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後輩ティータイム  作者: ゆめ
第2章 先輩くんを惚れさせたい
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後輩ちゃんと出会い


 中学三年生の時、私は友人に連れられ、バスケの大会を見に来ていた。


 女子の試合に見飽きたので、男子の試合を行っているコートをのぞいてみる。


 そこに、彼がいた。


 ボールをカットして、ドリブルで敵を抜き去って、ジャンプシュート。また敵の攻撃を防いで、カウンターで点を決めた。


 敵はおろか、味方ですら置いてけぼりにする強さ。


 必死に頑張る姿に、私は魅了された。


 こうなりたいと思った。


 かっこいいと、思った。


 こうして、私はファンになってしまった選手のいる高校に進学を決意する。


 高校から、バスケを始めることにした。


 最初はマネージャーになろうかと思ったけれど、あの人みたいにバスケがしたいと思って、選手の道を選んだ。


 入学して、男子バスケ部の練習をのぞいてみる。


 さすが全国でも強豪校なだけあって、迫力があった。


 しかし、私の目当ての人はいない。


 もしかして退学してしまったのかと心配していた。


 あの人に会えないんじゃ、入る高校失敗したかもしれない。


 そう思っていた。


 部活が終わり、日が沈んだ。


 第二体育館。自動販売機。


 ミルクティーのボタンに手を伸ばす。


 しかし届かない。


 すると、後ろから伸びた手が、ミルクティーのボタンを押した。


 彼はそのままミルクティーを自販機から取り出し、ストローを指して口に咥えた。


「これ、美味いよね」

「いえ、それ、私の……」


 不健康そうな、なんだかチャラそうな人だ。


 まるであの人とは大違い………


「………バスケ部見に来たの?」


 彼はそう話しかけてきた。


「はい、バスケ部に入ろうと思っていて」


 私が戸惑いつつ答えると、彼は、ちょっと寂しそうに、


「そっか、頑張ってね」


 と答えてくれた。


 その日から、彼とはミルクティーを飲むに来る休憩時間によく話した。


 ティータイムを一緒に過ごすうちに、いつの間にか仲良くなっていった。


 一度だけ、去年までのバスケ部に居たはずの私のあこがれの選手はどこにいるのかを尋ねたことがある。


 すると彼は、「そんな選手知らない」と言った。


 表情を隠すのが上手い人だけれど、その時は、辛そうだった。


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