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後輩ティータイム  作者: ゆめ
第1章 先輩くんは振り回される
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夏祭り5

「あ、」


 通りを歩いていると、突然足を止めたのはなつきだ。


 目線の先にはとある屋台。


 家庭用のバスケットゴールが置いてある。


 シュートを決めた本数によって、もらえる景品が決まるようだ。


「ええと…………ごめん」


 なつきは暗い顔をして謝る。


気を使う必要はないのに、なつきとまどかは俺の前ではバスケの話をしないようにしている。


「やりたいの?」


 なるべく優しく問いかける。


「ううん、そういう訳じゃないけど………」


 しかし目線の先は屋台に向いている。


「…………一回やってみてよ。久しぶりになつきのシュート、見たいし」


 俺がそう言うと、なつきは、すぐに咲いたように笑顔になって、

「うん!」

 と、元気に答えた。



 屋台のお兄さんからボールを受け取り、四回地面を叩く。


 距離はフリースローよりは遠く、スリーポイントよりは近い程度。


 一回のチャレンジで五球チャレンジできるようだ。


 決めた本数によってもらえる景品は変わり、五級全部決めた場合は、なかなか豪華なものが貰えるようだ。


 なつきの顔は真剣そのもの。


 そのまま軽くジャンプしてシュートを………



 ガスッ



「あれ?」


 しかし、シュートは外れてしまった。


「やっぱりあのおっぱいが邪魔なのかな」

「母乳出るらしいよ」

「マジか」

「違うよ!浴衣だとやりにくいってだけだよ!」


 俺のまどかの考察は外れ、単純に浴衣でやりにくいだけのようだ。


「まぁ、外す理由は、浴衣だけじゃないと思うけどね」


 そういうまどかは、何かなつきがシュートを外した理由を知っているようだった。


 ガスッ、

 ガスッ

 スパッ

 ガスッ


 そのままシュートは外れ続け、結局決めたのは一本だけ。


 屋台のお兄さんから参加賞を貰ってやってきたなつきが落ち込んだ様子で言う。


「ごめん………全然だめだった」


 だいぶ落ち込んでいる様子だ。


「なつき、律くんの前だからって、いいとこ見せようとして緊張してたんだよ」


 そう俺の耳元で言うまどか。


 確かに、さっきのなつきの動きは固かった。


 落ち込んでいるなつきを見る。


 そのまま数秒考えて、


「お兄さん、俺もやります!」

「「え⁉」」


 屋台のお兄さんからボールと受け取り、四回地面を叩く。


 タン、タン、タッタン


 このシュート前のルーティンは今ではなつきの物となったが、元は俺の癖をなつきがマネをしたものだ。


 そのままボールを上げる。


 肩に痛みは無い。少し違和感がある程度。


 リングを睨む。


 大丈夫、数えきれないほど打ってきたシュートだ。ちょっとブランクがあるくらいでどうってことは無い。目をつむってでも決められる。


 そのまま身体のバネを使って、シュート。


パスッ、


 ボールはリングにかすることもなく、ネットを通過した。


 ふと、あおが、部活中にシュートを決めて、俺にダブルピースをしたことを思い出した。


 俺は後ろを振り向き、両手ピースを作った。


「いえーい」


…………自分でやってて恥ずかしくなった。

 うん、やはりこういうのは可愛い子がやるからいいんだな。


 しかし、目の前の二人には効果てきめんだったようで、


「ナイスシュート」


 二人は目に涙を浮かべて、俺に笑いかけた。


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