」
あおは数秒固まって俺を見ている。
お前なんだぞ、こんな気持ちにさせた根源は。
「んしょ、」
すると、何を考えたのかあおは俺のすぐ横、身体が完全に密着している所に腰を下ろす。
「……何やってんの」
「先輩を慰めてあげようかなって」
「別に落ち込んでないけど……」
「いいからいいから」
そう言って、落ち着いているが上機嫌にあおは俺の肩に頭を預ける。
「先輩、汗臭いです」
「うっせ」
そういうあおはシー〇リーズのいい香りがした。
爽やかで涼しい香りはあおの印象に凄くあっていて、CМに出演しているどんな可愛い女優よりも、あおの印象が強い。
この距離間でもドキドキせずに、落ち着いているのは、俺があおに恋をしていないからだろう。
でも、なんで俺はあおが告白されているのを見て、あんなにイライラしていたのだろう。
考えることが面倒になった俺は、いつの間にかイライラしていたことや、倦怠感なんて忘れて、力を抜くように、あおの体温を感じる。
「先輩って甘えん坊ですか?」
「年上のお姉さんにはな」
「そうでちゅか。今度はおしゃぶりとガラガラで甘えさせてあげまちゅね。よちよち」
煽っているのか、元気を与えようとしているのか。きっと後者だろう。今のあおは一緒に居て心が落ち着く。
「なぁ、あお」
「なんです?」
「あとちょっとだけ、このままで頼む」
「キモイですね」
先ほどと同じ返答が返ってきたが、今回は、あおが俺のお願いを拒まなかった。
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