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後輩ティータイム  作者: ゆめ
第2章 先輩くんを惚れさせたい
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同級生ちゃんのビンタ


「律大丈夫⁉」


 午前も種目が終了し、教室に戻る途中、なつきが心配して話しかけてきた。


「大丈夫だ………メンタルの方はあんまり大丈夫じゃなかったけれど」

「もう……無茶しないでしょ」


 とりあえず一安心するなつき。


「あの人……許さない」


 なつきが笹山を殺しそうな目。怖ぇよ。


「くれぐれも、余計なことは言うなよ」


 俺の知らないところでなつきが笹山に文句を言いそうなので、釘を刺しておく。


 するとなつきは不満そうな顔を浮かべた。


「でも……だって」

「もう去年の事はいいから。お前は何も気にするな」


 先日なつきの家に泊まった時、思った。

 なつきはあの事件の事を、ずっと引きずっている。

 そのせいで、俺に固執している気がする。

 これではバスケも、女子高生として本来なら楽しめるはずの恋も、俺のせいで邪魔してしまう。

 なつきが好きになったのは、バスケットに全力で打ち込んでいた時の俺だ。

 いつまでももういない人間に捕らわれないでほしい。

 なつきには、もっと、自由になってほしい。


「俺なんか過去の男はさっさと忘れなよ」


 もし去年の出来事で俺に何か同情でもしているのなら、余計なお世話だ。


 俺のせいでなつきの邪魔をしているというのなら、忘れてもらった方がずっといい。


 その意図はなつきにも伝わったようで、

「………何それ」

「だから…」



パアァァァン‼



「………え、」


 ビンタされた。


 なつきは泣いている。

 もしかして、俺のセリフがキモかったから?


「ごめん、自意識過剰だった」

「そういう事じゃない!」


 違うんかい。


 てっきり「あんたの事なんてとっくに忘れてるわ!バカ!」みたいな事かと思ったのだが…


「私はそんなのじゃ……私は………」

「ご、ごめん。」


 その場に泣き崩れそうになるなつき。


 俺は謝る事しかできない。


 ど、どうすれば………


「私は今でも…!」



「あっ、二人ともここで何してるの…あっ、やばっ!」



「…………」

「…………」


 うん。


空気読んで隠れたのはいいけど、もう隠れても遅いぞ。まどか。

 どうしてくれんの、この空気。


「……ごめん」


 そう言って、なつきは走り去った。


 まどかが物陰から顔を出して「ごめん」のサインをしている。


 しばらく沈黙が流れる。


 さっきのなつきは何が伝えたかったんだ……


「どうしろってんだよ……」

 俺はその場に座り込んだ


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