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後輩ティータイム  作者: ゆめ
第2章 先輩くんを惚れさせたい
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先輩くんとママ



「……何やってるんですか」

「……あれ?」


 なつきの部屋から出た瞬間、目の前にはさつきさんがいた。


 さては、俺となつきが「そういう行為」をすると思って、盗聴しに来ていたのか。まったく、良い趣味をしている。


「ええと…………ごめんなさい」

「リビングで寝ます」

「…………はい」


 元からなつきが寝るまで待って、リビングで寝るつもりだった。

 さすがに女子高生と一緒に寝るなんていろいろ問題がありすぎる。


「ねぇ、何持ってるの?」

「これですか?クッションです。いい感じになつきの匂いがするんですよ」

「はぁ………」


 リビングに行くと、さつきさんがココアを用意してくれた。


 さつきさんも手にマグカップを持っているので、話したいことがあるのだろう。


 二人テーブルで向き合って座る。


「ねぇ、律くん。」

「はい」

「あなたたち、本当は付き合ってないんでしょう?」


 さつきさんは確信があるようで、これはもう嘘をついても仕方がないだろう。


「はい。去年に。訳あって別れました」

「そう…」


 何か言われるかと思ったが、意外にもさつきさんは返事をするだけだった。


「何があったのかは知らないけれど、二人で決めたことなのだから、私は何も言わないわ」


 コーヒーを一口飲んで、さつきさんは言った。


「ただ、なつきに寄り添ってあげて」


 最初は厳しく、最後は優しく言った。


「あの子、一時期凄く落ち込んでいたの。律くんの事だとすぐに分かったわ。娘をこんなに悲しませるなんて許さない、八つ裂きにしてやろう…………とも一時期思っていた。てゆうか旦那は実行しようとしていた」


 おいおいまじかよ。

 山本パパとは仲良くなれる気がしない。


「最近は目立って落ち込んでいる様子は無かったけれど、それでもやっぱり心のどこかで辛そうだった。」


 そうだ。なつきは、一年前の出来事を誰よりも引きずっている。


 きっと、これからもずっと。


「でも、今日のなつきは本当に楽しそうだったわ。」


 そこで、さつきさんの顔が笑顔になる。


 俺から見れば、今日のなつきは振り回されてばかりのようだったが。


「やっぱり、なつきには君しかいない」


 さつきさんは、そう強く言った。


 なんだか、気圧されてしまう。それだけ、この言葉に重みを感じた。


「まぁ、でも律くんが別の人を好きって言うんなら私は止めないけどね。あくまでもなつ×りつ推しなだけで」


 そうお茶目に笑うさつきさん。


 さつ×りつなんてどうですか?


「まぁ、でも中途半端はダメよ?」

「うぅ……」

「その反応、もしかして図星?」

「……………」


 面目ない………


「律くんも男子高生だもんねー」


 なんだその納得の仕方は。


 さつきさんは立ち上がって、ぐいっと、身を乗り出した。


「そういう時は、どっちの子がムラムラしているかで決めればいいわよ。私はそうやって旦那を決めた。」


 そう自信満々に言い張るさつきさん。


 なるほど、その決め方だと、胸がチラ見えしている今のさつきさんを選ぶことになるのですが、どういたしましょう。


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