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後輩ティータイム  作者: ゆめ
第2章 先輩くんを惚れさせたい
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バレンタイン特別編3

放課後、結局引き出しにチョコを入れた犯人は分からなかった。


 今日はもう特にやることは無いので、適当に時間を潰して、帰るとする。


 放課後になってから一時間ほどたっているので、生徒玄関には誰も居ない。


 いそいそを靴を履き替えていると、俺の名前を呼ぶ替えがした。


 振り返ると、そこにはなつきがいた。


「やっと見つけた。もう帰っちゃったのかと思ったから……」


 俺を探して走り回っていたのか、少し息を切らしてなつきは言う。


 その手には、やはりチョコが握られている。


 少し息を整えて、なつきは俺の前へ。


 身長差はほどんどないのに、上目遣いで小さな声で言った。


「律、これ、一生懸命作ったから食べてください…………」


 両手で差し出されたチョコを受け取る。


「今食べてもいい?」

「う、うん……」


 幸いここには誰も居ない。


 チョコをここで食べても、誰にも見られることは無い。


 ラッピングを外すと、一口サイズのチョコが数個あった。


「あ、ちょっと溶けてる。ごめんね!ほんとは朝渡すつもりだったし、ずっと握ってて、私体温高いから………………」


 なつきのいう事を無視して、チョコを一つ、口の中へ。


「……うん。うまい。ありがとう」


 素直な感想を伝えた。


 すると不安そうだったなつきは顔になった。


「うん。食べてもらえてよかった」


 「かっこいい」や、「イケメン」と言われがちななつきだが、安心したように笑うなつきは、ものすごく女の子らしかった。



「あ、チョコ、指にについてるよ」



ちゅっ、



「⁉」

「………ばいばい」

「おう………」


 今のはイケメンすぎだろ…………




放課後の教室。


 私は自分の階よりも一つ上、二年生の階の教室へと向かった。


 そして、とある人の引き出しを除く。


 そこには、朝私が入れておいたチョコは無かった。


「食べてくれてるといいな」


 誰も居ない教室でぽつりと呟いた。


ぴこん、


 携帯には、お姉ちゃんから、「チョコ渡せたよ!」と、スタンプ付きのメッセージが着ている。


 「よかったね」と短く返して、その人の席にちょこんと座る。

そのまま机に伏せて深呼吸した。


 この気持ちは、まだ内緒にしないとね。



バレンタイン特別編は終了です。

次回からいつも通りに戻ります


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