夏祭り3
沙紀ちゃん目線です。
「人多いねー」
「だよねー。去年よりも多いかも」
私のつぶやきに、横にいる果歩が答える。
果歩と私、そしてもう一人の三人で夏祭りに訪れていた。
「で、」
そして、その、「もう一人」の方を見る。
「「あお(ちゃん)、食べすぎ…………」」
「うるさいなぁ!もっと食べなきゃ気が済まないよ!」
両手に食べ物を持ったあおちゃんが言う。
祭りに来てからというものの、ずっとこんな様子だ。
理由は明白で、あおちゃんがお兄さんを祭りに誘ったけれど、振られてしまったのが原因だろう。
二人は付き合っているというのに、お兄さんはなんで断ったんだろう。
おかげで不機嫌になってしまったあおちゃんは、やけ食いをしている。
「さすがに太っちゃうよ………」
いつもは一番食べる果歩もドン引きしている。
「いいもん!食べた分のカロリーは先輩に送っとくから」
何その便利なシステム。今度会った時お兄さんデブになってないといいけれど…………
でも、やっぱり、なんでお兄さんはあおちゃんの誘いを断ったんだろう。
なんだか不自然だ。
不自然だったと言えば、お姉ちゃんもだ。
今日は友達と一緒に祭りに行くと言っていたけれど、なんだか慌ただしかったし、なぜか、可愛い下着はどれ⁉と尋ねてきた。
あんなに動揺しているお姉ちゃんは、お兄さんの写真を見せた時以来だ。
「ねぇ、あおちゃんって、お兄さんと喧嘩でも………」
「あれ?」
やはり不思議に思い、お兄さんと何かあったのかをあおちゃんに尋ねようとした時、先ほどまでいたあおちゃんが、なぜかいなくなっていた。
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