後輩ちゃんの気持ち2
彼を私のデビュー戦の練習試合に誘った翌日、私はいつも通りに朝早く登校しての秘密のシュート練習をしようとしていた。
体育館のカギを職員室から借りて、第二体育館へ。
すると、無人のはずの体育館からはドリブルの音が聞こえた。
こっそりと覗いてみる。
そこにいたのは、入学してからティータイムを共にしてきた彼だ。
いいや、そこにいたのは、私が憧れた、私がファンになった、私が一目惚れした選手がいた。
体育館の窓から忍び込んだようで、裸足でボールをつく。
そのままドリブルして、カットイン、バスケ部の誰よりも早くて、技術の詰まったドライブからのジャンプシュートは……………見事に外れた。
前にすら飛ばなかった。
そこで、私は彼に何が起こったのかをすべて察してしまった。
「はは、」
彼は分かっていましたと言わんばかりに笑う。
本当は諦めきれていないのに、本当はあのシュートはリングに入っていたはずなのに。
見ている私の目が熱くなった。
新しく彼の事を好きになりかけていたけれど、あの選手の事が忘れられなかった。
でも、まさか、それが同じ人だったなんて。
そしてその人にとてもつらい事が起きていた事。
私がなんとかしてあげたい。
夢をくれたあの選手に、そして、心の底から好きな人に、幸せになってほしいから、私が支えるんだ。
私は、あの人の幸せになろうと決めた。
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