先輩くんとイライラ
「チッ、」
ぺり、ぺり。
先ほどから紙パックについているストローが取れない。
ベリッ、
力が入りすぎて、袋ごと取れてしまった。
「んだよ……」
雑にストローを紙パックに差し込む。
自分でも、なぜこんなにイライラしているのか分からない。
先ほどの告白をのぞき見してしまったからだろうか。
すぐに通り過ぎたので、あおの返答を聞いていない。
あおがモテるのは知っていたことだ。
それに運動会であれだけ目立ったのだ。告白されても驚きはしない。
でも、なんだよ………なんでこんなにむしゃくしゃするんだ。
ミルクティーを、ズビビと強く吸う。
「あ!先輩!やっぱりここにいましたね!約束通り、おごってもらいますよ!」
そんななところに現れたのはあお。
まるで何事もなかったかのように、あまりにもいつも通りだ。
「遅かったな。なんかあったの?」
「ん?なにもないですけど……」
なんでそんなことを聞いたのだろう。
なんで、あおは嘘をついたのだろう。
感情が交錯する中、俺はどんな顔をしているのか分からない。
しかし、あおは俺の異変にすぐ気が付いたようで、
「先輩、どうしたんですか?」
心配そうに、覗き込んでくる。
なんだよ。それ。
もし俺がここで本音をぶつけてしまえば、あおはどうするんだ。
もやもやした感情は、以前、強くなっていく。
「キス、しようか」
俺の口からは、無意識に言葉が漏れた。
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