同級生ちゃんと添い寝
「…………」
「うぅ……」
さて、現在の状況を説明しよう。
俺はなつきと一緒のベッドで寝ている。
時刻は十一時過ぎ、課題も無事終わり、いざ寝ようと思い、一階のリビングに向かったところ、さつきさんに、「今日は同じ部屋で寝なさい」と言われ、食い下がったものの、「なら私と一緒に寝るか、なつきと寝るかで選べ」と言われ、しぶしぶなつきと一緒に寝ることを選んだ。
不可抗力で仕方なくです。決して、喜んでなんていません。
なつきの部屋で寝ることになったのだが、最初は俺は床で寝るつもりだった。
しかし、なつきは自分が床で寝ると言い、俺もなつきより良い寝具で寝るのは気が引けるので引き下がらなかった。
結局、「一緒のベッドで寝ればいい」と言う謎理論に落ち着き、こうして二人、一緒のベッドで寝ている。
最初はなつきと一緒に寝れることを多少なりとも喜んだものの、現在は後悔している。
すぐ横には、美少女で、抜群のプロポーションを誇るなつきがいる。
しかし、俺は手を出すことができない。
思春期の男子高校生にこれほどの拷問があるだろうか。
万が一、なつきに手を出そうものなら、隣の部屋にいる沙紀にすぐにバレてしまう。
沙紀には、「お姉ちゃんに手を出したら通報しますから。いろんな人に言いふらして、社会的に殺します」と、首を刺されている。
それに元カノとはいえ現在はただの同級生、不順異性交遊はよくないです!
そう考えこんで、必死に欲求を抑え込む。
「ねぇ、律」
「なに?」
「もっとそっち行っていい?」
「ダメ」
おいおいこれ以上こっちに来て何をするんですかぁぁぁ!!?
もう俺一回寝返りうっただけでベッドから落ちるくらいギリギリのところにいるんだけれど、なつきこっち寄らなくてもスペースあるよね!?
「なんで……もういい、勝手に行くから」
「……」
いかん理性、もう少し堪えてくれ。
横からは、なつきの体温を感じる。
それに、先日凛と寝た時には感じなかった謎の感触も………
いかんいかん!こういう時は学校の生物の先生の裸体を思い浮かべるんだ……おえぇぇぇぇぇ!気持ち悪っ!
「ねぇ、一ノ瀬さんの事、どう思っているの?」
「その質問、流行ってるの?」
つい先ほども、沙紀に聞かれたばかりの質問だ。
「ただの生意気な後輩だよ」
俺は沙紀と同じ言葉を返す。
「ふーん」
何やら意味ありげな返事が返ってきた。
俺も結局、この質問に対してどう答えればいいのか分からない。
明確な答えは、なかなか出ない。
なので今は、「生意気な後輩」という言葉で片づけている。
天井を見つめて数秒。
「ねぇ、手、握っていい?」
「ふぇ⁉………いいけど」
先ほどまでムラムラしていたくせに、今では落ち着いている。
それはあの生意気な後輩の顔が浮かんだからだろう。
ただ、それと同時に、何かを確かめるように、なつきの手を取りたくなった。
「ハンドクリーム塗ったからベタベタしてるかも」
「手汗かと思った」
「さいてー」
ぎゅっ、っとなつきの手を握る。
俺とほとんど変わらない大きさの手。
でも、繊細で、柔らかい手。
こうしていると、ものすごく落ち着いた。
もう一度、なつきと恋人になったら。
もう一度、なつきと恋人になれたら。
夏祭り以来、いいや、それよりもずっと前から考えていた。
俺はもう一度なつきと付き合えるのかな。
俺はなつきの事を、今はどう思っているのか。
「すぅ…すぅ…」
横を見れば、なつきは眠っていた。
なつきは早起きなので、夜更かしは苦手だ。むしろ、この時間まで起きていたことが奇跡だ。
握った手を離さず、安心して寝ている。
これでは性欲もわかなかった。
可愛い寝顔を見る。
頬をつんと突っつくが、起きている反応は無い。なのでおまけに胸も少し突っついた。
もう一度、前髪をよけて、顔を眺める
そっと繋いだ手を放し、小さく呟いた。
「今でも、君が好きだ」
ーーーーーー
「ッ~~~~~~~!!!???」
律が部屋から出ていったのを確認して、私はベッドで悶えた。
え!?今律なんて言った⁉
私の事好きって言った⁉嘘でしょ!?嘘でしょ!?
わぁぁぁぁ!!!!心臓の音でよく聞こえなかったよぉぉ!!!
「うぅぅぅ……」
一通り悶え、私は呟いた。
「律のヘタレ」
くそう、こっちは期待したのに。
同級生ちゃん、凄く頑張りましたね!!
私も頑張りました
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