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後輩ティータイム  作者: ゆめ
第2章 先輩くんを惚れさせたい
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先輩くんとボスゴリラ


 一位を走るあおに、俺と笹山はじりじりと接近していく。


 アンカーはトラックを一周走るので、なかなかに長距離戦だ。


「クソっ!」


 この異変に気が付いた生徒は、何人いるだろうか。


 俺と笹山は何度も激しい衝突を繰り返す。


 観客はこれも演出の一つだと思っており、衝突をするたびに盛り上がりを見せる。

 実際、部活対抗リレーでは、ラグビー部とレスリング部のタックルは認められているし、演出としてある。


 しかし、この笹山のタックルは明らかに悪意しかない。

 全力疾走しながらのタックルなので、あまり力は無い。


 もう!すっっっごく危ない!さっきから何回もコケそうになってるから!


 もういっそ減速して前を走ってもらおうと思ったが、ここで俺が後退すれば、あおがあっという間に抜かされるだろう。


 正直、あおは足が凄い速いという訳ではない。

 それでも、俺と笹山に抜かされずにいる理由は、俺と笹山が足を引っ張りあっているからだ。


 あおが笹山に負けるのはなんかイヤだなぁ………


 笹山が勝者面して、胴上げされている姿を想像する。


 うわぁ、ムカつく。


 ここはやり返しが怖いが、笹山には負けてもらおう。


「おらっ!」


 笹山がタックルをしてくる。


 その度に俺はコケそうになり、必死に堪える。


 頑張れ俺、頑張れ俺!


「律―!頑張れーー!」


 そんな時、声が聞こえた。


 声を張るのは苦手と言っていたのに、必死に応援しているなつきの声。


 そんな声に励まされるかのように、俺は………


「えいっ」

「⁉」


 笹山の足を引っかけた。


 完全に悪役のする汚い手である。


 なるべく自然にやったつもりだ。たぶん周りの人には不審に思われてないはず。


 そのまま笹山はすってんころりん。見事にコケた。デカい身体をしている分、それはもう無様なコケ具合だ。


「はっはっは!待ってろー!一ノ瀬――――!」


 気分が乗った俺は、なるべく気持ち悪くなるように、声を上げる。

 一応学校では俺とあおは他人の設定なので苗字呼びで。


「きやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!来ないでくださぁぁぁぁぁぁい!!!!」


 えぇ……そんな必死に逃げないでよ………


「待てぇぇぇええええええええ!!!」

「まじで怖いです!ほんとに!」


 おっと、どうやら本当に怖いらしい。


 周りの生徒も冗談ではなく、真剣に心配している。


 これじゃ俺が完全に悪者じゃん。そうだけど。


 恐怖のおかげで、加速したあおは一位でゴール。


 俺は二位。すさまじい罵声が降り注ぐ。


 まぁ、なんだ。とりあえず、あおに怖がらせてしまったことを謝りに行こうかと思い、歩き出したその時。



 ドンッ!



 強い衝撃に、俺は押し倒された。


 ゴールした時に勢い余って衝突してしまったのだろう。


 誰かが乗っかっている。


「おおおおおおお!」

 歓声が上がった。


 目を上げると、笹山が、俺の顔の目の前に居た。と言うより、さっきまでべっとり触れていた。キスもしたかもしれない。


 …………こういうのって女の子がやるもんじゃなかったっけ?なんでボスゴリラなんだよ。


 ホモカップルが誕生した瞬間だった。


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