後輩ちゃんとシャンプー
遂にこの時が来た。
午前の授業を終え、休憩時間が訪れる。
沙紀の愛妻弁当を美味しく完食したところで、俺は第二体育館裏に来ていた。
そこには当然、あおもいた。
あの夏祭りのキス以来、ほとんど連絡を取っていないし、初めて会う。
なので、あのキスの事をどうしても思い出してしまう訳で…………
「あ、先輩、こんにちは」
「お、おう」
「…………」
「…………」
会話、終了。
いや気まずいなぁ………
多分お互いに暗黙の了解で、あのキスの事は無かった事にするつもりのようだ。
それに話題に出すと恥ずかしいし………
「今日先輩、ミルクティー奢ってくださいよ」
「まぁ、いいけど」
あおにお金を渡したところで気が付いた、こいつ、今なら俺におごってもらえると思ってたかりやがったな。
しぶしぶあおが相変わらず押せないでいるミルクティーのボタンを押す。
夏休みがあったとはいえ、あおの身長は伸びなかったようだ。
俺もミルクティーを購入し、いつもの定位置に座る。
夏休みが明けたが、まだむしむしと暑い気温。しかし、体育館裏は日陰になっており、少し涼しかった。
すると、
「ん、」
今日はいつも立っているはずの、あおが、横に座ってきた。
しかも結構近い。
涼しいはずなのに、なんだか汗をかいてきたんだが………
しかし、こういうのは気にしては負け、なにか「お前なんか近くない?」などと言ってしまえば、「先輩そんなこと気にするんですか?私は気にしませんよ」と、バカにされる気がする。
なので、あえて気にしないふり。
会話もあまり花が咲かないので、俺は携帯を取り出す。
沙紀に、弁当の感想を送信する。
もちろん、弁当箱を返すときに直接お礼を言うつもりだが、早く感想を伝えるに越したことは無いだろう。
「先輩、誰とメールですかって………弁当⁉」
俺の携帯をのぞき込んだあおが、履歴を見て驚く。
たしかに、「弁当美味しかった」と言っているのだから気にもなるだろう。
「どういうことですか先輩―!私と言うものがありながら浮気ですかー!」
「あー!もー!いいだろ!たまたま沙紀ちゃんに弁当作ってもらったんだって!」
「しかもよりにもよって沙紀ちゃんですか!?このおっぱい魔人!」
「男子高生がおっぱい好きなのは仕方ないだろ!大体お前も結構デカいだろ!」
「巨乳なんていずれ垂れるんですよ!所詮は脂肪の塊…………って、先輩。」
突然、俺にのしかかる勢いで騒いでいたあおが静かになる。
「シャンプー変えました?」
…………怖ぇよ。
さっと山本家のシャンプーを使ったからだろう。
しかし、素直に山本家のシャンプーを使ったと言えば、また騒ぎそうなので、泊ったことは伏せておこう。
「まぁ、いつもと違うやつだな」
するとあおは、
「何使ったんですか?」
「ええと………たしかL〇xだったかな」
「ふーん、そうですか」
「どしたん?」
「なんでもないですよー」
そう言って、ミルクティーを勢いよく飲むあお。
なぜか嬉しそうだ。
すると、その上機嫌のまま、あおは突然立ち上がって言った。
「先輩、二学期も、いっぱいイチャイチャしましょうね!」
久しぶりに見る学園のアイドル。
やはり、この後輩は可愛すぎる。
久しぶりのあおちゃんです。
ちなみにこの日の帰りにあおちゃんは新しくシャンプーを買って帰ったそうです。
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